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スコット・コックス (アメリカ)
【 1963 ~      】



スコット・ウィリアム・コックスは、1963年11月3日、アメリカ・オレゴン州ニューバーグで生まれた。

コックスは1975年、11歳の時に初めて精神病院に入院するが、その後、実に115回も入退院を繰り返した。


1990年11月24日、オレゴン州ポートランドで、売春婦リーナ・アン・ブランソン (34歳♀) が倒れた状態で発見される。

ブランソンは激しく殴られ、顎、首、背中に切り傷があり、手錠を掛けられていた。

瀕死の状態であったブランソンはすぐに病院に運ばれるが、間もなく死亡した。

ブランソンは心臓に刺し傷があり、それが致命傷となった。


1991年2月19日、ポートランドの鉄道ヤードの電車の中でビクトリア・ローヌ () の遺体が発見される。

ローヌはシャツで手足を縛られ首を絞められていた。


同年5月30日、ワシントン州シアトルのダウンタウンで、瀕死の女性が発見される。

女性は殴られ噛まれ強姦されていた。

女性の首には結紮痕があり、ワインボトルが肛門に押し込まれていた。

女性はすぐに病院に運ばれ、一命を取り留めた。

目撃者は被害者女性が走るトラックのキャブから放り投げられるのを目撃していた。

地元の警察が女性に面会を行い、起訴するよう助言するが女性は無反応であった。

治療後、アメリカを去り起訴は行わなかった。

地元の警察官はオレゴン州で発生した連続殺人とワシントン州の殺人未遂事件の犯人は同一人物だと判断する (オレゴン州とワシントン州は南北で接している) 。

そこで、目撃者が見たトラックを徹底的に調べ、「Woodland Trucking」という会社のロゴがある事が判明する。

警察が会社に連絡すると、運転手はセス・スコット・カッターという従業員であると告げた。

警察がカッターに話をすると、自分は無実だと話し、カッターは女性を助けようとしたと話した。

警察はカッターを犯人だと考え告訴を試みるが、犯行現場で発見されたDNAの証拠が準備されておらず、カッターは行方知れずとなった為起訴する事が出来なかった。

警察がカッターを更に調べると、本名がスコット・ウィリアム・コックスだとわかり、また、1990年11月26日に別の女性を襲撃していた事も明らかになった。

警察がコックスの所在を捜査すると、目撃者がコックスの車を町のモーテルで見たと証言した。

そして、警察はモーテルでコックスを逮捕した。

ただ、この時点でコックスが連続殺人犯という確たる証拠がなく、偽名を使用した偽造の罪で起訴された。


同年11月、更にコックスは銃の窃盗で訴追され、有罪となり禁錮6ヶ月が言い渡された。

その間、コックスへの殺人事件について調査を行い、最終的にコックスはブランソン殺害を告白した。

ブランソン殺害理由についてコックスは、ガールフレンドと喧嘩し、腹を立てた怒りを売春婦を殴る事で収めようとした為だと話した。

コックスはウイスキーを飲み、コカインを吸い、ブランソンを拾うと殴った。

命の危機を感じたブランソンは逃げ出そうとするが、コックスはブランソンの胸を刺しその場に捨てた。

また、コックスはローヌ殺害と数人の女性に対する暴行を認めたが、2人以外の殺人は否定した。

ただ、警察はコックスが長距離トラックドライバーでアメリカ、カナダ、メキシコなど3000以上の異なる場所を行き来していた為、解決されていない他の20件の殺人事件の容疑者となった (当時はかのグリーン・リバー・キラーの容疑者とされていた) 。

特に1990年12月に行方不明となったティナ・ヒックスが1991年4月22日に遺体が発見されると警察は殺人と決定し、コックスによるものだと考えた (ただこの時すでにコックスは2件の殺人で起訴されていた為、それ以上追求されなかった) 。

1993年9月15日、コックスは2件の殺人で有罪判決となり、150ヶ月の連続2期 (計300ヶ月) が言い渡された。

ただ、この事件は捜査官がコックスから不適切に自白を得たとして、裁判官が法廷でコックスの自白を却下した為、検察はDNAの証拠のみを提示した。

ただ、コックスの自白が認められていた場合、終身刑や死刑の可能性があった。


2013年2月22日、25年の刑期の内、20年務めた後、コックスは仮釈放された。

コックスにはGPSによる追跡装置が装着された。

また、地理的にヤンヒル郡内に行動が制限され、公園やバーに行く事は許可が下りない限り門限が適用された。


同年7月、コックスはビーチに行く許可を得るが、承認されたものとは異なるルートをとるという違反を犯した。

コックスは14日間の刑を宣告された。


同年8月、GPSを調べるとコックスがガールフレンドの家を訪問している事がわかった。

コックスの仮釈放制限にガールフレンドの接近禁止が追加された。


同年9月30日、噛みタバコを刑務所に持ち込んだ為、90日の刑が宣告された。

その後、2014年12月1日、同年5月13日、2016年1月7日にも仮釈放違反 (この3件については詳細が明らかになっていない) を犯し、こうしてコックスは仮釈放後、少なくとも6回の仮釈放違反を犯した。

現在、コックスは監督期間を務めている。

コックスが仮釈放された後、2014年から未解決事件の捜査が始まり、ヒックス以外にも1988年に殺害されたヘーゼル・ゲルネット、1990年5月にユタ州で発見されたポートランドのヴィッキー・リン・パーキンス、1990年11月にオレゴン州マックミンヴィルで行方不明となったステファニー・ダグラス、他にもコックスの可能性のある犠牲者は多くいるが身元の大部分が公開されておらず、捜査が続いている。



《殺人数》
2人 (20人の可能性あり)

《犯行期間》
1990年11月24日、1991年2月19日



∽ 総評 ∽

アメリカのシリアルキラーにはトラックドライバーが多い。

アメリカは州が変われば別の国のような所なので、州が変われば州警察では捜査出来ない。

その為、殺人を犯しても別の州へ移動するともうわからなくなってしまうのである。

コックス本人が認めた犯罪は2件だが、警察は20件の未解決事件の容疑者ではないかと考えていた。

個人的には20件全てでないとしても、10件程はコックスによるものだと思う。

同様な凄惨な目に遭った被害者が他にも多数派おり、たまたま助かっただけである。

犯行の様子を見ると拷問して殺害する事に快感を覚える生粋のサディストであり、こういった殺人鬼が数年の間に2人だけで殺人を止めるはずがない。

コックスは仮釈放後、少なくとも6回も違反を犯した。

こんな鬼畜に対する刑罰も甘過ぎるが仮釈放を何度も違反を犯している行う意味がわからない。

仮釈放なんて1度でも違反を犯せば一生刑務所でいいと思う。