
ウィルソン・シュエスト (アメリカ)
【 1951 〜 】
ウィルソン・クロード・シュエストは、1951年12月2日、アメリカ・ルイジアナ州ニューオーリンズで生まれた。
1977年10月12日、シュエストは女性をカリフォルニア州ロサンゼルスのトパンガ・キャニオンまで乗せようとヒッチハイクした。
シュエストは逃げられないよう助手席のドアのハンドルを事前に外していた。
女性が車に乗ると、シュエストは全裸になりナイフを取り出し性行為しようと脅した。
女性は恐怖から逆らわずに従い、シュエストに強姦された。
行為が終わるとシュエストはナイフを捨て、女性を縛って丘の中腹まで連れて行き、そこでもう1度強姦した。
その後、女性は意識が失うまで首を絞められ蹴り飛ばされるが、奇跡的に一命を取り留めた。
シュエストは現場を立ち去る前に女性の衣服と財布を盗んだ。
シュエストは強姦と強盗、誘拐の罪で逮捕されるが、強姦罪については司法取引により取り下げられた。
1978年、シュエストは強盗と誘拐で有罪となり刑務所に収監された。
1980年6月、シュエストは刑期を終え釈放された。
同年7月15日、カーン郡デラノのアーモンド園で、ヒスパニック系の女性の遺体が発見される。
現場には犯人のものと思われるタイヤの跡が見つかった。
遺体を調べると被害者はおよそ1日前に殺害されており、29回も刺された後、遺体発見場所に運ばれていた事がわかった。
女性は当時存在したルビーというバーで連れ去られたとみられていた。
女性の爪と衣服からはDNAが見つかった。
被害者には2つの珍しいタトゥーがあり、1つはハートに「愛してる」「シャーリー」「シアトル」という言葉が、もう1つには「母」「愛している」と刻まれていた。
また、腹部と臀部に傷跡 (元々の傷) があり義足を付けていたが、それは過去に負った怪我によるものであり、上歯は全てが失われていた。
更に女性は殺害された時、血中アルコール濃度が0.3もあり、酩酊状態であった事がわかった。
被害者の身元は判明しなかったが、年齢は25歳〜35歳で、身長は推定5フィート (約152cm) 、体重は115ポンド (約52kg) であった。
また、少なくとも1回は出産を経験しており、殺害時、女性はピンクのトップス、ジーンズ、白い靴、青いソックスを履いていた。
同年7月18日、カリフォルニア州ベンチュラ郡ウェストレイクにある高校の駐車場で、15歳から30歳くらいの女性の遺体が発見される。
女性は発見から12時間以内に死亡し、別の場所で殺害され運ばれた可能性が高かった。
女性は身長が5フィートくらいで、体重が110ポンドくらいと推定された。
しかも、女性は殺害された時、妊娠5ヶ月で (胎児も死亡) 、強姦された後、16回刺され、最後は首を絞められて殺害された。
女性の目の色は茶色で、毛先は脱毛されていた。
また、眉毛は剃られアイブロウで描かれ、耳にピアスの穴が開けており、大量の歯のメンテナンス (矯正) を受けていた。
DNA検査により女性はネイティブアメリカンで、ヒスパニック、アジア人、コーカサス人等の祖先がいる事がわかった。
女性にはいくつかの傷跡や痣があり、左腕には予防接種の跡が2箇所あった。
遺体発見時、女性は白いシャツに黒いブラジャー、赤いズボンを着用していた。
同年8月、カリフォルニア州バイセイリアで、シュエストはセコイア大学から現れた女性をナイフで脅し、車に乗るよう指示した。
しかし、女性はシュエストに財布を渡して近くの通行人に助けを求めた。
その為、シュエストは逃走するが、翌日、財布の中に入っていた身分証からシュエストは女性に電話を掛けた。
シュエストは同年9月までにセコイア大学のキャンパスで他に2人の女性をナイフで脅して誘拐した。
シュエストは女性をトウモロコシ畑まで連れて行くとそこで強姦した。
しかし、女性が夫の事を話すとシュエストは女性を誘拐した場所まで連れ戻し、謝罪して解放した。
2012年、身元不明の2人の女性の爪の間から採取されたDNAがシュエストと一致する。
2015年、シュエストは逮捕された。
シュエストは逮捕されると、過去の3人の強姦被害女性が犯人をシュエストだと特定した。
シュエストは強姦と殺人の罪で起訴される。
シュエストの弁護士は犯行現場にシュエストがいたという証拠にはならないと主張し、また、被害者は性行為に同意していたとも述べた。
陪審員はシュエストに有罪判決を下し、シュエストは2件の殺人と3件の強姦で仮釈放の可能性がない2件の終身刑と懲役4年が言い渡された。
ただ、胎児殺害については有罪にはならなかった。
遺体で発見された2人の女性について、犯人がシュエストである事は確定したが、シュエスト自身も犯行について語らず黙秘した為、以前、身元についてはわからなかった。
2018年、「DNA Doe Project (法医学家系図を使用して身元不明の死亡者を特定する為に設立された非営利ボランティア組織) 」が2人の女性の身元を特定すべく事件を引き受けた。
2020年、とある女性 (バイオレット・スーセイ) がフェイスブックでDNAデータベースに民族データが不足しているという投稿を偶然目にし、自身のDNAサンプルを送った。
すると、そのDNAサンプルが最初の被害女性と酷似している事が判明した。
2021年4月23日、身元不明だった女性 (最初に発見された女性) が、カナダ・アルバータ州サムソンのクリ一族のシャーリー・アン・スーセイと特定された。
スーセイは1979年に家族と連絡が取れなくなっており、旅行好きで失踪する直前にシアトルの友人を訪ねると家族に話していた。
身元が確認された後、スーセイの遺体は約40年振りに家族の元に還された。
しかし、結局2人目の被害者については特定する事が出来ず、現在も身元不明のままである。
2022年5月、スーセイとジェーン・ドゥの事件がアメリカのドキュメンタリー番組「Cold Case Files」のエピソードで取り上げられている。
《殺人数》
3人 (胎児を含む)
《犯行期間》
1980年7月14日、同月17日
∽ 総評 ∽
近年の調査により1人の身元は判明したが、もう1人に関しては現在もわからないままである。
アメリカは子供だけで年間36万人以上 (一説では80万〜100万とも) が行方不明となっており、これを1日に換算すると約1000人が行方不明となっている事になる。
異常ともいえる数だが、これだけ行方不明になっていれば今回の被害者のように身元がわからない人物がいても何ら不思議な事ではない。
シュエストの犯行が近年まで判明しなかったのは、DNA鑑定による捜査が単純に確立されていなかったからであろう。
こればっかりはどうしようもない事だが、アメリカではこういう例が非常に多い。
何とかもう1人の犠牲者の身元が判明するよう心から祈る。
コメント
コメント一覧 (8)
昨年のワースト1はベネズエラで、外務省も渡航注意を出しています。(ワースト5は全部外務省から渡航注意あり)
中南米やアフリカ大陸に治安が悪い国が多いようですが、単にこちらにニュースとして伝わってないだけか?
そうですね。
本当に治安の悪い国は中南米に集中してます。
危険なイメージの強い中東ですら中南米には足元にも及びません。
よっぽどの事件でもない限り日本では放送されませんから。
仰る通りただ単に伝わってないだけでしょうね。
そうですね。
ぜひ判明して欲しいですね家族のためにも。
乙B実さん、乙A世さんは執念で身元が特定できて家に帰れている点を考えると。
こいつの犯行が長期にわたって判明できていなかったのは管理人さん同様、今の捜査能力では追いつかんほど殺人事件や行方不明事件が発生してるのが大きいと思います。
2人の死刑囚が死んだそうです。
1人目は暴力団員だった男で、福岡の大牟田で妻と息子2人と共謀し母子3人と少年1人を殺害しました。
死因は肺炎です。
もう1人は米サウスカロライナで2人を殺害した男です。
処刑前に死刑廃止を遺言にしていたみたいです。
死因は銃殺刑による銃殺です。
もう1人に関しては毎度のことながら烏滸がましいと思いました。
判明して欲しいですね。
未解決殺人事件の多くはDNA鑑定が確立させてない時期に非常に多いですからね。
特に今回のような事件にかかわっているとされている死刑囚や服役囚にはね(ぬれぎぬの話は別)。
身元が特定できず家族のもとに帰れていない被害者や犠牲者も多数いる点を考えると。
また、犯人や真相が諸事情でやぶの中の事件のことも考えると。
狭山事件の容疑者とされる丙A太氏が亡くなったみたいです。
この事件は強盗、強姦殺人事件ですが、諸問題が絡み合い犯人および真相はやぶの中です。
個人的には乙A(享年16歳女)女史のためにも最新の科学技術などで事件の真相をつかみ、真犯人を特定してほしいな。
往生際が悪すぎますよ。
他人の命を平然の奪っておいて自身の命には執着する。
または許しをこう。
さっさと処刑してしまえばいいのです。