
エリザベス・プロフェット (アメリカ)
【 1939 ~ 2009 】
エリザベス・クレア・プロフェット (出生名エリザベス・クレア・ウルフ。プロフェットは「預言者」という意味) は、1939年4月8日、アメリカ・ニュージャージー州ロングブランチで生まれた。
第二次世界大戦中はニュージャージー州レッドバンクで家族と一緒に過ごした。
幼少の頃のエリザベスは牧歌的で穏やかであった。
1942年、父親がドイツのスパイ疑惑により拘留される。
すぐに釈放されるが、釈放された父親はエリザベスに国籍、人種、宗教の為に苦しむ人々を助けるような人間になるよう話した。
メディアや印刷物でホロコーストの恐怖を知った後、エリザベスは世界中には絶対的な悪の存在を確信する。
後にエリザベスは研究の為に政治学を専攻する事となった。
父親はアルコール依存症であり、よく母親を言葉で虐待した。
それを何年も目撃して育ったエリザベスは、血中アルコール含有量が体内で化学的不均衡を生み出す時、悪魔が現れ精神と感情を引き継ぐと確信する。
エリザベス9歳の時、てんかんの症状を起こし、欠伸発作 (現在の呼び名) と診断される。
これは生涯に渡って繰り返され、エリザベスを苦しませ続ける事となる。
一応、薬を出されるが、役に立たなかったので服用するのを止めた。
後に母親はエリザベスがお腹にいた時に中絶しようと考えいくつかの薬を飲んだ事を告白しており、エリザベスはそれがてんかんの一因であったと示唆している。
エリザベスは成長する中で神秘体験をしたと主張した。
4歳の時にすでにエジプトのナイル川の砂浜で遊ぶというビジョンを持っていたと述べ、また、自分の周りに神の光を感じ、内耳に海の波やナイアガラの滝の轟音のような音が聞こえたと主張した。
そして、水上スキーをしている時、光の中に包まれそれに喜びを感じ、愛を放射している他の精神的な存在に自分が吊るされていると感じたと述べた。
エリザベスは常に「全ての真の宗教の普遍性」を信じており「黙示録7:9―17」に登場する「白い衣の聖人」が誰であるかについて求め続けた。
父親はルーテル、母親はカトリックであったが、それほど宗教的な家庭ではなかった。
だが、エリザベスは神智学 (神秘的直感や幻視、瞑想、啓示を通じて神と結びついた神聖な知識の獲得や高度な認識に達しようとする) と「IAM」運動 (1930年代初頭に設立された神智学から分派した) に強く影響を受ける。
エリザベスは神智学や「IAM」運動でアセンデッドマスター (天界にいる高尚な魂を持つ者) やカルマ、生まれ変わりについて聞いた。
1956年、エリザベスはスイスでフランス語を勉強し、1年後にレッドバンク地域高校を卒業した。
成績はクラスで2位という優秀さであった。
エリザベスは1957年9月から1959年3月までオハイオ州アンティオーク大学に通い、ここで政治学と経済学を専攻した。
この間、1958年夏にエリザベスはバーモント州フランス語イマージョン学校でキャンプカウンセラーとして仕事に就いた。
エリザベスは15、6歳の多くの女子高生を担当し、少女たちの訓練を行った。
この時の経験をエリザベスは苛立ちとして認識し、自身は人の上に立つ事はないと神に祈るようになった。
1958年秋、エリザベスは国連の写真家であるレオ・ローゼンタールの秘書として国連でインターンシップを務めた。
エリザベスは国連で多くの大使が世界の問題を解決する為にいるわけではなく、むしろ権力政治と世界経済の操作に従事している事にショックを受ける。
国連を3ヶ月で去ったエリザベスだったが、精神的に落ち込み、世界の問題を解決する為に人々は自身の概念を変える必要があると強く思うようになる。
1959年9月にボストン大学に転校し、1961年8月に政治学の文学士号を取得して卒業した。
ボストンではエリザベスはクリスチャン・サイエンス・モニターで働き始める。
ここでエリザベスは世界規模の教会の出版活動、組織、運営について多くを学び、後に自身の教会運営に役に立った。
1961年4月22日、ボストンで開かれた公開会議で1958年8月に「サミット灯台」を設立したマーク・プロフェットと瞑想していた。
すると、エリザベスは自身がメッセンジャーになる事に気付いたと主張した。
エリザベスはマークと瞑想しながら、人生における自身の役割は人文科学の精神的進化を促進する為のより高い教えを伝える事であるというビジョンを受け取ったと主張した。
翌日、マークのようなメッセンジャーになる事を打ち明けると、マークはエリザベスを「サミット灯台」の学生として受け入れた。
エリザベスはメッセンジャーとして訓練を受ける為にワシントンDCに行くように促される。
エリザベスはアセンデッドマスター、エル・モリヤによって別のビジョンを受け取った。
同年7月、エリザベスはワシントンで行われた最初の会議に出席した後、8月にマークもワシントンへ移動し訓練を手伝った。
マークは離婚すると、1963年、エリザベスと結婚する。
1973年2月26日、マークが脳卒中で死亡すると、エリザベスが組織のリーダーとなった。
エリザベスは信者たちから「グル・マ (母なる導師) 」と呼ばれた。
1975年、エリザベスは「普遍教会と勝利教会」を設立し、1981年にはモンタナ州ガーディナー近くのイエローストーン公園のすぐ外にある1万2000エーカーのフォーブス牧場を購入する。
1986年、エリザベスは本部を移し、信者を全員モンタナ州へ移動させる。
信者数千人は財産を捨てエリザベスに従った。
「サミット灯台」の教義には個人的なキリスト教の道と呼ばれる教義、またはキリストの意識を通して神との魂の1対1の関係の方法が含まれていた。
エリザベスは絶えず神と交わりを持っていると主張した。
1987年、エリザベスは「1990年4月23日に核戦争が起こる」と予言し、アメリカがミサイル防衛プログラムを実施しなかった場合、ソ連による最初の攻撃が起こると予測する。
モンタナ州へ移動したのはその為であり、差し迫った核のホロコーストの為に放射性降下物の避難所を建設するよう信者に忠告する。
信者たちは購入したフォーブスの土地に大きな爆弾シェルターの建設を始めた。
信者たちは私設の避難所で生活し、外部との連絡を絶った。
その為、核戦争が本当に起こるかもしれないという事実を疑う事はなかった。
しかし、実際にその日が来ても核戦争は起こる事はなく、その為、エリザベスは自身の信頼を損なわないように核戦争の準備から次第に地域社会への働きかけへと徐々に向きを変えていった。
また、この頃、貯蔵されていた大量のディーゼル燃料が漏れてしまい、地域を汚染してしまった為、ほぼ完成した建設は裁判所命令により中止となった。
1998年11月、エリザベスはアルツハイマー病と診断され、1999年に健康上を理由に引退した。
2009年10月15日、モンタナ州ボーズマンで死亡した。
享年70歳。
∽ 総評 ∽
エリザベスはマークから引き継いだ教会を更に進化させ「普遍教会と勝利教会」を設立した。
アメリカでのカルト教団といえばジム・ジョーンズの「人民寺院」、デビッド・コレシュの「ブランチ・ダビディアン」、マーシャル・アップルホワイトの「ヘブンズ・ゲート」等が有名だが、正直この「普遍教会と勝利教会」はそれらに比べると有名ではなく知っている人も少ないと思われる。
それは表立った事件や事故を起こしてないからに他ならない。
エリザベスも「核戦争が起きる」と言って信者に核シェルター施設を作らせているが、こういった終末思想というのは当時のカルト教団の教祖にありがちな思考である。
ただ、これは冷戦状態という時代背景がそうさせている部分もあり、当時の人々は少なからず不安な精神状態にあった。
カルト教団の多くが何らかの事件を起こし暴走する (日本の「オウム真理教」はその典型である) 。
「人民寺院」も視察にきた議員らを殺害すると最終的に集団自殺を果たし、「ブランチ・ダビディアン」も武装した挙げ句に警察やFBIと籠城戦の末に集団自殺を図った。
エリザベスの「普遍教会と勝利教会」もその危険性が高かった。
「1990年4月23日に核戦争が起こる」という予言が外れたタイミングでエリザベスの信頼が揺らぎ強引に集団自殺でもしそうなものだがエリザベスは何もしなかった。
女性だったからかはわからないが、予言が外れた時点で目が覚めない信者の心理もよくわからない。
コメント
コメント一覧 (14)
だとしても当てが外れてもなにもしてないのにはびっくり。
嘘つき預言者ではあったけど相当な胆力だったからついてくる信者もいたのかな?
麻原尊師、マンソン尊師はなすりつけたり暴挙を信者のせいにしているし相当器ちっちゃいですからね。
高名といえど軽蔑しかできません。
まともでもないし高名でなくても嘘を肯定も否定もしなかった胆力、すごいです。
日本人で知っている人はほとんどいないと思います。
女性というのもあったかもしれませんね。
卑弥呼とかもそうですが女性は時に異状なカリスマ性を発揮しますし。
まぁ信仰も思想も自由ですし変な奴ら同士で仲良く妄想してる分には別にどうでもいいんですけどね。
時代背景もあると思いますね。
当時は冷戦状態真っ只中でいつ核戦争が起きてもおかしくないて言われていましたから。
そういった不安な精神状態につけ入って信奉させたのでしょう。
仰る通り誰にも迷惑かけずに勝手にやってる分には自由にすればいいと思います。
このタイミングで訪独したグレタさんは、ドイツは気候変動の悪者と叱咤、
更なる気候変動対策を求めたそうです。
今後温暖化が進むと、海面上昇によりオランダの国土が水没すると言われており、
欧州では日本以上に深刻な課題となっているようです。
この際に必要なのは災害に強いインフラの整備ですが、因果関係が証明出来ない事に、
多額の費用を投じる事に疑問を持たないのは、合理主義のドイツ人らしくないですね。
それこそ温暖化という宗教に洗脳されて、全財産を寄付してしまうようなものです。
仰る通り温暖化と海面上昇の因果関係は不明です。
というか海面上昇の要因に温暖化は関係ないとされています。
彼女は無視していいと思います。
彼女の発言はろくなものはないので。
土壌汚染以外は特に犯罪もしてないですが外部との連絡の遮断といい一歩間違えてたらヤバかった感はありますね。
オウムは財産を没収しましたが、自ら捨ててついて行くというのは中々すごいですよね。
一歩間違えたらヤバさはありましたね。
カルトてろくな事にならないですよ。
宗教の自由てどうなんですかね。
個人的には昔から危険であまり良い事ではないと思います。
普通の指導者なら皆殺しや集団自殺、テロに走るのに。
何もしないで普通に病死している点でも衝撃的です。
この手の指導者は獄死するか自殺するのが普通ですから。
そうですね。
そこは女性だからですからね。
男みたいに無駄に無差別にならないのかもしれません。
あまり事件になってないので全く有名ではないですけどね。
カルト的な要素を含んだ教団だっと思うのですが、他のと違って、武装化しなかったので、組織として暴発がなかったんですかね。彼女にそこまでのカリスマ性がなかったのかも。
有名な人物ではないので日本語訳は存在せず、自力で英語を翻訳した。
確かにかなり大変だったのでちょっとニュアンスが違うかもしれません。
カリスマ性はある程度あったとは思うのですが武装したりしなかったのは何だったのでしょうかね。