
トーマス・ウールフォーク (アメリカ)
【 1860 ~ 1890 】
トーマス・ジョージ・ウルフォークは、1860年6月18日、アメリカ・ジョージア州ビブ郡で生まれた。
家は大きな綿農園を営んでおり、父リチャードと母スーザン・ムーアの3番目の子供であった。
トーマスが生まれて間もなくスーザンが亡くなり、その為、トーマスと姉妹はジョージア州アテネの母方の叔母と一緒に住む事となった。
1867年、リチャードが再婚した為、トーマスはビブ郡に戻り、リチャードと継母マティー・ハワードと農園で生活を始めた。
しかし、トーマスは継母のマティーを憎んでいた。
リチャードとマティーの間には6人の子供 (トーマスからすると異母兄弟) が生まれるが、その子供たちも激しく嫌っていた。
トーマスの継母や異母兄弟たちへ向けられる悪意の理由は、父親の財産を奪われる事であった。
そんな中、トーマスは結婚するが、妻はたった3週間で出て行ってしまう。
後に妻は
「非常に頑固でひねくれており、不気味な人だった」
とトーマスの事を語っている。
この頃のトーマスは精神に異常をきたしており、非常に不安定な状態であった。
1887年8月6日午前2時から4時にかけて、トーマスは家族を短い柄の斧で頭部や上体を殴り付け次々と殺害していく。
殺害されたのは父リチャード (54歳) 、継母マティー (41歳) 、リチャード・ジュニア (20歳♂) 、パール (17歳♀) 、アニー (10歳♀) 、ローズバッド (7歳♀) 、チャーリー (5歳♂) 、マティー (18ヶ月♀) 、リチャードの叔母テンパランス・ウェスト (84歳♀) の9人であった。
殺害後、トーマスは近所に助けを求め、家族が殺されたと主張し、第3者によって殺害されたと偽った。
トーマスは自分は窓から飛び降りて助かり、その後、中の様子を確認する為に家に入ると、犯人が家から去るのを聞いたと話した。
数時間の内に数千人がウールフォークの家に駆けつけ、検視官がその場で遺体の確認と、唯一の生存者であるトーマスを尋問した。
すると、疑いはすぐにトーマスに集中した。
トーマスの耳に血の斑点があり、足には血の付いた手形があった。
しかも、トーマスは家族が殺されたというのに悲しい感情を一切示さず、悲しさよりも不安な様子であった。
そして、1人だけ生き残った事について問いただすが、その受け答えも曖昧でコロコロと変えた。
また、家には侵入されたり盗まれたといった証拠が何もなかった。
検視官がトーマスを犯人だと結論付け、トーマスは逮捕された。
翌日、ニューヨーク・タイムズ紙のトップページに事件が掲載され、新聞には
「多くの血を流した悪魔による犯罪。これまでのいかなる犯罪よりも深い堕落に充ちている」
と書かれ、トーマスを『Bloody Woolfork (血まみれのウルフォーク) 』と呼び、ジョージア州のみならず全米が騒然となった。
同年12月5日、ビブ郡の上級裁判所で審理が開始されたが、トーマスは刑務所に移送される際も裁判所へ移送される際も怒り狂った群衆にリンチに遭う事を恐れ、多くの保安官が警護についた。
トーマスの審議はわずか12分で終わり、同年12月15日、有罪判決となり、死刑を言い渡された。
1889年2月11日、ジョージア州最高裁判所は、トーマスに再審を許可した。
しかし、群衆は
「奴を絞首刑にしろ!奴を絞首刑にしろ!奴を絞首刑しろ!」
と叫んで抗議した。
同年6月3日、ヒューストン郡の上級裁判所で再審が始まり、同年6月24日、45分の審議の末、有罪判決となり、翌日、再び死刑が言い渡された。
同年7月28日、ジョージア州最高裁判所は判決を支持した。
同年10月29日午後、ペリーでトーマスは1万人の群衆が見守るの中、絞首刑による死刑が執行された。
享年30歳。
執行直前、トーマスは無言で動揺している素振りを見せなかった。
その為、命乞いしたり慌てふためく姿を想像していた群衆は失望した。
この事件は現在までジョージア州における最悪の一家惨殺事件とされている。
《殺人数》
9人
《犯行期間》
1887年8月6日
∽ 総評 ∽
『Bloody Woolfork (血まみれのウルフォーク) 』と呼ばれ、一家9人を殺害したトーマス。
同じジョージア州ではアルデイ一家殺害事件というのが後に起こっているが、この時は一家6人であった。
この事件との違いはアルデイ一家を殺害したのは関係のない一家と関係のない人間だったが、トーマスが殺害したのは自身の家族であった。
群衆はトーマスに怒り狂い、リンチに遭う事を恐れた保安官が警護にあたった。
司法の体たらくにはリンチという方法も仕方ない事だと認識しているが、個人的に今回はトーマスをリンチしたいと思わない。
なぜなら犠牲者が全員家族だからである。
言い方を極端にすれば、家族のいざこざが最悪の結果になっただけで、こんな人間が家族にいてしまった事実に運がなかったと諦めるしかない。
トーマスは継母を嫌っており、その為、実父と継母との間に出来た異母兄弟たちをも嫌っていた。
父親は広大な綿農園を営んでおり、その財産を継母と異母兄弟たちに取られる事を恐れての犯行とされている。
動機としては救いようがないが、自分だけ家族じゃないような孤独感をおそらくトーマスは常に感じていたのだろう。
トーマスには姉がいたが、嫁いだ為か犯行現場となった家にはおらず、一緒に住んでいなかった。
もし、姉たちも一緒に住んでいたのならこんな事にならなかったのかもしれない。
100年以上経った現在でもジョージア州においては最悪の事件とされており、その衝撃度から現地では非常に有名な事件とされている。
コメント
コメント一覧 (28)
今回は無事凶悪犯罪者の処刑が執行され、ほっとしました。
凶悪犯罪者で救いようはないのでしょうが、法の手でしっかりと処刑しているのはご英断です。
今回の凶悪犯罪者はブラッディウルフォークとあだ名され、かなり凄惨な事件なのは間違いないです。
殺害相手に少女と幼児が含まれているので充分憎まれるのは当然だと思います。
が、個人的には手を下すのは司法か遺族のお姉さんにゆだねればいいかなと思いました。
俺たちにリンチさせろと言う民衆の怒号、罵声を押し切り、法のもとで処刑できているのはお姉さんたちも救われたことでしょう。
時代が時代ですからね。
これくらいの時代はどこの国も死刑判決→即執行が当たり前でした。
凄惨な事件ではありますが、両親の離婚や再婚がなければ、もしかしたらこんな事になっていなかったかもと思うと何か複雑ですね。
ジョージア州は南北戦争で荒廃し、農場主はこれまで支えていた奴隷を失い、
かなり不安定な状態だったと思われます。
それにしても、同じ人殺しでも白人と黒人で随分待遇が違いますね。
最終的に処刑されたのは良かったものの、裁判中は護衛が付けられるとか。
黒人のジェシー・ワシントンは、暴徒と化した市民に裁判所から引きずり出され、
警察や役人を含む1万5千人の観衆の前で、リンチされ焼殺されました。
彼は強姦殺人の容疑で死刑を言い渡されましたが、主な証拠は彼が署名した供述書でした。
しかし彼は読み書きが出来なかったのです。
つまり冤罪の疑いが濃厚です。
これが中世ではなく、つい100年程度前の話です。
もう奴隷解放後の時代で、彼は奴隷ではなかったのに、酷い話ですよ。
なるほど、不安定な状況ですとこういった凄惨な事件が起こるのも頷けます。
確かにこの時代でもし犯人が黒人だったなら護衛などつけられず普通にリンチに遭っていたと思われますね。
日本の江戸時代の「斬り捨て御免」じゃないですが、黒人には権利などないに等しい時代でしたから。
生後間もなく母親が死去して叔母へ預けられ、父母の愛情を全く受けずに成長したと考えれば、物心ついた頃には「ひねくれたクソガキ」になっていたと思います。
それが、最も多感な時期に実家へ戻ると「赤の他人」の再婚女性と父親がイチャイチャしているのです。
全く父母の愛情を受けていなかったクソガキにとって充分、憎しみの対象となったと・・・・・・
しかも、月日が経過する度に継母側は勢力(※子供が増える)が増していくのにつれて悲観的妄想に取り憑かれ、日に日に憎悪が脹れ上がったのだと思います。
才覚も無く、独り立ちも出来ないクソムシが父親の資財に目を着けるのは当然でしょう。
そして無知無策の上、短絡した一家虐殺を試みて嘘がバレて逮捕されただけです。
民衆が死刑を喚き散らしていたのは南北戦争や経済の悪化が原因で「娯楽」として死刑を望んだのだと思いますね。
現代風の絞首刑では無くて、首に縄を掛けてから引き揚げる「縛り首」を主張していたんだと思います。
管理者さまの仰る通り「オメェ等には関係無ぇだろ!」なんですが"他人の不幸を見れば、自分の不幸を和らげられる"と考える神経の持ち主が非常に多かったんだと思います。
※まぁ、生かしておく価値なんか微塵もありませんが!
確かにその可能性はありますね。
それが再婚という出来事で一気に加速していった感じはします。
娯楽の処刑、確かに昔はどこの国もそうでしたね。
「他人の不幸は蜜の味」という事ですね。
気持ちはわかりますが他人が不幸になっても自分は幸福にはならないので (幸せになる事もありますが) 、私は他人の不幸はあまり喜ばしく思わないですね。
日本でも中世では刑場には人だかりが出来たとの文面が残っているので世界的に見ても当たり前だったのだと思います。
まぁ、ヨーロッパみたいにカフェやテラスでワインを片手に・・・・・・なんてなのは無いですが。
娯楽が極端に少なかった時代ですから処刑が本当に楽しかったのでしょうね。
現代人と昔の人の精神状態を比べる事自体ナンセンスですが。
管理人様も仰ってますが、こんな人間が家族にいてしまった事実に運がなかったと諦めるしかないと思います。
いくら継母と兄弟達に財産奪われるのを恐れたからといって、ここまでやっちゃうともう動機もへったくれもないですな。
コイツは精神異常者なのは間違いないですが、下手に病院送りにならないでよかったですよ。
また、コイツを処刑しないと暴動が起きる可能性もあったでしょうね。
9人ですからね。
ただ、恨んだ相手を全員となると叔母以外ほぼ全員となってしまいますね。
処刑は当然ですが、暴動が起きたとしたら「あなた達に迷惑かけました?」と言いたい気分でしょうね。
ですね。
もう本当にとんでもない。
その発言は宅間守を彷彿とさせますね。
「今日はホンマに気分がええわ。ワシを悩ませた糞親にも嫁の家族にも迷惑かれてな!」
自分が殺人犯になって親族に迷惑をかけられるという意味ですかね。
殺すわけでもなく間接的に迷惑をかけるというのも恐ろしいですね。
アメリカの農家って、今も昔も大変ですな。犯人の行動は許されるものでは無いですがね😅
今のアメリカの農家は借金漬けで、辞めるに辞められない。国からの補助金が全体の半分出てて、実は社会主義的な状態でね。
諸経費が半分国持なんで、国が離れれば、倍に成ってしまうので、破産しかないって状態(ちなみに日本はその3分の1程度)
アメリカの農作物が安いのは、国が半分持ってるからってだけなんだよね😅効率で考えると、日本の方が良かったりする。奴隷なり、国なり見てもらわないと成り立たないのがアメリカの農家の実情。
2000だったんですね。
記事の数とか気にしてないので初めて知りませんでした。
どうせなら何か記念でも行えばよかったですね。
ただ2000て自分で言うのもなんですがよくここまでやって来たなというのが正直な感想ですね。
ナナシンさんも約5年もよく付き合ってくれているものだと率直に嬉しいです。
そんな事になってるんですね。
アメリカ農家は大変ですね。
そんなんだったら誰もやりたがらないですよ。
財産を取られることを極度に恐れていたようですが単なる被害妄想のような気がするので家族は気の毒だなと感じます。
家族殺害の記録は1987年に5日間で14人の家族を殺害したロナルド・ジーン・シモンズですね。
被害妄想の可能性は高いように思います。
上には上がいるもんですね( ゚д゚)。
はい。
しかも、シモンズは他に他人2人も殺害してます。
16人も殺してるとか凄まじいですねこの記録が更新されない事を願います。
おめでとうございます。
インドの強姦鬼畜4匹が明日殺処分されるようですね。
女性を散々強姦し苦しめて殺し、裁判の時は殺された女性に責任転嫁。
しかも処刑の直前まで往生際悪く情けない命乞いして延命。
なんてみっともない穢れたクソムシども。
処刑人さんが全然負い目を感じないとおっしゃっていますが衝撃度を考えると当然です!
処刑のときくらいは4匹共堂々と死ね!
ありがとうございます。
私も教えて頂いて知りました。
全く気にしてなかったので。
やっと処刑されるのですか。
ただ、本当に執行されるまで油断は出来ませんね。
娘は血腫と肋骨骨折を負わされ、それが元で病死しました。
男には妻もいて、大変な思いをして産んだ子供を、夫に殺されるなんて地獄でしょう。
懲役8年なんて、誰も納得しないでしょう。
NHK社員を切り付けた韓国籍の男に懲役15年の判決です。
男は殺人未遂の他に、不法滞在の容疑で起訴されていました。
男は「無責任な報道をするメディアへのメッセージだ」 と供述しており、
報道関係者なら誰でも良かったという、身勝手な動機でした。
立派なテロ行為です。
こういう輩がいるから、日本にも言論の自由が無くなるのです。
左翼の人達は分かっているのでしょうか。
8年ですか。
生後1ヶ月だから軽くなったのは明白な判決ですね。
韓国籍だからでしょうね。
止めろと言ってもきかないでしょう。
さっさと韓国とは断絶すべきですね。
本当はごうかん魔やごうとうは死刑以外ありえないし、再犯のことを考えるなら再犯者の待遇はもっと下げるべきでしょう。
娘を揺さぶって殺した父親の判決は本当にひどいです。
どう考えても殺人でしょう。
自分の子供が殺されてないから好き勝手言えるのかな?
もしかして勉強をしすぎて普通の常識とか感情がわからなくなってるのかも?
勉強し過ぎてとか常識どうこうではないと思います。
単純に生後1ヶ月だからだと思います。
感覚でいえば、中絶は無実なのと同じようなものだと思います。
人権派弁護士?かなと思いましたが、そんな所で揉めたくないので何も言いませんでした。
人権問題って最近人権の意味が変わってきているように思います。
患者の隔離は当然ですよ。
それは人権とは関係ありません。
それでは病気をうつされる可能性がある側の人権はどうなるのでしょうか。
自称・人権派弁護士と云うイキモノは弱者と思えば、どんな奴でも弁護して「俺はなんて素晴らしい人間なんだ!」と自己陶酔できる馬鹿を指すんですよ。
先日、特番で放映されていた「産んだ子供とDNAが違う」事でワシントン州から詐欺として訴えられた女性に進んで尽力した弁護士こそ「人権派弁護士」と言うべきと私は思います。
決して凶悪鬼畜クソムシの減刑を勝ち取ろうと足掻くヒトデナシを人権派と呼ぶべきでは無いと思いますね。