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イ・チュンジェ (韓国)
【 1963 ~      】



イ・チュンジェは、1963年1月31日、韓国・京畿道華城市で生まれた。

イの子供の頃の詳細はあまり伝わっていないが、村の住民はイが優しく物静かで受け答えも上手な性格の良い子だと記憶していた。

イの親や弟も後に
「物静かで内省的な人でそのような (事件を起こす) 気配は全くなかった」
と話した。

そんな考え方であった為、イが後に妻の妹を殺害した事件も「偶発的に起こしたもの」と理解していた。

小学生の時、弟が水に落ちて溺死し、この事にイはショックを受ける。

また、後のイの供述によると (真意は不明) 、子供の頃に近所のお姉さんに性的暴行を受けた。

この歪曲した性体験がイを異常な性へと導く事となった (と本人が語っている) 。


1983年2月、水原市の高校を卒業すると、1983年半ばに韓国軍に入隊し、1986年には陸軍兵長となった。

イはこの軍隊の生活で性格が変わる。

イは自身が運転する電車に後方から戦車と歩兵が従って付いてくる様子に達成感を得る。

イは元々内省的な性格であったが、相手を支配し服従させる事に異様な快感と満足を得るようになった。

除隊後、華城市で電気部品会社に入社し働き始める。

そして、1986年から1991年にかけて一連の強姦殺人事件を起こす (詳細は「未解決事件」を参照) 。


1992年4月、経理として働いていた女性と結婚し、忠清北道清州市に移り住んだ。

しかし、働いていた会社が倒産するとイは働かなくなり、妻がアルバイトで生計を立てるようになる。

そして、この頃から妻とわずか2歳の息子に暴力を振るうようになる。

妻に灰皿を投げ、下血するほど暴行を行った。

また、後の妻の証言によると、イは異様な性癖の持ち主であり、事あるごとに妻を強姦した。

それは後に家庭内暴力に苦しんだ妻が、泣きながら警察に訴える程であった。

そんなイだが周囲の人には好人物とみられており、家庭は円満だと思われていた。


1993年12月18日、妻が暴力に耐えきれなく家出すると、電話で

「このままで済むと思うなよ。覚えておけ」

と述べ、また

「離婚してもいいが再婚出来ないようタトゥーを入れてやる」

と脅した。


1994年1月13日午後2時40分頃、イは妻の家出の報復として大学のスタッフだった妻の妹に電話をかけた。

イは家に立ち寄ってトースターを持って行って欲しいと話し、妻の妹を呼び出した。

家に来た妻の妹に睡眠薬を混入した飲み物を飲ませるが、この後友達との約束があると言って帰ろうとした。

慌てたイは午後6時30分頃、妻の妹を強姦し、鈍器で頭を殴り首を絞めて殺害した。

そして、午後11時40分頃、自宅から約900m離れた金物店のガレージに死体を捨てた。


2日後の15日、金物店のオーナーの妻が雪の積もったガレージの清掃をしていた所、遺体を発見する。

遺体は青色のカバーで覆われており、頭にはビニール袋が被せられ両手を縛られていた。

また、全身がストッキングやバッグの紐等で巻かれていた。


妻の妹殺害後、イは華城市へ戻る予定であったが、同年1月18日、逮捕された。


1994年5月6日、裁判でイは死刑が言い渡され、同年9月に行われた二審でも死刑が支持された。


しかし、1995年1月16日、最高裁判所が殺人に計画的な証拠がないとして二審を破棄し、無期懲役を言い渡し確定した。


2019年9月19日、韓国警察がイが「華城連続殺人事件」の犯人であると発表した。 

犯行現場で採取されたDNAを最新技術で鑑定した結果であった。

イは華城市の殺人10件を含むこれまで15件の殺人を告白した。

犯人がイだと特定されたが、一連の事件は2006年4月2日に公訴時効が満了している為、罪に問う事は出来なかった。

結局、逮捕して刑務所にいた囚人が連続殺人犯であったのだが、警察の杜撰な捜査が露となり、国民の批判を受ける事となった。



《殺人数》
11人 (本人は15人と告白)

《犯行期間》
1986年9月15日~1994年1月13日



∽ 総評 ∽

韓国では最も有名かつ残忍な未解決事件であった「華城連続殺人事件」。

その犯人が2019年についに判明した。

これはアメリカでいう「ゾディアック事件」、イギリスでいう「ジャック・ザ・リッパー事件」が解決するくらい凄い出来事であった。

だが、判明したはいいが時効により裁く事が出来なかった (罪に問えないのならせめて遺族たちに引き渡して好きにさせるべきである) 。

時効成立後も犯人逮捕に力を注いだといえば聞こえはいいが、妻の妹の強姦殺人の時に特定する事は出来なかったのだろうか (「華城連続殺人事件」から3年程度しか経過していない) 。

先の2つの事件のように殺人目的なら証拠も少なく逮捕出来ないというのもわかるし、時代も古いのでどうしようもない部分もある。

だが、この華城の事件は強姦という最も証拠が残る可能性がありしかも時代もそれほど古くない。

国民が警察の捜査が杜撰だと批判する理由がよくわかる。

イは死刑判決が一旦下されたが、結局、無期懲役という判決となった。

ただ、韓国は1997年に死刑を執行して以降、現在まで執行しておらず、事実上廃止となっている。

その為、仮にイの死刑が維持されたとしても、結局無期懲役になった可能性は高い。