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コレクター (ポーランド)
【 1994 】



1994年6月17日、ポーランド・マウォポルスカ県ワプチツァで、男がルチーナ・Z () と2人の息子セバスチャン (9歳) とドミニク (7歳) が住む家を訪れた。

男がドアをノックし、セバスチャンがドアを開けると、男は

「間違えた」

と言ってその場を去った。

その直後、セバスチャンは学校に向かうため家を出た。

セバスチャンが家を出て行ってから数分後、男は再び家に戻りドアをノックした。

今度はルチーナがドアを開けると、男は地元の発電所の職員を名乗り、ガスメーターの検針に来たと述べた。

ルチーナは男を家の中に入れると、男はガスメーターを確認し電気料金の請求書を書き留めた。

すると男は銃を取り出しルチーナの頭部を数発撃って射殺した。

次にドミニクにも銃を向け、数発撃って射殺した。

その後、男は家の中を物色し、2000ドイツマルク (約18万円) 、ポーランドの小額紙幣、金のアクセサリーなどいくつかの品物を盗んだ。

数時間後、セバスチャンが学校から戻るが、ドアが施錠されていた。

家に入る事が出来なかったセバスチャンは梯子を掴んでバルコニーから登り中に入り、2人の遺体を発見した。

セバスチャンはすぐに警察に通報し、警察に犯人の詳細が特徴を伝えた。

このセバスチャンの証言により顔の合成画像が作成された。


同年11月24日、ポトカルパチェ県ピルズノで、男が再び発電所の従業員を装い、マリア・J (60歳♀) の家のドアをノックした。

家の中に入った男はマリアを射殺し、貴重品を盗まずに家に留まった。

しばらくしてマリアの夫でユゼフが帰宅するが、家に入るなり男に射殺された。

その後、昼間にもかかわらず家の電気がついている事を不思議に思った近所の人が家を訪れ、夫妻の遺体を発見した。

警察が現場に到着し、前回の犯行同様テーブルの上に電気の請求書が置いてあるのを発見した。


同年12月5日、マウォポルスカ県モラヴィツァで、男がゾフィア・K (58歳♀) の家のドアをノックした。

ゾフィアは男を家の中に入れ、男はゾフィアを撃って射殺した。

男は誰かが帰って来るだろうと考えしばらく家の中に留まったが、誰も戻っと来ないでのその場を去った。

しかし、実際は息子が家に帰って来ており、家に明かりがついていたので食料品店に買物に行くのだろうと外で待っていた。

だが、母親が出て来ないでついに家に入るとキッチンで母親の遺体を発見した。

これらの事件は地元住民にパニックを引き起こし、多くの人が家に1人でいる事を恐れ、不審者と思われる人物がいればすぐ警察に通報するようになった。

犯人は常に発電所の検針員を名乗っていた為、実際の従業員は犯人と誤認される事を恐れ、しばらくの間現場作業を全面的に中止せざるを得なかった。

犯人はガスメーターの検針や電気料金の請求発行を装って家に侵入し、実弾を装填出来るように改造した6.35口径の空気銃で射殺した。

その後、犯人はしばらく家に留まり、その場を離れる前に必ず全てのドアに鍵を掛けていた。

また、犯人はヒッチハイクで各地を巡ったとみられ、A4高速道路に近い建築様式が似ている住宅を狙った可能性があるとみられた。

犯人逮捕の為、クラクフでは特別捜査チームが結成され、犯人は『The Collector (集金人) 』と呼ばれるようになった。

事件に関する情報提供者の為の専用の電話回線も設置され、殺人現場で発見された指紋によりこれらの犯罪は関連づけられた。

目撃者によると犯人とみられる男は30歳から35歳、身長が170〜175cm、黒っぽいブロンドの髪であった。

犯行現場に残された足跡からサイズ46 (約30〜31cm) の靴を履いていた事がわかった。

‌また、犯人は常にメルセデス・ベンツのロゴが入った帽子を被っていた。

犯人は「重々しい」歩き方が特徴で、犯人と思われる男 (地元では見慣れない男) に話しかけたという地元住民によると、男は数千羽の鶏を飼おうとしていると答えたという。

犯罪プロファイラーは犯人の緻密さと慎重さから警察官と関係があった可能性を示唆した。

また、犯人は感情面で問題を抱えていた可能性 (おそらく女性関係) があり、何らかの人格障害を抱えていた可能性もあると考えられた。

殺人の動機については明らかになっておらず、様々な憶測が飛び交った。

金品を奪っている事から単なる強盗殺人ではないのかとも思われたが、ただ単にスリルを求める快楽殺人だったのではないかと言われた。


1996年5月、地元警察が匿名の女性からヴォイチェフ・Bという男の情報を得る。

ヴォイチェフはミリチャ・オビヴァデルスカ (ポーランド人民共和国の国民民兵) の元メンバーで、現在は警備員として働き、大きめの靴を履いていた。

指紋などの物的証拠に欠け、目撃証言に頼るしかなかったが、警察は国境を越えようとしていたヴォイチェフをシュチェチンで逮捕し、殺人罪で起訴した。


1997年12月、ヴォイチェフは裁判にかけられ、裁判中、数少ない証拠が適切に保管されておらず、目撃者の証言も信用出来ない事が明らかになった。

また、ヴォイチェフは事件の1つ1つに対して確固たるアリバイを主張した為、裁判は更に混乱に陥った。


1999年、ヴォイチェフは全ての容疑で正式に無罪となった。

ヴォイチェフは無罪となった事で国に対し名誉毀損で訴え、84,000ズウォティ (約370万円) の賠償金受け取った。

ルチーナの夫は判決を不服として控訴したが、却下された。

数年後、事件に関わった警察官が逮捕されるのだが、取り調べで上層部から圧力を受け、多くの手続き上の誤りを犯し捜査を妨げた事を認めた。

この事件は現在まで未解決のままであるが、なぜ突然活動を止めたのか不明であった。

メディアは犯人がどこか別の国に移住したか、他の罪ですでに刑務所にいるか死亡しているのではないかと報じた。



《殺人数》
5人

《犯行期間》
1994年6月17日〜同年12月5日



∽ 総評 ∽

『The Collector』と呼ばれ、未だ未解決となっている連続殺人事件。

某映画を思い出させるネーミングだが、その犯行は映画にも勝るとも劣らないものであった。

犯行自体は家に侵入し殺害して物を盗むという物盗りの犯行であるが、巧妙さが陰湿であった。

犯人は発電所の職員を装い相手を油断させ、家に入ると躊躇なく射殺したが、その犯行はすみやかで計画的であった。

犯人は姿を結構目撃されており、これだけ目撃情報があるなら逮捕もすぐではないかと思われたが、現在まで未解決となっている。

それは犯人が現場に決定的な証拠を残さなかったのが要因の1つであろう。


✽ 追伸 ✽

年明けから5日間、特別投稿として「未解決事件」を掲載しました。
昨年1度も掲載していないので今回集中して掲載いたしました。
時間の経過と共に証拠も散逸していくので今後の解決は難しくなっていくと思いますが、アメリカの遺伝子系図のような捜査で是非解決して欲しいと思います。
次の投稿はいつも通り月曜日となるのでよろしくお願い致します。