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ジュリアス・カダモバス (アメリカ)
【 1966 ~      】



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ユーリ・ミケル (アメリカ)
【 1965 ~      】



ジュリアス・カダモバスは、1966年10月22日、リトアニアで生まれた。


ユーリ・ゲルマン・ミケルは、1965年1月、ロシア・サンクトペテルブルクで生まれた。

カダモバスとミケルはアメリカに移住し、カリフォルニア州ロサンゼルスに住んでいた。

カダモバスはサンフェルナンド・バレーのシャーマンオークスに住み、ミケルはエンシノに住んでいた。

2人はベンチュラ通りにある「Designed Water World」という水族館を共同で経営していた。


2001年10月、カダモバスとミケルは地元の不動産開発業者マイヤー・マスキャトル (58歳♂) を金銭目的で誘拐する計画を立てる。

ミケルは不動産の購入に興味あるビジネスマンを装った。

マスキャトルはミケルの家に導かれると、カダモバスともう1人の共犯者がマスキャトルを縛った。

そして、手錠を掛けてダクトテープで拘束すると、財産について質問した後、頭を撃って財布から現金とクレジットカードを奪った。

カダモバスとミケルは口座から現金を引き出そうとするが、口座は凍結されてしまい引き出す事が出来なかった。

その後、マスキャトルにジフェンヒドラミンを注射し、床に固定するとミケルが頭にビニール袋を被せて窒息死させた。

殺害後、遺体をカダモバスの車で運び、ニューメロン湖のパロッツフェリーブリッジから貯水池に投げ捨てた。


同年12月、2人は次の標的をビバリーヒルズに住んでいる裕福なロシア人ビジネスマン、ジョージ・サフィエフ (37歳♂) に決める。

そこで、カダモバスはサフィエフの妻にしてファイナンシャルアドバイザーを務めるリタ・ペクラー (39歳♀) に不動産取引に興味がある振りをして呼び出した。

そして、ミケルと他共犯者2人が拳銃とスタンガンで武装し、ペクラーをシャーマンオークスの家に拉致した。

ペクラーを動けないように拘束すると、夫のサフィエフに連絡するよう言った。

ペクラーはすぐに連絡し状況を説明するが、サフィエフは忙しくて会えないと告げる。

その後、ペクラーはジフェンヒドラミンを注射され、絞殺された。

実はこの時ペクラーは妊娠しており、お腹の胎児も死亡してしまう。

ペクラーの遺体もパロッツフェリーブリッジから貯水池に投げ捨てられた。


同年12月、ミケルは顧客を装い、自動車店のオーナー、アレクサンダー・ウマンスキー (35歳♂) に数台の車にオーディオ機器を取り付けたいと申し込む。

ウマンスキーはカダモバスの家に誘われ、そこで待ち伏せに遭い椅子に拘束され手錠を掛けられた。

ウマンスキーは鍵に電話、財布を奪われ財産について問われた。

ウマンスキーは3日間拘束され、その間、兄に電話し解放してもらう為にお金が必要だと話した。

カダモバスとミケルはウマンスキー家に23万5000ドル (約2600万円) 近くを要求する身代金メモを送った。

家族はFBIに連絡すると、身代金の一部を払うようアドバイスを受ける。

しかし、ウマンスキー家の他の家族も脅される電話が掛かってきた為、家族は残りのお金をアラブ首長国連邦の口座に送金した。

その後、一切の連絡が途絶えた。

お金を受け取ったカダモバスとミケルはウマンスキーを殺す事に決める。

ミケルがダクトテープでウマンスキーの口を閉じると、カダモバスはバッグを頭に被せるとピンで留め、首にロープを巻いて後ろから絞めて殺害した。

殺害後、ウマンスキーの体に重しの為にウェイトプレートをくくりつけ、カダモバスの車に乗せた。

その後、ニューメロン湖に行き、橋からウマンスキーの死体を貯水池に投げ捨てた。


2002年1月、カダモバスとミケルは次の標的を1度失敗したサフィエフに決める。

そこで、まずサフィエフのビジネスパートナーであるニック・カラバジェ (29歳♂) に接近する。

カラバジェに連絡し、2人が所有する水族館で会った。

カラバジェが到着すると、ミケルが椅子に縛って手錠を掛けた。

そして、サフィエフに電話し店に来させるよう命じた。

サフィエフが水族館に来ると、カラバジェ同様拘束した。

その後、カラバジェとサフィエフをカダモバスの家に連れ込むと、サフィエフに別のビジネスパートナーに連絡し、94万ドル (約1億円) を外国の口座に送金するよう命じた。

サフィエフは電話をかけ、指定の金額を振り込むよう懇願した。

カラバジェとサフィエフはカダモバスの家に4日間監禁された。

その間、サフィエフの声を録音し、多くのお金を強要する計画を立てた。

ミケルは94万ドルを受け取ると、2人はカラバジェとサフィエフを殺す事に決める。

2人はカラバジェとサフィエフにウォッカを無理やり飲ませ、車に乗せ貯水池に連れて行った。

ミケルがカラバジェの頭にビニール袋を被せ、首をネクタイで絞めた。

そして、重りをカラバジェの体にくくりつけ、生きたまま橋から貯水池に投げ入れた。

その後、同じ事をサフィエフにも行い殺害した。

マスキャトルの遺体は漁師によって発見されると、カダモバスとミケルの共犯者はFBIが事件を調査している事を知り、自ら出頭してこれまでの犯罪を告白した。

FBIが残る4人の遺体発見し、その後、カダモバスとミケルの電話を盗聴し、身代金について話し合っている事を掴んだ。

その他にも数々の証拠が見つかり、カダモバスは殺人について友人に話しているのもわかった。

ミケルと共犯者はウマンスキーのカードでATMから現金を引き出す姿を監視カメラに捉えられた。

また、ミケルはカラバジェとサフィエフのカードでATMから現金を引き出す姿を再び監視カメラで捉えられた。

カダモバスとミケルはこれまで合計100万ドル以上 (約1億1000万円) の身代金を受け取った事がわかった。

2人はロサンゼルスのメトロポリタン拘置所に拘留された。


2006年7月、裁判が始まり、2007年1月17日、陪審員は2人の被告を全ての罪で有罪とした。


同年3月12日、2人に死刑が言い渡された。

判決を言い渡した裁判官は、
「犯行は残忍極まりなく、個人が殺害された方法に加害者は容赦がなかった」
と2人を痛烈に非難した。



《殺人数》
5人

《犯行期間》
2001年10月~2002年1月



∽ 総評 ∽

主に身代金を目的とした犯行だが、初めから生かすつもりのない残忍なものであった。

身代金を目的とした犯行は多いが、通常、こういった犯行は1人くらいにしか通用しないものだが、2人は何人にも行い成功している。

2人がどのようにして知り合い、水族館を経営するに至ったのか、また、何故これ程の犯行に至ったのかよくわからない。

水族館の経営が行き詰まり、負債を補う為に犯行に及んだのか、それともただの金銭欲だけが強い異常者だったのか。

2人はアメリカの人間ではなく、リトアニアとロシアというロシア圏の異国出身であった。

どのような経緯でアメリカへ移住する事になったのかわからないが、こんな鬼畜2人がやって来たのはアメリカ人にとって不幸という他ない。