
ホセ・ゲレロ (アメリカ)
【 1973 〜 】
1995年4月23日朝、アメリカ・カリフォルニア州マデラ南方で、農場労働者が女性の遺体を発見する。
農場労働者はすぐに通報し、現場に保安官代理が到着した。
遺体はジュリー・アン・ウッドリー (別名ジュリー・アン・マクドナルド) である事が判明する。
ウッドリーはマデラ出身で、2人の子供がいる42歳の女性であったが、遺体発見時は子供たちと一緒に住んでいなかった。
ウッドリーが生きているのを最後に目撃されたのは、マデラ南側で遺体が発見される約8時間前だった。
遺体の検死が行われ、強姦され銃で撃たれていた事が判明した。
同年11月28日、42歳のエヴリン・エストラーダはブドウ切りナイフを持った男に誘拐されたと警察に駆け込んだ。
エストラーダは人里離れた場所に連れ込まれ、男はそこでこれから何をするか全て話したが、口論となり争いとなった。
その際、エストラーダは男に喉を切り裂かれたが、何とか逃げる事に成功した。
警察はすぐに捜査を開始するが犯人を逮捕する事は出来なかった。
1998年7月14日、シャーリーン・ファウラー (30歳♀) が遺体で発見された。
ファウラーは果樹園で見つかり強姦されていた。
死因は首を絞められた事による絞殺であった。
同年11月、カリフォルニア州ユーレカに住むタマラ・ジョーンズ・ヘルナンデス (22歳♀) が、家族に会う為にマデラにやって来た。
同年11月22日夜、ヘルナンデスは子供たちのミルクを買う為に家を出た。
しかし、ヘルナンデスは家に戻る事はなく、その日の夜遅く、うつ伏せの状態で遺体で発見された。
1999年、ホセ・ゲレロという男性が飲酒運転で逮捕される。
少なくとも5年の懲役刑が言い渡されたゲレロはワスコ州立刑務所に収監された。
刑務所に収監されたゲレロは、囚人仲間に少なくともこれまで3人を殺害し、他に多数の暴力事件を起こしてきた事を自慢した。
2004年、釈放されるこの年、ゲレロはDNAのサンプルを提出した。
同年10月、DNAサンプルにより、ゲレロがヘルナンデス殺害に関与している事が確定し、再逮捕された。
ゲレロは殺人罪で起訴されマデラ郡に身柄を引き渡された。
2005年、ゲレロはウッドリーとファウラー殺害、及びエストラーダへの殺人未遂で起訴された。
ウッドリーとファウラーの遺体からもゲレロのDNAが発見された為だった。
2009年4月、ゲレロの裁判がようやく始まったが、この裁判はマデラ郡において1976年に発生した「チャウチラ誘拐事件 (3人の武装した男がスクールバスをバスジャックした事件。今後掲載予定) 」以来、最も注目を集めた。
裁判は10日間続き、ゲレロは第一級殺人3件と殺人未遂1件て有罪となった。
被害者家族は有罪判決となった事に感謝する一方、ゲレロに死刑判決を下して欲しくないと述べた。
唯一の生存者、エストラーダもゲレロは死刑で処刑されるべきではないと述べた。
同年9月、ゲレロには死刑判決が下された。
その後、ゲレロは執行を待つ為にサン・クエンティン州立刑務所に移送された。
2019年、カリフォルニア州知事ギャビン・ニューサムは州内で予定されている全ての死刑執行を停止する執行猶予令を発令した為、ゲレロの死刑は執行される事はなく死刑囚監房に現在も収容されている。
《殺人数》
3人 (他1人殺人未遂)
《犯行期間》
1995年4月23日〜1998年11月22日
∽ 総評 ∽
3人の女性を殺害したゲレロだが、その犯行はマデラ郡において注目の的となり、それはチャウチラ事件以来のものであった。
ただ、不思議なのは被害者だけではなく家族たちもゲレロへの死刑を支持しなかった事だ。
基本的には極刑を望むのが当たり前であり、何がそうさせたのだろうか。
生い立ちや裁判での振る舞いがそうさせたのだろうか。
被害者や家族が死刑に反対しているのだから第三者の私が何も言う事はない。
ただ、冷静に考えて欲しいのは、死刑以外の場合は外に出てしまう可能性があるという事だ。
もし、何らかの理由でこのゲレロが外に出て、再び犯罪を犯した場合、一体誰の責任になるのか。
当然、死刑に反対した被害者や家族たちは責任を負うことはないが、もし、私が被害にあったのなら「あの時死刑にしていれば」と思うだろう。
そういった事も考えて反対しなければならないのである。
以前に何度も紹介しているが、カリフォルニア州は元々死刑執行に非常に消極的な州で、1976年に死刑が復活して以降、現在までわずか13人にしか執行していない。
しかも、最後に行われた執行が2006年という今からおよそ20年も前になる (死刑判決自体は毎年数人に下されている) 。
単純に死刑囚が少ないからでは?という疑問がわくが、現在死刑囚は1000人近くも存在し、全米の中でも屈指の多さである。
いつ死刑が廃止されてもおかしくない州であるが、執行停止を発令はするが何故か完全に廃止には至っていない。
当然廃止して欲しくはないが、残念ながら時間の問題であろう。
コメント
コメント一覧 (6)
税金で負担とか論外。
死刑があって死刑にするのにそれを反対というのは流石にヤメて欲しいですね。
一見、美談ぽく感じますが決してよくないです。
本文では仮に釈放されてしまった場合の再犯の事を述べてますが、そもそも生かすという事はお金がかかりますからね。
しかもそれは税金ですよ、納得いきません。
問題はあるかもしれませんが、もし終身刑や有期刑なら娑婆に出されるかもしれないんだぞ。
私は英断だと思います。
再犯を許した場合、だれに責任を問うべきかという話になりますよね。
米加州含む西海岸3州は左海岸と言われてるほどのリベラル州。
私も米加州の死刑制度に関しては同見解ですね。
自分たちの感情を主張するのは結構です。
被害者や遺族なのですから。
ただ、生かしておく事によるデメリットをしっかり考えて主張するべきですね。