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ムン・ヒョンウク (韓国)
【 1995 ~      】



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チョ・ジュビン (韓国)
【 1995 ~      】



2018年9月、ムン・ヒョンウクはメッセンジャーアプリケーション「Telegram (テレグラム) 」内で極秘のチャットルーム「n番部屋」を開設する。

「n番部屋」には「1番部屋、2番部屋…」と数字が振られており、それら多くの部屋の総称が「n番部屋」であった。

それらの部屋をそれぞれ管理する者がおり、管理人が独自に展開していた。

ただ、一貫しているのは女性や少女の卑猥や猥褻な写真や映像を公開し、有料としている事だった。

中でも強姦動画等の過激な映像が閲覧出来るチャットルームには100万ウォン (約8万円) を超える事もあり、部屋にはランクやレベルが存在した。

それらは脅しや脅迫によって撮られたものであった。

この「n番部屋」は匿名性が強く実態がわかりづらかった。

「n番部屋」は当局の知る所となり、捜査が進められた。


2019年9月、「n番部屋」の大衆化の設計を行ったニックネーム「ウォッチメン」が拘束される。

ウォッチメンは38歳の会社員で、以前にも猥褻物の流布で逮捕された事があり、また、違法撮影のインターネットサイトを運営した疑いで起訴され、懲役3年6ヶ月を求刑された。

しかし、その裁判中に「n番部屋」との関連性が明らかとなった。


同年9月、30代の元運営者シン (ニックネーム「ケリー」) が拘束される。

ケリーは「n番部屋」を創設者のヒョンウク (ニックネーム「カッカッ」または「ガッガッ」) から受け継いでいた。


2020年2月14日、警察は合成写真や凌辱、薬物性暴力映像、トイレの盗撮等、性搾取物をテーマにした部屋約60室を確認する。

しかも、部屋への利用者は少なくとも30万人と推定され、多い部屋では2万人が参加している事がわかった。

被害女性はわかっている限りで74人に上り、その内、未成年者は16人であった。


同年3月17日、警察は「博士」と呼ばれるチョ・ジュビン (1995年10月14日生) と他共犯者14人を逮捕する。

ジュビンは「n番部屋」の中でも最も過激で悪質とされた「博士の部屋」を運営していた。

ジュビンはアルバイトと称して女性を募り、応募の時点で個人情報と顔が映った猥褻な画像を受け取っていた。

それを口実に女性を脅し、更に過激な動画の撮影を強要した。

ジュビンは2018年12月から2020年3月まで女性の猥褻映像を流し、会員から金銭を得た容疑で逮捕されたのだが、当初は容疑を否認していた。

しかし、尋問の末、ジュビンは罪を認めた。


同年3月25日午前8時頃、ジュビンが警察官に連れ添われて鍾路警察署を出ると、多くの取材陣に取り囲まれた。

ジュビンは首にプロテクターを装着していたが (写真参照) 、これは逮捕され連行される時に自殺を試み首を怪我した為だった。

ジュビンは

「私から被害を受けた全ての人々に心から謝罪の言葉を申し上げます」

と話し、更に

「止める事が出来なかった悪魔の人生を止めてくれて本当に感謝している」

と述べた。

ただ、記者からの数々の質問には何も答えなかった。

「博士の部屋」では太平洋ことテピョンヤン (16歳) 、「博士の部屋」の共同経営者で得た収益をジュビンに与えたブッタことカン・フン (18歳) も逮捕された。


同年5月12日、創始者のヒョンウクが逮捕される。

逮捕された当日は本名が公開されず、公開されたの翌日であった。


同年5月14日、慶北地方警察庁はヒョンウクに対する捜査結果を公表した。

警察はヒョンウクに対して児童青少年性保護法違反など9つの罪が適用されると発表した。

ヒョンウクはSNSなどを通じて共犯者を募集し、被害者に対して性的暴行を行い撮影する事を指示した。

ヒョンウクは取り調べに対し、

「初期の頃に入場料の名目で得た収益金で90万ウォン (約8万円) を得たが、使えば捕まると思ったから被害者たちに渡した」

と述べた。

2018年9月から開設された「n番部屋」だが、ヒョンウクは2015年7月から類似の犯行を開始している事がわかり、これまで被害女性は約50人だと述べた。


同年5月18日、警察はヒョンウクを検察に送致する際、マスクや帽子を付けずに素顔を公開する事に決めた。

また、ヒョンウクの身元公開に至った理由について、
「被疑者は不特定多数の女性を奴隷と呼び、性搾取映像を制作、流布するなど犯行手口が悪質である」
と説明し、また、
「国民の知る権利、再犯防止や予防の観点、公共の利益に合致するか総合的に判断し、身元情報公開に至った」
と述べた。

同日午後2時頃、両腕を警察関係者に掴まれた姿でヒョンウクはカメラの前に姿を現し、取材陣から「被害者に一言」と言われると「申し訳ございません」と謝罪した。

続けて「被害者50人と90万ウォンは合っているか?」と問われると「性暴行を自ら指示したのは3件。被害者は50人と警察に話した。収益は90万ウォン、これが全て」

と回答した。

最後に動機について

「誤った性観念による犯行」

と述べ、ジュビンとは何の関係もない事を告げて護送車に乗り込んだ (ヒョンウクがカメラの前に立っていた際、30代の男性が叫びながらヒョンウクに向かって汚物を投げる騒ぎが起きている) 。

ジュビンは警察の取り調べに対し、

「被害者には有名な女優やガールズグループ出身の女性歌手もいる」

と供述した。

また、他にも女優や歌手の個人情報を入手し、接近を試みるも失敗に終わった事を告げた。

裁判は今後行われる予定であり、「n番部屋事件」についての全貌が明らかになると思われる。



《被害者数》
74人 (ヒョンウクは50人と供述)

《犯行期間》
2018年9月~2020年3月



∽ 総評 ∽

多くの少女や女性を脅し、猥褻な画像や動画を撮らせ、それをネットで公開し収益を得た「n番部屋事件」。

事件が公になると韓国のみならず世界に衝撃を与えた。

これまで同様の事件をいくつか紹介してきたが、この事件は中でも被害者や規模が群を抜く異常なものであった。

いくつものチャットルームを作り、それをそれぞれに管理させ、その管理者が独自に展開させるというやり口は残念ながら良く出来ていると言わざるを得ない。

しかも、ヒョンウクは事件が発覚した時にはすでに運営者ではなく他人に譲っており、それもヒョンウクの計算だと推測される。

ヒョンウクからすると部屋は管理者に任せ、自分は大本という立場であり「自分は場所を提供しただけ。後は管理者が好き勝手やっていた」くらいにしか思っていなかったのだろう。

ただ、そうだとしても利益を得ている時点で当然罪は重い。

ジュビンとの関係を問われ「関係ない」と答えたのは本当だと思われ、おそらくヒョンウクは部屋の管理者誰1人とも会った事はないのではと思われる。

まだ事件が発覚したのが最近な為、その全容については不明な点が多いが、利用者は少なくとも30万人とされ、数万円かかる部屋もあった事からかなりの金額が動いていたのは想像に難くない。

部屋は発覚時には全部で60はあったとされ、それぞれ管理人が運営していた。

個人的にはこんな事がすぐに発覚しなかった事の方が驚きである。

韓国の根強い男尊女卑、強姦大国という事が発覚を遅らせた要因なのかもしれないが、もしかしたら政府要人等もこのサイトの愛用者だったのかもしれない。

ヒョンウクの身元公開に対し、わけのわからない言い訳をグダグダ述べているが、相変わらず韓国司法というか韓国という国のレベルの低さに唖然としてしまう。

身元公開、マスクや帽子を付けずに晒すなど当たり前の事であり、やれ犯罪防止だやれ犯罪抑止だと何を言っているのだと思う。

こんな事だから強姦が減るわけもないし、こんな事件が起こるのである。

今後、裁判で事件が明るみになると思われるが、ヒョンウクらの罪がおそらく軽くなるのは目に見えており、それが残念でならない。