
トミー・セルズ (アメリカ)
【 1964 ~ 2014 】
トミー・リン・セルズは、1964年6月28日、カリフォルニア州オークランドで生まれた。
一家はセルズが生後18ヶ月の時にセントルイスに移住する。
ここでセルズは髄膜炎にかかり、双子の妹は死亡する。
九死に一生を得たセルズだったが、母親は病み上がりの我が子に対し愛情が無くなり、2歳の時に叔母に預け育児を放棄する。
セルズが5歳になっても母親は一切会いに来なかった為、叔母は養子にしようと手続きを始めるが、それを知ると母親は激怒し、セルズを連れ戻した。
母親は2歳から5歳までの3年間育ててもらった恩など一切感じず、その後セルズに1度も会わせる事はなかった。
複雑な環境下で幼少を過ごしたセルズは、7歳で学校に行かず不登校となる。
母親はそんなセルズを気にもとめる事はなく無視した。
後の母親はインタビューで、
「トミーはね、言われたことと正反対のことをするような子供だったのよ。学校に行かなかったのもそういうことよ」
とコメントしている。
8歳の時、近所住む男性と仲良くなり、友達となる。
その男性はセルズにお小遣いやプレゼントを上げた。
セルズはその男性の家によく泊まりに行ったが、無関心だった母親はそれを止めなかった。
後にセルズはこの男性はペドフィリア (小児性愛者) で、自分もその被害者であると語っている (実際その男性は後に男の子にいたずらした罪により逮捕されている) 。
セルズの祖父も母親に負けず劣らずの異常者で、祖父はセルズが7歳の時から強引に酒を飲ませ、10歳の時にはマリファナを吸わせた。
まともな教育もされず、劣悪な環境で育てられたセルズはすでにまともな精神状態ではなく、14歳になると家を出て貨物列車に忍び込み、移動しながら窃盗を繰り返した。
セルズの最初の殺人は16歳の時で、泥棒に入った家の主人が少年と性行為しているのを発見し、逆上して殺してしまったと明かしている。
トミー自身が最も記憶にあるという初期の殺人は、1985年7月の事件であった。
4歳の子供を連れた35歳の女性と知り合い意気投合する。
その女性と性行為を行ったが、目を離した隙にセルズのバックパックから金目の物を盗もうとした為、子供の木製バットで滅多打ちにし、4歳の子供も姿を見られたから殺した (だが実際はトミーが家に侵入し、女性を強姦した上殺害し子供もついでに殺したというのが真実とされる) 。
その後、セルズは1987年5月、ニューヨーク州で28歳のスーザンヌ・コルツ (♀) を殺害する。
同年11月18日、イリノイ州で自宅に招いてくれた知人のダーディーン一家4人を殺害する。
この一家皆殺しは残虐極まりないものだった為、世間を震撼させた。
セルズはまず、父親の頭を撃ち射殺し、母親と3歳の息子は野球バットで滅多打ちにして撲殺した。
妊娠8ヶ月だった撲殺された母親は亡くなる直前にショックのあまりに早産したのだが、セルズはこの生まれたばかりの赤ん坊も躊躇することなく撲殺した。
1990年1月12日、窃盗などで逮捕され禁錮16ヶ月を言い渡された。
刑務所の中でセルズは麻薬の禁断症状に苦しみ、精神科医の治療を受け「パーソナリティ障害、鬱、依存症」だと診断された。
釈放されたセルズはすぐに殺人を開始。
1991年9月、女性とその娘を殺害する。
その8ヵ月後に、道端で物乞いをするセルズを自宅に連れて行き食事と服を与えてくれた20歳女性を強姦した上、滅多刺しにしようとしたが抵抗された為、逆上し動かなくなるまで激しく殴った。
セルズは女性が死んだと思ったのだが、実は一命を取り留めており、彼女の証言をもと警察はセルズを逮捕する。
司法取引の結果、セルズは1993年6月に、禁錮2年から10年の不定期刑に処され刑務所に収監された。
この刑務所生活の間、セルズは双極性障害だと診断され、囚人を立ち直らせようと文通活動をしていた女性と獄中結婚した。
しかし、1997年5月、出所後、妻とは生活をほとんど共にすることなく、巡回ショーで知り合った4人の子持ち女性と同棲を開始する。
妻はセルズの子を出産したが、一人で育てることを諦め、すぐに養子に出した。
1997年10月13日、10歳になるジョエル・カークパトリック (♂) の胸部を滅多刺しにして殺害する。
ジョエルの母ジュリア・レア・ハーパーは誰かが家に侵入して息子を殺し、自分も殴られたと主張したが、ジョエルの親権を持っていた元夫は、
「ジュリアがやった。あいつはそういう女だ。妊娠した時も中絶しようとしていたくらいだから」
と主張し、ジュリアは逮捕されると起訴され、殺人罪で禁錮65年が言い渡された。
セルズはジュリアの家の近くのコンビニで彼女に注意され、侮辱されたと逆上し、彼女の後をつけて家に侵入し、出くわしたジョエルを殺害したのだった (セルズはこの事を2002年に受けたノンフィクション作家の取材で告白し、驚いた作家は無実を訴え続けるジュリアと警察に連絡をし、自分が証言するからやり直しの裁判を行うよう促し無罪となっている。だがジュリアは心に深い傷を負った) 。
1998年4月12日、マリー・ペレスという名の9歳の女の子を誘拐し、散々性のオモチャにした挙げ句、殺して死体を遺棄した。
その3日後「気に食わない」という理由で、巡回ショーの同僚トーマス・ブロース (♂) をテキサス州のブロースの自宅で射殺する。
1999年12月31日、テキサス州でトレーラーハウスに侵入し、13歳のケイリーン・ハリス (♀) を強姦し、喉を切り裂き殺害する。
また、遊びに来ていたクリスタル・シュールズ (♀) も強姦した上殺害する。
2000年8月、テキサス州で5歳の少女とその母親を襲い、2人ともども強姦し殺害する。
しかも同様の事件を、ミシシッピ州、ウエスト・ヴァージニア州、テネシー州でも起こした。
だが、殺したと思っていた人物からの通報でセルズは逮捕される。
裁判にかけられたセルズはケイティ殺しの罪で死刑が言い渡された。
その後、セルズはこれまでの犯行を告白する。
全米各州で未解決となっていた殺人事件の捜査が行われ、そのあまりの数に多くの警察官を震撼させた。
大半のケースでは決定的な証拠がない為、起訴出来ないでいるが、2003年に容疑が固まったとして、マリー殺しの裁判が行われ、死刑にプラスされる形で終身刑を言い渡された。
2014年4月3日、セルズの死刑が執行された。
享年49歳。
∽ 総評 ∽
「クロスカントリー・シリアルキラー」と呼ばれたトミーは、老若男女問わず殺し、幼い子供も赤子も何のためらいもなく殺した。
差別がないといえば聞こえがいいが、女性は子供でも大人でもレイプし、まるで息を吸うかのようにあらゆる州で殺人を重ねた。
トミーは差別なく殺したが、基本はペドフィリア (幼児性愛) であり、子供も容赦なくレイプした。
トミーはシリアルキラーには少ない、あまりこだわりのない殺人が多かった。
子供が好きで、強姦も辞さない男だが、年配の人も男性も殺してるので、こだわりがほぼない。
トミーは殺人について数々の名言を残している。
「最初の殺人はスローモーションみたいな感覚があり、今も鮮明に覚えている」
「殺人はルーティーン化したような感じ」
「血の感覚は最高だ」
「誰を殺すかじゃないんだ。血の感覚のためなんだ」
「人を切りつけるときにパカッと開く肉の感覚、あの感覚の中毒になってるのかもしれないね」
「銃は危険だから嫌いだ」
「何人殺したかなんて数えたことなんてない。70人以上なのは確かだけどね」
トミーがなかなか捕まらなかった理由は、トミーは数々の州 (24州) をまたぎ、その州毎に殺人を行った為、捕まらなかった。
アメリカでは、州と州は「国と国」というくらい別のもので、習慣も違えば法律も違う。
その為、とある州で捜査していて、別の州に逃げ込むと、普通に追い掛けて捕まえることができない。
その為、トミーは大量殺人を行うことができたのである。
トミーも歴代のシリアルキラーの例にもれず、悲惨な幼少を過ごしたわけだが、第一はやはり母親の愛情の欠落であった。
もし、母親から愛された人生を送れたならば、トミーの人生もまた変わっていただろう。
【総評】※個人的見解
・衝撃度 ★★★★★★★☆☆☆
・残虐度 ★★★★★★★★★☆
・異常性 ★★★★★★★★☆☆
・特異性 ★★★★★★☆☆☆☆
・殺人数 20人以上 (本人曰く70人以上)
《犯行期間:1980年、1985年7月~2000年8月》
コメント
コメント一覧 (6)
誰からも愛してもらえない。愛してくれないからってなにしてもいい訳じゃない。
愛さえあれば極悪人が改心するなんてお伽話だわ
愛されない為、愛を求めて暴走したのかもしれませんね。
また母親の愛が無かった事の他に父親の愛も最初から無かった点も重要です。男児の成長には父親は非常に重要なんです。もちろん女児の成長にも父親は重要な存在ですが、それ以上に男児の成長には何倍も何倍も父親の愛情と存在は重要です。
脳にサイコパス特有の異常が有り更に男児育成に重要な父性愛も完全に欠落では…最悪な条件が全て揃ったかのような人物ですよトミーって男は。
やはり脳の異常ですか。
脳が異常だからといって動物のように殺処分出来るわけないですし、なるべくしてなった結果という事ですね。
何十億もいえれば当然欠陥がある人間もいます。
男の子は父親をみて育ちますからね。
大抵の男の子が小さい時に「父親のような仕事がしたい」と1度は口にするのではないでしょうか。
ただ、母子家庭でもしっかり育つ男の子も沢山いるのでやはり生まれながらの状態が大きいですね。
母親は子供との関係に留まらなくても勝手です
そもそも愛せないなら引き取らなければ済んだ話ですし、また押し付け直しても良かったわけです。きちんと面倒も見ないのに手元に置き続けたのは金か、子供だけ幸福にしたくなかったという思いがあったのではないでしょうか
はじめから異常ならば叔母だって養子になど望まないでしょう
そもそも突然現れた親に反発し言うことを聞かないなどということは当然のことです。自分の行動に何の疑問も抱かず、こういった子供の抗議を悪し様に言うのは身勝手と言えるのではないでしょうか
これが仮に女児で、育児放棄ののち、変質者に襲われて殺人を犯すようになったのであれば、もう少しその境遇などに同情や親への非難を得られたのではないかと思いますが男だと難しいですね
個人的には子供の性格がいくら悪かろうが大罪を犯してもいないうちに、性犯罪などの被害に合うことを見逃していいとは思いません。事後ならばフォローをすべきですし、それを放棄するならもはや親とは呼べないでしょう。親権を法的手続きに則り放棄すべきです。少なくともここまでやらなければネグレクトした己を差し置き、自分はまともであるなんてとても言えないと思いますよ
近年、犯罪遺伝子が存在する事がわかったそうです。
犯罪者の子供は犯罪者という事が多いのはこの遺伝の影響もあると思います。
手元に置いておきたかったのは間違いなくお金だと思います。
親の責任は間違いなくありますが、それを全て取り締まるのは不可能です。
日本も近年虐待が問題となってますがいくら厳罰にしても限界があります。
親権を法的に放棄ですが、少しでも虐待の様子がわかった瞬間に強制的にそうしないとダメでしょうね。