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ゾルターン・エンバー (ハンガリー)
【 1962 ~ 2015 】



ゾルターン・エンバーは、1962年、ハンガリー・セントキラーイサバドゥヤで生まれた。

家庭環境は不安定であり、父親は酒に酔ってはエンバーを含む家族を定期的に虐待した。

父親の死後、母親は別の村人イシュトヴァーン・ヴェゲリーと再婚するが、ヴェゲリーも暴力的であった。

小学校を卒業したエンバーは、肉屋で働き始める為、学校を中退した。

やがて肉屋を辞めたエンバーは建設現場で働き始めた。

しかし、この頃にはエンバーは様々な犯罪を繰り返しており、11回も起訴されその内5回刑務所に収監された。


1980年代後半、エンバーはガールフレンドのロシア人、ルドミラと口論となる。

腹を立てたエンバーはナイフを持ち出し殺すつもりでルドミラを刺した。

生き残ったルドミラは警察に知らせ、エンバーは逮捕された。

エンバーは殺人未遂で有罪となり懲役3年が言い渡された。


1991年10月12日、刑務所から釈放された直後、エンバーは子供の頃に耐えた苦しみを晴らす為にヴェゲリーに復讐する事に決める。

エンバーはセントキラーイサバドゥヤにあるヴェゲリーの家に行くと、大きなレンチで頭蓋骨を粉砕して殺害した。

エンバーは部屋から3万フォリント (約1万円) を盗んだ。

捜査官はエンバーが犯人ではないかと疑ったが、逮捕するのに十分は証拠がなかった。

その後、エンバーは数年間建設業で働くが、その間、パブで飲む為のお金を窃盗で稼いだ。


1999年、エンバーは兄イシュトヴァーンと酒を飲みながら共同所有の家の売却を提案する。

しかし、イシュトヴァーンが反対した為、2人の間で激しい口論となる。

すると、エンバーは手でイシュトヴァーンの首を絞め殺害した。

殺害後、遺体を縛り手押し車で町の郊外へ運び野原に埋めた。

イシュトヴァーンの遺体は数ヶ月後にホームレスの男性によって発見されるが、この時は遺体が誰かを特定出来ず、身元不明として埋葬された。


2000年代初頭、エンバーはセントキラーイサバドゥヤの高齢者からお金を巻き上げる事を考える。

高齢者が多額の現金を持っていると考えたからであった。


2002年7月7日夜、エンバーは映画で見た拷問の方法を利用し、キャロライン・ホルヴァート (87歳♀) の自宅に侵入する。

そこで、ホルヴァートの首を絞めて殺害した。


2003年6月22日、エンバーはパール・ヤンコ (83歳♂) の家に押し入ると、殴りループ状に縛り上げた。

ヤンコは窒息し、放置されてから1ヶ月後に死亡した。

この頃、警察はセントキラーイサバドゥヤに連続殺人犯が活動している事に気付いた。

しかし、容疑者を特定する確かな証拠や手掛かりが全くなかった。

当時のセントキラーイサバドゥヤは恐怖でパニックとなっており、高齢者は家に閉じこもり、警報機を設置して救急隊員の目が届くようにしていた。


2004年3月7日、エンバーは強盗目的でキャロライン・ピンター (82歳♀) の家に押し入り、ピンターを殺害後、家から16万フォリント (約5万円) 相当の現金と宝飾品を奪った。

しかし、エンバーは本人が気づかぬうちに家にDNAを残していた。

警察は殺人者が村に精通している事から村の住人だと考え、村人全員からDNAサンプルを採取した。

これにより犯人をエンバーと特定し、最後の犯行から数日後に逮捕した。

エンバーは尋問に対して犯行を否定するが、後に犯行時酔っていたとして犯行を認めた。

更にエンバーは兄イシュトヴァーンと継父ヴェゲリー殺害も告白した。

裁判でエンバーは仮釈放の可能性がない終身刑が言い渡された。


2007年、判決をギョール仮釈放委員会に上告するが、委員会は最初の判決を支持し判決を確定させた。

エンバーはセゲドのチラグ刑務所に移送された。

審理中、エンバーは自身の身に何が起こっているか無関心で気にしていないように見えた。

エンバーに向けられた質問には生意気に皮肉な態度で笑顔で答え、獄中でインタビューを受けた際は更に他の殺人についても仄めかした。

罪悪感のなさを率直に表現し、唯一の反省は犯行現場の1つから12万2000フォリント (約4万円) を盗み損ねた事だけだと主張した。


2015年4月24日、エンバーがベッドのシーツでロープを作り独房で首を吊っている所を発見された。

エンバーはすぐに病院に搬送されるが、到着後、医師から脳死と診断された。

死因は自殺と確認された。



《殺人数》
5人

《犯行期間》
1991年10月12日~2004年3月7日



∽ 総評 ∽

『The Szentkiralyszabadja Monster (セントキラーイサバドゥヤの怪物) 』または『The Loop Killer (ループの殺人者) 』と呼ばれ、5人を殺害したエンバー。

最初の殺人は子供の頃に虐待された継父への復讐であり、これはまだ理解出来るし、継父はある意味自業自得である。

しかし、その後は高齢者からお金を奪う為に欲望のまま動いた鬼畜であった。

最後、エンバーは自殺しているが、通常、こういった鬼畜の自殺は反省や後悔等ではなく、生きていても意味がない為、自殺する事が多い。

その為、大抵は逮捕されてわりと早めに自殺する事が多いが、エンバーは逮捕から10年以上経ってからだった。

何の心境の変化があったのかわからないが、特に意味もないのかもしれない。

最初のガールフレンドへの殺人未遂でわずか3年という判決が信じられない。

「窃盗で有罪になったのか?」と思わせるようなふざけた判決であり、この時に厳罰にしていればその後の犯行は全て防ぐ事が出来た。

いつも同じようなパターンだが、世の中、厳罰が基本であったなら一体何人もの善良な人間が死なずに済んだのだろうか。