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メラニー・アリックス (カナダ)
【 1974 ~      】



2001年1月31日、カナダ・ケベック州ラカディにある家で火災が発生する。

焼け落ちた家からフランシーヌ・レベスク () の遺体が発見される。

レベスクは車椅子に乗っており、その為、逃げる事が出来なかった。


2003年5月12日、再びケベック州ラカディの民家で火事が発生し、焼け跡からマティス・アリックス・ルブラン (1歳♂) の遺体が発見される。

消防士は2つの焦げた椅子を見つけ、居間で見つかったコンロにより火事が起こっていた事が判明した。

消防士は故意に火をつけられたと考え警察に通報した。


同年5月16日、捜査の末、逮捕されたのはメラニー・アリックスであった。

アリックスは死亡したマティスの母親であった。

マティス殺害で逮捕されたアリックスだが、警察はレベスクの火事についても再び調査を始める。

実はレベスクはアリックスの母親であり、新たな調査で故意に火をつけられた事が判明し、レベスクは車椅子の為に火事から逃げられなかったのではなく、車椅子に縛り付けられていた為に逃げられなかった事が判明した。

警察が2つの放火殺人についてアリックスに尋問を行うと、レベスク殺害は兄の責任で、マティス殺害は夫ステファンの責任だと述べた。

しかし、レベスクとマティス両方の遺体から睡眠導入抗うつ薬オキサゼパムが見つかり、それはアリックスに処方されたものであった。

裁判でアリックスはこれまでの人生において自身を被害者だと主張した。

アリックスは子供の頃に祖父に性的虐待を受け、思春期の時には兄に性的虐待され、元恋人にも強姦と身体的虐待を受け、以前に警察による拷問を受けた事も告白した。

アリックスの妹フランソワは、
「彼女はとても危険だ。彼女のする事に制限はありません」
と述べた。


2005年12月22日、アリックスには最低25年は仮釈放がない終身刑が言い渡された。

また、詳細を伏せられた殺人未遂で懲役8年を追加された。

判決を言い渡された際、傍聴席でその様子を見ていたステファンは、
「彼女が刑を宣告された時、私は彼女の顔を見て彼女はがっかりしたように見えた。それは私を幸せにしました」
と述べた。



《殺人数》
2人

《犯行期間》
2001年1月31日、2003年5月12日



∽ 総評 ∽

母親と実の息子を焼死させたアリックスだが動機が全くわからない。

こういう犯行の場合は大抵が保険金を目当てとする事が多いが、アリックスが保険金を受け取ったという様子がない (実際は受け取っていたのかもしれないが) 。

ただ、夫を殺害していないのが非常に気になる。

保険金目当てなら1番の標的は大抵が夫となるが、夫は殺害していないので保険金の可能性は低い。

女性の殺人動機のほとんどが「お金」と「怨恨」であり、この2つが90%以上を占める。

となると残る怨恨の可能性が高くなるが、実母はまだしも1歳の子供に怨恨はないだろう。

もしかしたら「代理ミュンヒハウゼン症候群」だったのかもしれない。