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エルジェーベト・パップ (ハンガリー)
【 1935 ~ 1962 】



エルジェーベト・パップは、1935年1月28日、ハンガリー・ペンサレックで生まれた。

パップはイステヴァン・ロスターと結婚し、2人の子供を妊娠するが最初の子供は流産し、2人目は干し草カートから転落しわずか3ヶ月で死亡した。

パップは知的な女性と思われていたが、道徳観が歪んでいると見られていた。

ロスターは酔ってはパップに暴言を吐くアルコール依存症であり、そんなロスターにパップは嫌気がさしていた。

パップはロスターを殺害しようと考えていたが、その前に自分が行う方法で殺せるのか試す事にする。

パップは果物栽培者である何も知らない弟から提供されたタバコの葉にニコチンを混ぜた調合薬を使用した。

そして、適正量を測る為にまず犬に飲ませて効果を確かめる。

犬はすぐに死ぬが、ロスターにどのくらい効くかわからない為、人間で試す事に決める。


1957年8月1日、パップは隣人で娘のもとによく遊びに来ているイローナ・タルノーツィ (5歳♀) を標的に決める。

パップは事前にニコチン調合薬をブランデーボトルに注ぎ、コーナーテーブルの下に隠した。

そして、機を見て隠していたニコチン入りワインをタルノーツィに与えた。

一口飲んだタルノーツィは具合が悪くなり、通りによろめきながら歩くと倒れ死亡した。

警察は溺死としてすぐに捜査を終わらせるが、検死を行うと死因は嘔吐中に食べ物が喉に詰まった事による窒息死と仮定した。


同年8月7日、パップは次の標的に隣人で友人であるヨージェフ・フュルトス () に決める。

フュルトスに決めたのはパップについての良からぬ噂を広めたからだった。

パップは和解する振りをしてフュルトスを誘い、ニコチン入りのパーリンカ (ハンガリーで造られる果物を原料とする蒸留酒) のボトルを渡した。

それを飲んだフュルトスはすぐに死亡した。

警察はフュルトスを見つけた時、傍にパップがいた為、事情を聞くと、フュルトスが夫と喧嘩した後、彼女のもとへ行ったと述べた。

テーブルの上には空のボトルがあり、パップの主張を裏付ける物であった。

ただ、この時フュルトスは妊娠しており、中絶を試みて失敗して死亡したと検死官は判断した (後に検死官は無能だと非難されている) 。


同年8月23日、当初の目標であるロスター殺害を決行する為、夕食を食べようとリラフュルドのレストランに誘った。

そして、隙を見てロスターの飲み物にニコチンを入れ、それを飲んだロスターは数分以内に死亡した。

ロスターの検死が行われるが、死因は血中の高いアルコールが及ぼす胃粘膜の変色によるアルコール中毒の結果だと誤った結論を下した。


1959年、パップはソフホーズ (国営農場) で働いていた時、ヤノス・ホロスと出会い結婚し、ホロスの村へ引っ越した。

しかし、パップはホロスの家族からはよく思われていなかった。

特にホロスの妹であるフェレンツ・ホロス夫人とはよく喧嘩をした。


同年4月23日、パップはフェレンツにニコチン入りのカクテルを飲ませ殺害する。

当初、パップは疑われる事はなかったが、パップはニコチンを入れていたボトルを酒屋の店主と交換した。

店主は十分に洗浄せずに酒屋の棚にそのボトルを並べ、それを購入した顧客の2人が使用して中毒となった。

2人は何とか生き残る事が出来たが、当局はそのボトルを調べた。

すると、ボトルから致死量の2倍のニコチンが検出された。

その後、ボトルの持ち主をたどりパップだという事が判明する。

そして、パップの事を徹底的に調べると、過去に隣人や夫等が相次いで不審死している事が判明する。

そこで、ロスターとタルノーツィ、フェレンツの遺体が掘り起こされ検査が行われると、毒殺である事が確認された。


1960年9月6日、パップは逮捕され4件の殺人罪で起訴するが、パップは犯行を否認した。

また、拘留するのに十分な証拠がない為、パップは釈放された。

その後、パップは再逮捕され、引き続き無実を主張するが、後に4件の殺人を自白した。


1961年、パップは有罪判決を受け、終身刑を言い渡された。

しかし、最高裁判所に上告したところ、死刑を再宣告された。


1962年1月23日、ミスコルクで絞首刑による死刑が執行された。

享年26歳。



《殺人数》
4人 (他被害者多数)

《犯行期間》
1957年8月1日~1959年4月23日



∽ 総評 ∽

『The Nicotine Killer (ニコチン殺人者) 』と呼ばれ、隣人や夫をニコチンを濃縮した毒物で殺害したパップ。

パップが何故これ程の犯行に至る精神状態になったのかよくわからないが、子供が相次いで死亡したのが関係しているのかもしれない。

毒殺というのは女性の殺害方法としては常套手段ではあるが、ニコチンを混入させて殺害するというのは特徴的である。

個人的に同じハンガリーという事で「ナジレヴのエンジェルメーカー」を思い出したが、エンジェルメーカーもハエ取り紙を沸騰させてヒ素を残すという独特なものであった。

ハンガリーというのはこういった方法を編み出すのが得意な国なのだろうか。