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ヨハネス・メサリー (アメリカ)
【1981 ~ 】



2008年12月31日大晦日、黒人男性オスカー・グラント (22歳) は昼間、ガールフレンドのソフィーをパート先に、娘のタチアナを保育園にそれぞれ迎えに行き、その後、実家に向かった。

この日は偶然、グラントの母親の誕生日でもあり、家には妹や親戚が集まっていた。


同日午後11時頃、グラントとソフィーはタチアナを妹に預け、仲間と一緒に新年のカウントダウン花火を見に行く為、ベイエリアを走る高速鉄道に乗りカリフォルニア州サンフランシスコへ向かった。

当初、グラント達はサンフランシスコへ車で向かう予定であったが、
「酒を飲んでも安心だから」
と言う母親の言葉で電車で向かう事になったのだった。

しかし、グラント達の乗る電車がトラブルを起こしてしまい、サンフランシスコに近づく頃にはすでに2009年新年を迎えていた。

この電車内でグラントは以前、刑務所に入っていた時に一緒だった白人男性と偶然出会ってしまう。

この白人男性は刑務所の時、グラント以外の黒人男性にも何かと突っかかる差別主義者で、刑務所にいた時にグラントも何かとこの白人男性と揉めていた。

この時もグラントを見るなり、いきなり殴りかかってきた。

互いに5、6人の仲間が一緒だった事もあり、総勢10人以上入り乱れての大騒ぎとなった。

グラントらはサンフランシスコ駅の1つ手前の『フルートベール駅』で下車する事となり、下車後も駅構内で殴り合いが続いた。

これを見ていた乗客が警察に通報し、すぐに警官3人が駅に到着する。

その警官3人の内の1人にヨハネス・メサリーという白人警官がいた。

警官を見るやグラントや白人男性ら全員が逃走するが、警官はグラント達黒人男性だけを追い掛け捕まえた。

グラントを拘束したのはメサリーであった。

捕まったグラントはこの時、仮釈放の身であり、ここで捕まってしまえば刑務所に戻る事となる。

そこでグラントは
「俺にはまだ4歳の幼い子供がいるんだ。頼むから見逃してくれ」
と懇願するが、反抗的だと判断したメサリーはグラントを無理矢理うつ伏せにし、背中に手を回し手錠を掛けた。

手錠を掛けられて無抵抗であったグラントに対し、メサリーは銃を抜くとグラントに向けて発砲、その場で射殺した。

新年を迎えた午前2時頃の出来事であった。

すぐにグラントは病院に搬送されるが、7時間後の午前9時15分、グラントは死亡が確認された。

事件後、乗客の1人が事件の様子を一部始終動画で撮影しており、それが証拠となりメサリーは逮捕された。


だが、裁判でメサリーは発砲時、鉄道警察職員に付与されているスタンガンと拳銃を間違えて使用してしまったと主張する。

だが、そもそもスタンガンは拳銃と比べてその重さがわずか5分の1の重さしかなく、形もサイズも全く違う。

一般市民ならまだしもメサリーは警官であり、そんなメサリーが銃とスタンガンを間違えるという単純なミスをするというのは、言い訳としては誰がどうみても苦しかった。

また、発砲時に相手に対して促す警告もしておらず、手錠をかけられた相手に発砲するというのは考えられない事だった。

しかも、一緒に現場にいた他の警官2人は、到着した時に白人集団は逃走しており、現場で争いがすでに起こっていなかった為、危険と判断せず銃を抜く所か特にこれといった拘束を誰にも行っていなかった。

誰がどうみてもメサリーの主張は苦しかったが、にもかかわらず陪審員はメサリーの主張を認め、その罪を過失致死として、わずか2年の禁固刑を科しただけだった。

この不当な裁判結果をニュースや動画で知った一般市民達の怒りは頂点に達し、『フルートベール駅』や鉄道会社本部周辺にて大規模なデモが起こった。

誰がどうみても警官のやり過ぎは明白で、しかも、黒人のみだけターゲットに絞ったやり方に人種差別は明らかだったからだ。


後に、鉄道会社からグラントの娘タチアナには150万ドル (約1億5000万円) の賠償金が支払われる事が確定した。



∽ 総評 ∽

拘束され無抵抗にもかかわらず射殺されたグラント。

以前にも何人か白人警官による黒人男性を射殺する事件は掲載しているが、この事件はその中でも酷い部類に入るだろう。

グラントは後ろ手に手錠をかけられ、うつ伏せにされているにもかかわらず撃たれているのだ。

すでにグラントには抵抗する力などなく、そんなグラントに襲われる心配は微塵もない。

以前掲載してきた同様な事件の場合、このグラントの事件のように少なくとも手錠で拘束された人間は誰もいない。

確かにグラントはドラッグの密売で刑務所に入り、ソフィーとは結婚せずタチアナをもうけ、それなのに不倫もし、しかも、せっかくありついたスーパーマーケットの仕事も遅刻でクビになるなど、とても品行方正とは言えない人生ではあった。

ただ、それとこの事件は関係ない。

手錠をかけられ拘束した際、グラントの過去の行いはメサリーにわかるはずもなく、黒人男性がただ喧嘩しているというだけで過剰に反応してしまったとしか言えず、とてもメサリーを擁護出来ない。

陪審もどう考えてもメサリー側の主張が苦しいにもかかわらず、メサリーに寛大な処遇を下した。

私が陪審だったら、間違いなくメサリーを殺人罪で裁くだろう。



【評価】※個人的見解
・衝撃度 ★★★★★★★☆☆☆
・残虐度 ★★★★☆☆☆☆☆☆
・異常性 ★★★★☆☆☆☆☆☆
・特異性 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
・殺人数 1人

《犯行期間:2009年1月1日》