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クインティン・ジョーンズ (アメリカ)
【 1979 〜 2021 】



クインティン・フィリップ・ジョーンズは、1979年7月15日、アメリカ・テキサス州フォートワースで生まれた。

ジョーンズの幼少期は悲惨で、両親からはネグレクトを受け、兄弟からは性的暴行され、また家庭が極度の貧困というまさに地獄のような環境であった。

母親はジョーンズを銃で頻繁に脅し、7歳の時には兄姉から義理の妹との性行為を強要された。

そんな破綻した家庭環境で育ったジョーンズは銃で自身の胸を撃って自殺を図った事もあった。

ジョーンズは劣悪な環境から逃げるように麻薬に手を出し始め、10代前半には麻薬中毒となっていた。

成長すると暴力的になったジョーンズは教師を含む生徒への数々の暴行事件を起こした。


1999年9月11日、ジョーンズは大叔母のバーシーナ・ブライアント (83歳) を野球のバットで殴って撲殺した。

その後、コカインを購入する為にブライアントの金を盗んだ。

殺害時、ジョーンズはコカインとヘロインによってハイの状態であった。

ジョーンズはその日の内に逮捕されるが、1999年6月に殺害されたマーク・サンダース (19歳♂) とクラーク・ピープル (27歳♂) の殺害に関与した事を認めた。

しかし、殺人の責任の大部分を共犯者のリッキー・ルーサという男性に負わせた。

検察側は死刑判決を求める弁論の中でサンダースとピープルの殺害に言及した。

裁判でジョーンズは殺人を認め、反省の意を示した。


2001年3月16日、ジョーンズには死刑判決が下された。

ルーサは2件の殺人罪で有罪判決となり、終身刑が言い渡された。

ジョーンズの弁護士マイケル・モウラは、テキサス州裁判所に人身保護令状請求を申し立て、検察側が裁判中に非科学的な証言を行い権利を侵害したと主張した。

テキサス州法では「将来の危険性」を理由にのみ死刑が認められており、ジョーンズは刑務所内での暴力行為の記録はなかった。

オースティン・アメリカン・ステイツマン紙は、ジョーンズの判決における人種差別的偏見を指摘する記事を掲載した。

同紙は終身刑となったルーサとジョーンズの判決を比較し、ジョーンズが死刑になったのは黒人であり、ルーサは白人だから終身刑になったと判決の違いを非難した。

実際、ルーサは2件の殺人罪で有罪となっているが、ジョーンズはサンダースとピープル殺害では有罪判決となっておらず、ブライアント殺害の1件のみであった。

その事について検察官は、ジョーンズには教師を含む多くの暴力行為の前歴があり、死刑は妥当で正当性があると主張した。

ジョーンズの家族は他の多くの人々や団体の協力を得て、テキサス州知事グレッグ・アボットに対しジョーンズへの恩赦を与えるよう嘆願した。

彼らの嘆願に対する署名は183,344人も集まり、それをもって申請するが却下された。

アボットは2019年に母親と兄弟を殺害したトーマス・ウィテカーに恩赦を与えた事があり、その事に期待しての請願申請であった (ただしウィテカーの場合は襲撃の際に負傷したものの唯一の生き残りであった被害者である父親自身が恩赦を請願しているので全く関係のない第三者が主張するのとはわけが違う) 。


2021年5月19日午後6時40分、ジョーンズは致死量の注射による死刑が執行された。

享年41歳。

処刑には報道関係者が立ち会う予定であったが通信ミスのため立ち入る事が出来なかった。

その為、アメリカでは約30年振りに報道関係者の立ち会いなしの処刑となった。


最後に処刑前に発言したジョーンズの最後の言葉で終わりたいと思います。

「長年、私を支えてくれた全ての人々に感謝します。マディ、双子のソニアにアンジー、そして仲間全員に。この世界がより前向きな状態で去れる事を本当に嬉しく思います。ネガティブな事が沢山ある人生は楽ではありません。全ての友人、全ての友情を愛しています。全ては人生の一部であり魂を満たす大きな皿のようなものです。皆が幸せな思い出と悲しみがない事を願っています。これで終わりです所長」



《殺人数》
3人 (他暴行事件多数)

《犯行期間》
1999年6月〜同年9月11日



∽ 総評 ∽

ジョーンズの幼少時の環境はまさに地獄であった。

両親のネグレクト、兄姉による性的暴行、そして家は極貧というこれ以上ない破綻した家庭環境であった。

こんな状況下でジョーンズにまともに育てという方が無理な話であり、なるべくしてなった結果といえる。

家族や多くの団体がジョーンズの死刑執行に反対し恩赦を求めたが、それはやはり幼少時の家庭環境を考慮してのものだったのだろう。

確かに過酷な家庭に生まれそれが絶望的な環境というのはジョーンズに責任がなく、同情には十分値する。

しかし、だからといって罪が軽くなったり無罪となるというのはあってはいけない。

罪は罪であり、被害者からすれば相手がどんな家庭環境であったかは当然知る由もないし、知った所で自分がされた犯罪が全てなのだ。

仮に私が強盗に遭ったとして、相手の悲惨な家庭環境で育った事を知っても「許そう」とは決してならない。

ジョーンズの死刑判決は黒人差別と騒がれたが、その理由が共犯者のルーサが原因であった。

ルーサは2件の殺人で終身刑、ジョーンズは1件の殺人で死刑、その判決の不平等さが差別を疑われたのだった。

確かに判決だけを見れば差別を疑われても仕方ないが、仮に2件の殺人がルーサ単独で行われ、ジョーンズが全く関係ないのならこんな差別だという主張は起きなかったはずである。

また、ジョーンズの犯罪が死刑相当じゃないにもかかわらず死刑判決ならば話もわかる。

だが、1人殺害し、他2人の殺害にも関与しているのは事実であり、それだけでも十分死刑に相当する罪である。

他の犯罪者が終身刑だからといってジョーンズの刑を軽くするのは道理に合わず、差別を主張する人達はしっかりと犯罪の中身を見て欲しいものである。

個人的にはその白人のルーサを何故死刑にしなかったのが甚だ疑問でしかない。