
ジョン・マネー (アメリカ)
【1921 ~ 2006】

デイヴィッド・ライマー (アメリカ)
【1965 ~ 2004】
ジョン・ウィリアム・マネーは、1921年7月8日、ニュージーランド・モリンズビルで生まれた。
マネーの家族は英語やウェールズ語 (主にイギリスで話される言葉) を話した。
マネーは始めビクトリア大学ウェリントン校で心理学を研究した。
1944年、マネーは心理学と教育の2つの修士学位を取得して卒業する。
1947年、マネー26歳の時、マネーはダニーデンにある心理学では権威の高いオタゴ大学ではなく、アメリカ・ペンシルベニア州にあるピッツバーグ大学に通う事となる。
マネーはピッツバーグ大学にある精神医学研究所で勉学に励んだ。
その後、マネーはピッツバーグ大学を去り、1951年からジョンズホプキンス大学の医学的心理学者として勤めるようになる。
1952年にはハーバード大学で博士号を取得した。
1950年代、マネーは結婚したが、子供が生まれず後に離婚している。
その後、マネーは性科学者、心理学者としていくつもの理論を提唱する。
マネーは「セックス」という言葉に対し、本人の性自認、性的役割など社会的な側面を指す言葉として「ジェンダー」という言葉を転用し、世間に広めた (しかし、一般的には「ジェンダー」は社会学者イヴァン・イリイチの言葉とされ、多くの性科学者やフェミニストが様々な解釈を行っている) 。
また、マネーは「性的倒錯」の「倒錯」という言葉をより断定的な「性的好み」、「性的嗜好」という言葉に置き換え、それは世間に広く伝わった。
1965年、マネーはクロード・ミゲオン (♂) と共にクリニックを設立する。
そして、マネーは
「生まれて18ヶ月以内の子供の性自認は中立であり、その間に生育上の性別と外性器の外見を一致させ、第二次生徴期と共に適当な性ホルモンを投与すれば、生まれつきの性別とは関係なくその子の性自認を決定する事が出来る」
という考えを主張した (簡単に説明すると、生まれてすぐの子供は性別的には男女どちらでもなく、例え男だとしても性器を切除し、適当なホルモンを投与すれば女に出来るというような考え方) 。
そして、その考えを実現すべく、実験台となる患者を探していた (このマネーの持論については、ハワイ大学のミルトン・ダイアモンド等が「生物学的に男性もしくは女性として生まれた子供はその理論は適用出来ない」と反論している) 。
1967年、そんはマネーに願っていもない患者が現れる。
それはこの時、生後約16ヶ月のデイヴィッド・ライマー (1965年8月22日生まれ。この当時の名前はブルース) であった。
ライマーにはブライアンという双子の弟がおり、兄弟は生まれて6ヶ月後に小便時に痛みを訴えた。
病院に連れて行くと、兄弟は包茎と診断される。
その為、兄弟は割札 (生まれて間もない男の子の性器の包皮の一部を切除する風習) を行う事となり、1966年4月27日に電気焼灼器 (電気焼灼器は医療道具ではあったのだが、本来手足や生殖器に使用される物ではなかった) で手術を行った。
しかし、医師がミスを冒してしまい、ライマーの陰茎が焼き切られてしまう。
この医療ミスにより弟のブライアンの手術は中止された (実はブライアンはその後、包茎の症状は自然に改善された為、ライマーへの手術も結局必要なかった) 。
この事にショックを受けたライマーの両親は、ライマーの今後の人生や性機能について相談する為、マネーを訪ねる事にしたのだった。
マネーはこの時、カナダのテレビ番組にも出演し、性転換手術を施した男性についてやその方法、自身の考えについて述べていた。
マネーが性科学者として第一人者である事はライマーの両親も周知の事実であり、その分野の権威であったマネーを頼るのは当然の事であった。
ライマーと会ったマネーは、両親に
「女性として育てる事が彼の将来の為になる」
と説得した。
マネーにとってライマーは自身の考えの正当性を実現する為の格好の実験材料 (モルモット) であった。
マネーは「性別を自己認識する要因は全て後天性であり、先天性ではない」という説の強力な支持者であった。
ライマーとブライアンは全く同じDNAを持つ双子であり、同時期に母胎の中で同じ成分のホルモンを与えられていた。
そして、性別の自己認識が出来ていない時期 (マネーの説によると3歳まで) に一方を男、一方を女として育てる事が出来る。
その為、マネーにとってライマーとブライアンは最高の比較材料であり、これ以上の存在はあり得なかった。
ライマーがこの先の人生で女性として生きて行けば、ライマーが指示する「性別を自己認識する要因は後天性」という説が正しいという事を証明出来る。
その為、マネーはライマーの両親に強く説得を試みた。
そのマネーの説得に心打たれたライマーの両親は手術を承諾した。
そして、ライマーはわずか1歳10ヶ月で残った陰茎と睾丸を除去され去勢された。
ライマーにはブルースから「ブレンダ」という女性の名前が与えられ、新たな人生を送る事になる。
ライマーはその後数年間、マネーから自身を女性と認識するよう心理的な治療を受け続けた。
また、マネーはライマーだけではなく、両親に対しても家庭におけるライマーへの教育方針等も指導した。
更にマネーはライマーを含む治療を行った子供やその親に対し、子供に性的自己認識を起こさせる為に早期の擬似性体験を奨励した。
その為に性的な言葉や男女の裸体姿の写真等を子供に見せ、マネー自らも実践して示した。
後編に続く
コメント
コメント一覧 (4)
マネーは殺人者ではありませんが、やったことは吐き気をもよおす行為であり、鬼畜以外の何物でもないです。
鬼畜以外の何者でもないですね。
科学者というのは時に自身の考えを実行する為に想像を絶する非情さを見せるものです。
何とも恐ろしい話しですが。
このようなマッドサイエンティストが知識と立場をもってしまうととても恐ろしいですよね
仰る通りですね。
中途半端な知識と自信というのは恐ろしいという事だと思います。
中途半端というのは言い過ぎでかなりの知識はあると思うのですが。