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アントニオ・バルボー (アメリカ)
【 1999 ~      】



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ネイサン・パーぺ (アメリカ)
【 1999 ~      】



2012年9月17日午後、アメリカ・ウィスコンシン州シボイガン郡で、アントニオ・バルボーと友人のネイサン・パーぺは、パーぺの母親が運転する車に乗っていた。

そして、バルボーの祖母バーバラ・オルソン (78歳) の家に着くと、車を降りた。

パーぺは母親に別れを告げ、車が見えなくなるとオルソンの家に入った。

オルソンは孫とその友人を歓迎し、部屋の中に導いた。

オルソンが2人に背を向けた時、2人は持っていたハンマーと手斧 (の尖ってない端) で頭を殴って叩き割った。

オルソンは床に倒れ、頭を手で覆い激痛に呻いた。

床一面は血に染まり、2人はオルソンを引きずってガレージに駐車されていた車に押し込もうとした。

ただ、2人の少年にはそれは難しく、諦めるとガレージにオルソンを放置した。

2人は家にあった155ドル (約1万6000円) と少しの宝飾品を盗み、それをポケットに詰めた。

そして、オルソンの車の鍵を取り、車を動かすと近くのボウリング場で車を捨てた。

その後、ロックされてない車を盗み、オルソン殺害を強盗の犯行に見せる為に奪った宝飾品を捨てた。

最後に2人はオルソンから盗んだ155ドルでマリファナを買い、飲食店でピザを購入した。


2日後の19日、オルソンの娘ジュディ・オフェットが連絡しても反応がない事を不審に思い、車で家に向かった。

オフェットはガレージを覗くと車がない事に気付き、出掛けていると思いその場を去ろうとするが、ガレージのドアに目を向けると血の海に横たわるオルソンを見つけた。

ただ、オフェットは最初、母親が事故に遭ったと考えたが、すぐに事故ではない事がわかり警察に通報した。

その後、12時間以内にバルボーとパーぺの血まみれの服と靴が発見され、オルソン殺害で逮捕された。

犯行時、2人はわずか13歳であり、そんな2人が凄惨な事件を起こした事に全米が震撼した。

パーぺは強盗殺人はバルボーの考えであり、バルボーを恐れるあまり従ったと述べた。

犯行もほとんどバルボーが行い、パーぺ自身はオルソンを2回しか叩いてないと主張した。

また、バルボーがオルソン殺害を口にした際、最初冗談だと思ったと述べた。

2人は殺人で起訴されるが、成人として裁かれる事となった。

精神科医がバルボーを診察すると、不特定の認知障害である精神疾患を患っていると診断した。

それは2009年、10歳の時に自動車事故に遭った事が原因だと述べた。


2013年1月、バルボーは精神疾患による無罪を主張し、2週間後にはパーぺも無罪の申し立てを行った。

だが、検事はこれだけの残忍な殺人は精神的な問題だけでは片付けられないとし、
「この種の犯罪は脳の外傷によって全てが説明される事はない」
と述べた。


2013年8月12日、バルボーには最低36年は仮釈放の可能性がない終身刑が言い渡された。

判決を言い渡した裁判官は、
「私は24年間仕事に携わっているが、このような性質の犯罪を見た事がない。近い犯罪ですらない」
と述べた。


翌日の13日、パーぺには最低31年は仮釈放の可能性がない終身刑が言い渡された。

2人が犯行を行ったウィスコンシン州シボイガン郡は牧歌的な街で、2人が殺人を犯す2012年の前の殺人といえば1996年まで遡らなければならなかった。

年平均で1件、2件の殺人事件しか発生しておらず、そんな平和で安全な地域に都市圏から引っ越してくる人も多かった。

そんな地域で起きた凄惨な事件は、周辺地域を騒然とさせた。


最後にバルボーが語った発言で終わりたいと思います。

「起こった事は本当に残念だと言いたい。その日に起こった事全てを本当に後悔している」



《殺人数》
1人

《犯行期間》
2012年9月17日



∽ 総評 ∽

わずか13歳という年齢で強盗目的で祖母を殺害したバルボーとパーぺ。

13歳という年齢も驚きだが、そんな少年が射殺ではなく撲殺で凄惨に殺害するという事に驚きを隠せない。

殺害したのはバルボーの78歳の祖母であったが、動機がわからない。

強盗目的なので家にお金があるとわかっての犯行だと思われる。

2人は犯行時、13歳であったがそんな2人に終身刑が言い渡された。

終身刑といっても仮釈放の可能性がないわけではないので、一応国際法にも引っ掛からない事になる。

ただ、それでもヨーロッパのように15年とかではなく30年以上という長さであり、アメリカ司法の素晴らしい所である。