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ゴードン・ノースコット (アメリカ)
【 1906 ~ 1930 】



ゴードン・スチュアート・ノースコットは、1906年11月9日、カナダ・サスカチュワン州で生まれた。


ノースコットはカリフォルニア州リヴァーサイドで養鶏場を経営していた。

この養鶏場には、ノースコットの母親であるサラ、甥であるサンフォード・クラーク (15歳) が働いていた。


ノースコットは常習的な性犯罪者で、少年を特に愛すペドフィリア (幼児愛・小児愛) であった。


そんなノースコットは日常的に少年を誘拐してきては、自分の経営する養鶏場に連れ込みレイプした。

しかも、ノースコットはレイプするだけでは飽き足らず、少年を養鶏場に監禁し、好きな時に好きなだけレイプし、性奴隷にしていた。


更にノースコットは自分のような同じ小児性愛者仲間に、監禁した少年を有料で貸し出し儲けていたという鬼畜ぶりであった。


ノースコットは監禁した少年に飽きてしまうと、斧で頭部を何度も殴って殺害。

死体は石灰に漬けて肉を溶かし、白骨化すると近所の砂漠に捨てていた。

そして、また次の獲物を物色しては、拉致・監禁することを繰り返していた。


ノースコットによって犠牲になった少年は10数人にも及んだ。


これらのノースコットの犯罪について、母親はもちろん甥も知っており、殺害に関しては母親もノースコットの手伝いをしていた。

甥は白骨を砂漠に捨てるのを手伝った。


1928年2月、カリフォルニア州ラ・プエンテの溝の中で、メキシコ人少年の首なし死体が発見された。


同年3月10日、ウォルター・コリンズ (9歳) が行方不明になった。


同年5月16日には、ルイス・ウィンスロー (12歳) と弟のネルソン (10歳) が行方不明になった。

しかし、この兄弟が若い男に連れられて行くのを目撃された。

それがノースコットだったのである。


警察が養鶏場を訪ねた時には、ノースコットはカナダに逃げた後だった。


残された母親のサラと、15歳の甥クラークを警察が厳しく追求したところ、今までの悪行が発覚する。

甥が指定した場所には、山ほどの人骨が転がっていた。

犠牲者の数は最低でも20人は下らないだろうと見られている。


やがてカナダで身柄を押さえられたノースコットは、のらりくらりと尋問をかわし、供述は一定しなかった。

「殺ったのは18人いや、19人くらいかなあ。いやいや、おそらく20人は下るまい」

犠牲者の数はコロコロと変わり、

「あっ、思い出した。あそこに埋めたんだっけ」

等と言うので出向いてみれば、嘘八百だったりするのである。

この警察の捜査を混乱させる様は、後の有名なシリアルキラー、ヘンリー・リー・ルーカスやケネス・ビアンキに似ている。


結局、裁判でも事件の全貌が明らかになることはなかった。

母親のサラはウォルター・コリンズの殺害に加担したかどで終身刑を云い渡され、甥のクラークは、ノースコットに不利な証言をするという司法取引により、不起訴となった。


結局、確実である3人の殺害で死刑を云い渡されたノースコットは、死への恐怖から次第に精神の均衡を失い始め、恐怖に脅えながら絞首台に臨んだ。


1930年10月2日、 サン・クウェンティン刑務所の刑場で死刑が執行された。

ノースコットの最後の言葉は、

「祈りを・・・どうか私に祈りを捧げてください」

であった。

享年23歳。


余談であるが、この事件の被害者の母親の身に起きた出来事をモチーフにした映画が、2008年公開された『チェンジリング』であり、一連の犯罪の首謀者・ゴードン役をジェイソン・バトラー・ハーナーが演じた。


事件後、母親であるサラは前述したとおり、1928年12月31日に終身刑となったが、死刑を免れての終身刑であった。

理由は、ただ単に「女性」だったからであったといわれる。

サラは12年後、仮釈放されている。


司法取引によって無罪となり釈放された甥のクラークは、その後、氏名の変更命令を出され少年院送致となり、カナダに強制送還された。

クラークは事件の関係者の中では最も長生きし、家庭を構え、1991年に (78歳) 死亡した。



∽ 総評 ∽

ノースコットはわずか24歳で絞首刑となったが、やってきた犯罪はその若さを感じさせない異常なものだった。

少年に愛情を抱き、拉致監禁し、レイプする。

しかも、その監禁した少年を散々弄んでおきながら、自分の快楽だけでは飽きたらず、同じ小児性愛者に金で提供し、飽きたら首を切断し殺す。

ただの快楽殺人者以上の陰湿で陰惨な所業を平然とやってのけた。

しかし、ノースコットは自分が死刑となると、死への恐怖から精神に異常をきたし、死ぬ時には神頼みするなど、悪行を重ねた割に自分は死にたくないと、みじめというほかない。

大抵のシリアルキラーは、人の命に軽薄なかわりに自分の命にも軽薄な人物が多い。

アルバート・フィッシュは、電気椅子で死刑になる際、
「一生に一度しか味わえない最高のスリル」
と言ったといわれているし、

ペーター・キュルテンは、ギロチンで処刑される際、
「自分の首から血飛沫が出る音を聞くのが最後の望みだ」
とさえ言っている。

このように大抵のシリアルキラーは、自分の死に対しても無頓着で、生に固執しないものだ。

そもそもノースコットに提供され、レイプした人間は沢山いたと思われるが、その人物達は罪に問われないのだろうか?

いくら金を払ったといえど、少年たちは無理矢理犯されたわけだし、まだ10歳前後の少年ばかりだった。

自分の欲求だけではなく、人に提供し、金を儲ける。

数々存在するシリアルキラーの中でも、ノースコットは最低レベルの鬼畜と言える。



【評価】※個人的見解
・衝撃度 ★★★★★★★★☆☆
・残虐度 ★★★★★★★☆☆☆
・異常性 ★★★★★★★★☆☆
・特異性 ★★★★★★★★☆☆
・殺人数 最低20人以上

《犯行期間:1928年》