_20201213_083016
ウラジミール・サプロノフ (ロシア)
【 1957 ~      】



ウラジミール・サプロノフは、1957年4月1日、ロシア・スヴェルドロフスク州クラスノトゥリンスクで生まれた。

父親は鉱夫で、サプロノフは3番目の子供であった。

サプロノフは19歳の時に盗難で逮捕され、初めて刑務所に収監された。

釈放された後、今度は強盗で逮捕された。

その後、サプロノフは普通に働き始めるが、同僚からは良心的で専門的な知識を持つ人物と思われていた。

また、近所の住民からも落ち着いた好人物に見られていた。


2005年4月26日午後8時20分頃、サプロノフは灰色のジャケットと黒いパテントレザーの靴を履いてベスナショッピングパビリオンに入った。

そして、胸から銃を取り出すと、

「これは強盗だ!」

と叫んだ。

目撃者によると、銃を持つサプロノフの手が震えていたが酔ってはいなかったという。

ただ、視線が定まらず落ち着きがなかった。

この時、パビリオンには7人の客と3人の店員がいたが、最初冗談かと思った。

しかし、サプロノフはカウンターにいた従業員の1人タチアナ・Hの腹部に銃口をあて、レジから現金を出すよう脅した。

現金を受け取ると、ホールの反対側のレジに向かった。

リュミドラ・Sは何も言わずにレジから500ルーブル (約1000円) を取り出すと、冷蔵庫を飛び越えて通りに駆け込み
「助けて!」
と叫んだ。

リュミドラの行動に他に客の4人が続いた。

実はその日の収益のほとんどが入った3つ目のレジがあったのだが、咄嗟に箱で隠した為サプロノフは気付かなかった。

手にした少額にサプロノフは苛立ち、食料品部門に所属するパベル・セレギン (44歳♂) に銃口を向け、

「金を出せ!」

と叫んだ。

セレギンはポケットからいくつかのコインを取り出し、
「これだけです」
と述べた。

すると、サプロノフは近くに立っていたベニアミン・トゥリヤエフ (44歳♂) に銃口を向けた。

トゥリヤエフはその銃がオモチャだと思っており
「みんな何を恐れている?」
と周囲の人達に向けて言った。

すると、サプロノフはセレギンの頭を撃ちセレギンは床に倒れて死亡した。

その直後、トゥリヤエフがサプロノフに飛び掛かり銃を奪おうとするがサプロノフに押し退けられ撃たれた。

銃弾はトゥリヤエフの左頬を貫通し、トゥリヤエフはよろめきながら壁にもたれ、口から血を吹き出し数分後に死亡した。

以降、サプロノフは何も要求せずその場を去ろうとするが、トゥリヤエフの友人アンドレイ・リブキン (45歳♂) が銃声と叫び声を聞いて駆けつける。

サプロノフは何も言わずにリブキンの腹部を撃った。

突然の事にリブキンは倒れ叫ぶと、サプロノフは更に頭部に4発撃って射殺した。

その後、サプロノフはパビリオンを去るが、侵入してから20分程度の出来事であった。

サプロノフは貯水池に向かって歩いていると、2人の少女と1人の少年3人の姉弟と出会う。

サプロノフは姉弟を民家のガレージに連れ込み、人質にして立て籠る。

目撃者の情報により警察が現場に駆け付けると、民家周辺を封鎖した。

数時間後、警察の説得によりサプロノフは降伏した。

ガレージでサプロノフの銃が押収された。

警察はサプロノフに尋問を行うが、 2時間の尋問の間に何度も眠りに落ちた。

その都度サプロノフを起こしたが、サプロノフは犯行を後悔し泣き始めた。

裁判が始まるがサプロノフは常に落ち着いた様子であった。

ただ、地元記者のカメラの「カシャッ」というシャッター音に対しては少しイライラした様子であった。

裁判官はサプロノフに終身刑を言い渡すが、判決を言い渡されたサプロノフは表情1つ変える事はなかった。



《殺人数》
3人

《犯行期間》
2005年4月26日



∽ 総評 ∽

パビリオンに侵入し銃を乱射したサプロノフだが、アメリカ違いロシアでは銃乱射事件というのは比較的珍しい。

サプロノフの家庭環境については父親が鉱夫で兄弟で3番目という事くらいしかわからない。

また、強盗で逮捕され釈放された後は真面目に働いたが、48歳を過ぎて突然凶行に出た。

強盗目的なのは間違いないが、そんな年齢になってから突然犯行に及んだ理由がわからない。

仕事を解雇されてお金に困っていたのだろうか、どちらにせよくだらない理由だと思う。

尋問では泣いて反省を示したサプロノフだが、裁判では落ち着いた様子であった。

尋問での反省が嘘なのがよくわかり、異常者のよくある行動である。