
ハーバート・マリン (アメリカ)
【 1947~ 2022 】
1947年4月18日、マリンはアメリカ・カリフォルニア州サリナスで生まれた。
通常の連続殺人者にみられる家庭崩壊という事もなく、ごく普通の家庭に生まれた。
ただ、唯一一般家庭と違う所は、母親が狂信的なカトリック教徒で、常軌を逸した厳しい戒律のもとでマリンを育てたことだった。
マリンは学校の成績も良く、スポーツ好きの明るい少年だった。
しかし、母親からの宗教的なプレッシャーは、マリンの性格を徐々に歪めていった (アメリカではこの種の問題が多い) 。
そして、ついにマリンの精神を変える出来事が起こる。
高校時代、親友が交通事故で死んでしまったのだ。
あまりの出来事に悲しみと喪失感から1週間も泣き続けた。
そして、その悲しみから逃避する為に、LSDなどのドラッグに手を出し始める。
ちょうどアメリカは当時、ヒッピー・カルチャー (文明以前の野生生活の回帰を促すこと) ブームが起こっており、マリンも例にもれずそれに影響を受け、髪を伸ばし髭も伸ばした。
長年に渡る母親からの抑圧が爆発の引き金となって、精神分裂症となってしまう。
正直、普通に宗教を教え込む程度で精神分裂症になるわけはないので、マリンの母親のカトリックへの厳しい戒律は相当なものだったのだろう。
薬物中毒であるマリンは、精神分裂症でもある為、精神病院への入退院を繰り返す生活を送ることとなる。
1972年、マリンは
「人を殺せ」
という「神の声」を聞く。
もちろんそんな「神の声」など聞こえるはずはない。
聞こえるはずがないというより、神がそんなことを突然言うわけがない (神の存在自体がなんとも言えないが) 。
あくまでも精神分裂による幻覚・錯覚に過ぎず、それをマリンが勝手に聞こえたと思っているだけであった。
以前掲載したヘイドニックやオノプリエンコなども「神の声」を聞いたと凶行に走ったが、聞こえないものを聞こえると言われてしまえば、こちらとしてはどうしようもない。
神の啓示を聞いたマリンは殺人を始める。
同年10月13日、ロレンス・ホワイト (55歳♀) をバットで撲殺する。
同年10月24日、メアリー・ギルフォイル (24歳♀) を刺殺する。
同年11月2日、アンリ・トーメイ神父 (65歳♂) を刺殺する。
1973年1月25日、ジム・ジャネーラ (25歳) とその妻ジョアン・ジャネーラ (25歳) を射殺する。
マリンはキャシー・フランシス (29歳♀) 、フランシスの子デヴィッド (8歳) とディーモン (4歳) を射殺する。
同年2月7日、ブライアン・スコット・カード (19歳♂) を射殺する。
他にマリンはロバート・スペクター (18歳♂) とデヴィッド・オリカー (18歳♂) 、マーク・ジョン・ドレイベルビス (15歳♂) を射殺。
同年2月13日、ブレッド・ペレス (72歳♂) を射殺する。
しかし、ブレッド・ペレスを射殺した際、その姿を隣人に目撃され、現場から車で逃走している途中、逮捕される。
逮捕されたマリンは、第一級殺人2件と、第二級殺人8件で有罪となり、終身刑が言い渡された (アメリカの場合は州によって異なり、死刑が最高刑の州もあれば、終身刑が最高刑の州もある) 。
マリンが仮釈放の資格を得るのは、2025年、マリンが78歳の時である。
2022年8月18日、カリフォルニア州の医療施設で死去した。
享年75歳。
∽ 総評 ∽
マリンは神から「死の歌」を歌える能力を授かったという妄想を抱いていたらしい。
それは、マリンが「死の歌」を歌うと、相手の人間は死ななければならない。
死ななければならないのに、自殺もせずのうのうと生きてるなんてありえない。
このマリンが手を下さなければならない。
という無茶苦茶な理屈で殺人を繰り返した。
また、殺人をすれば大災害を無くせると、本気で信じていた。
マリンは母親から狂信的なまでのカトリックへの戒律、親友の事故死によって、精神に異常をきたし、ドラッグに染まり殺人鬼に変貌した。
しかし、以前掲載したマッケイやスタノのような悲惨な幼少を過ごしたゆえに殺人鬼になった者に比べれば、自分自身の弱さが原因の部分が多い。
マリンは殺人の最初こそ撲殺や刺殺を行っていたが、4人目からは全て銃による射殺で殺害している。
通常、快楽殺人者は殺しに快感を覚える為、あまり殺害に銃を使わない傾向にあるが (銃だと一瞬で終わってしまう為、殺しの充実感がない為) 、マリンは積極的に銃を使っている。
神の声や大災害を無くすことができるという思考から、マリンは殺人自体にはそれほど喜びを感じていなかったのかもしれない。
【評価】※個人的見解
・衝撃度 ★★★★★☆☆☆☆☆
・残虐度 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
・異常性 ★★★★★★☆☆☆☆
・特異性 ★★★★☆☆☆☆☆☆
・殺人数 13人
《犯行期間:1972年10月13日~1973年2月13日》
コメント
コメント一覧 (4)
いつもお世話になっております。
だいぶ前の記事にコメントなんて、大変恐縮ですが、書かせてください。
いつもは管理人者様の記事を楽しく読ませていただいているのですが、気になることがありまして、失礼を承知の上書かせてください。
精神分裂病の部分についてです。
何をもってこんなことを言えるのか?とご指摘されてしまうと思うのですが、彼は本当に精神分裂病であったと私は考えています。
ですから、声が聴こえてきてしまい、本当にその声に従ってしまうのです。普通の方には到底理解の出来ないことだと思いますが、病状が悪くなれば悪くなるほどに、その声に逆らうことが出来なくなってしまうのです。
精神分裂病は脳の病気であり、理性を失い、あり得ないことを確信してしまう傾向があります。ですから彼が弱かったから、という発言に違和感を感じてしまいました。
しかし、これは管理人様の個人ブログであり、何を書いてもいいものと思っています。それなのに、何故気持ち悪い理解不能な文章を書き込んでいて申し訳ありません。
いつもおじゃましているくせに、生意気なことを言ってしまいすみません。
どうかお許しください。
管理人様にとって、来年がいい年でありますように。
いつも読んで頂いているという事で誠にありがとうございます。
確かに仰る通りですね。
精神分裂病の為に幻聴が聴こえたのは間違いないでしょう。
彼は狂信的な親のせいで精神がおかしくなってしまったのは間違いなく、それは本人の弱さとは関係はないかもしれませんね。
もし、本人の精神的脆さでなったのなら弱さだと思います。
いいえ、そう言ったご意見は貴重でこちらこそ勉強になります。
来年良い年でありますように。
多いですね。
しかも、その踏み外した道を戻す事はまず不可能ですね。
宗教て大概がまともですが、仰る通りちょっとしたきっかけで恐ろしい一面がかいまみえてこわいですね。