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テッド・バンディ (アメリカ)
【 1946 ~ 1989 】



全米6州に及んだバンディの犯行による犠牲者の正確な人数は不明であったが、当初は24人以上30人前後とされていた。

現在は36人 (35人とも) は確実とされており、100人以上は殺害しているとする専門家も多くいる。

また、確認されている犠牲者は、15歳から25歳までの白人女性であった。

最初の犯行は1974年1月4日に襲われ一命を取り留めたカレン・スパークスとされ、最初に殺害されたのはリンダ・アン・ヒーリーとされている。

だが、1961年、14歳の時に8歳の少女を殺害したともいわれ、1969年には旅行者を殺害し、1972年と1973年にそれぞれ少なくとも1人を殺害した事を仄めかした。

死刑囚として刑務所にいた時、バンディをインタビューした際、
「君は一体何人の女性を殺害したんだ?24人か?」
と問うと、バンディは

「 ″1″ 足りない」

とだけ述べた。

「それは1人足りないという事か?1桁足りないという事か?」
と問い掛けるが、その後、バンディは一切口を開かなかった。

バンディの犯行動機だが、ステファニー・ブルックスが大きく関係しているとされている。

バンディはブルックスに振られ、その後、自身を磨き再び交際する事になるが、今度は自分の方から振った。

バンディにとって復讐を果たした結果だが、この初めてのガールフレンドに振られた事が犯行の引き金となった (とされる) 。

バンディが標的として選んだのは、長い黒髪を真ん中から分けた女性が多かったのだが、これはブルックスの容姿そのものであった (ただし本人は否定している) 。

ただ、バンディは祖父を「尊敬している」と言ったと思ったら虐待的だったと非難したり、自身の出生や成長に関しても人によって話を変えたりと、基本的に嘘つきで発言の信用性が全くなかった。

バンディはIQが160もあり、自身自身をよく把握しており、狡猾で計算高く、怪我や病人を装い (ギプスをはめたり松葉杖をついたり) 女性を油断させ、物を運ぶのを手伝って欲しいと言って誘拐したり殺害した。

基本的に殺害方法は鈍器で殴って撲殺するか絞殺のどちらかであった。

これは殺人の快感もそうだが、それよりも物音が出ず証拠が残り難く、また、身の回りの物で容易に犯行に及べる事が殺害方法に選んだ大きな理由であった。

また、死体の処理や遺棄についても証拠が残らないよう細心の注意を払った。

その為、失踪の跡も残らず、遺体が発見される事も少なかった為、犯人や犯行がバンディに結び付きずらかった。

それは指紋はもちろん物的証拠が見つからなかった事が証明しており、その為、無罪を主張したバンディの裁判が長引く結果となった。

また、バンディは1度接触した可能性のある女性には近づかなかった。

女性が拒絶すると大人しく引き、強引に襲い掛かったりせずすぐ諦め次の標的を物色した。

バンディは逮捕されるまでに時間が掛かったが、それはバンディが自身の身体的特徴をよく理解していたからだった。

バンディの特徴は「身体的特徴がない事が特徴」であった。

その為、髪を伸ばしたり髭を生やしたり、表情などで雰囲気を自由に変え、それは目撃者が写真を見ても犯人だと断定出来ない程であった。

作家アン・ルールはバンディを
「サディスティックなソシオパスであり、女性が苦しむ姿や相手を支配する事に快感を覚える」
と述べている。



≡ バンディの発言の数々 ≡

「俺には死刑こそが最も相応しい。俺や俺みたいな奴から社会を守る為にはそれが当たり前の事だ」

「自分の中で培われた病的な感覚が、それ (1度接触した女性) が危険だと教えてくれる」

バンディ「どのように兵士は戦争 (での殺人)                               に対処する?」
        相手「彼等には正統性があります」
バンディ「大量殺人者も同じだ」

「殺人は単に情欲とか激情の結果の犯罪ではない」

「あんただって何か正しい事を一生懸命やっているなら思い出せなくなるのはいやだろう?」

「あるのはただ若くて魅力的だという一般的な基準だけだ」

「その人の一部なんだ。犠牲者の一部になって永遠に1つになる。そして、死体を棄てた場所は神聖な土地となり、その人は何かあると戻って来るんだ」

「皆 (ブルックスに) そっくりとか戯言を言っている奴が多過ぎる。あらゆるものは似てないんだ。身体的にみれば全く違うものだ」



《殺人数》
36人以上 (100人以上の可能性あり)

《犯行期間》
1974年1月31日?~1978年2月9日?



∽ 総評 ∽

最低でも36人以上の女性 (または少女) を強姦して殺害したテッド・バンディ。

おそらく世界で最も有名なシリアルキラーと思われ、こういった事に興味のない人でも知っている人は多いだろう。

およそ陰惨な犯行に及ぶとは思えないスマートでハンサムな容姿、法廷で自らを弁護するという奇想天外な行動に弁舌。

まるで自らが映画の主演を演じて死んでいった犯罪人生であった。

現在、連続殺人犯の事を「Serial Killer」と呼び、それが定着しているが、そもそも以前は「Sequence (連続・続発) Killer (シーケンス・キラー) 」等と呼ばれていた。

それをFBI捜査官、ロバート・K・レスラーがバンディを表す為に提唱したのが「Serial Killer」であった (とされている) 。

まさにバンディは「シリアルキラーの元祖」「ミスター・シリアルキラー」と呼ばれるに相応しい存在であった。

そもそもシリアルキラーという存在は、近年ようやく研究が進み確立されているが、50年程前まではFBIですらよく理解していなかった (Netflixでやっている「マインドハンター」というアメリカのドラマを観るとよくわかる) 。

1970年代のアメリカは多くのシリアルキラーが特に暗躍した時代で、このバンディを含めシリアルキラー史においてもトップクラスの殺人鬼が跋扈した異常な時代であった。

非常に恐ろしい時代といえるが、それによりシリアルキラーの研究が進歩したのも間違いない。

バンディの犯行期間や殺害数が現在でも詳しくわからないのは、バンディが証拠を残さなかったからであった。

また、バンディの供述が人や時期によってコロコロと変わり、何が真実なのかよくわからなかった。

バンディが標的としたのは15歳から25歳の基本的に普通の女性であり、売春婦や子供でもない普通の女性をこれ程の期間に渡ってバレずに殺害し続けたというのは異例といえる。

ただ、バンディの高い知能により計算された行動、自分の容姿など自身をよく理解し、慎重かつ大胆で徹底した証拠隠滅等、本人がいかにして殺人を続けられるか考えた結果であった。

また、バンディの犯行が重ねる度に洗練されていった事も犯行を続けられた要因ともいえるだろう。

しかも、バンディは相手を油断させる為に怪我人を装い、相手に協力を頼み、断られるとそれ以上深追いしなかった。

普通の殺人鬼はそれでも強引に襲い掛かるが、バンディの犯行はあくまで相手が協力してくれる事が前提であった。

相手もあくまで頼まれそれに答える形なので、特に何の警戒もせずバンディの毒牙にかかってしまった。

バンディによる正確な殺害数は不明であった。

インタビューで24人に対して1足りないとだけ述べたバンディだったが、単純に1人足した25人なのか、1をそれぞれ付け加えた「124人」「214人」「241人」なのかわからない。

個人的にはバンディの犯行の周到さを考えれば36人ではまず済まないと思う。

だが、バンディは虚言や虚偽が多いので発言は全て信用出来ない。

ただ、最後、女子寮を襲撃したのはそれまでのバンディらしくない犯行であったが、これは脱獄直後の自身のおかれている立場や殺人への快感を止められなかった事がそうさせたのかもしれない。

バンディはブルックスという女性に振られ、その後、自らを磨いて再びブルックスを振り向かせ、結婚寸前までいって振った。

その後、バンディはブルックスに似た女性を標的としたが、バンディ曰くそうではないらしい。

確かに全ての女性が似ているわけではないが、明らかに似ている女性が多く、間違いなく何らかの意識はしていたはずである。

作家のルールはバンディをソシオパスと述べたが、個人的にはソシオパスよりサイコパスだと思う。

ソシオパスは反社会性パーソナリティー障害と言われる通り社会と馴染むのが困難であるが、バンディはどちらかというと社会に溶け込む能力があった。

また、ソシオパスは突発的で衝動的であり、何も考えずに行動を取る傾向にあるが、バンディは慎重で計算高く、衝動的とは無縁で真逆であった。

対してサイコパスは良心が欠如し平気で嘘をつき、罪悪感がなく自尊心が高い。

また、口が達者で表面的には魅力的というまさにバンディの特徴を全て兼ね備えている。

バンディの遺体を検死すると、前頭葉が異常に萎縮していたらしい。

前頭葉は人間の感情を司る重要な場所で、そこが萎縮するとバンディのような人間になってしまう可能性がある (らしい) 。

よくバンディは「道を間違えなければ」と言われる事があるが、バンディには真っ当な人生を送る事など不可能であり、成るべくして成った鬼畜だと思う。

格好良く扱われがちなバンディだが、冷静に考えれば見栄っ張りで嘘つき、ただのちんけな性犯罪者であり、それ以上でもそれ以下でもない。



* 追伸 *

5日間に渡ってテッド・バンディを掲載してきました。
あまりに有名な為、情報はすでに詳細が伝わっており、どうしても似通った内容になってしまいました。
本当はもっと詳しく掲載しようと思ったのですがそうするとあまりに膨大になってしまう為、かなり簡略化して省略したので掲載されてない情報もあるかと思います。
先月、バンディを題材にした映画が公開されましたが、たまたま最後に残しておいたのがバンディでした。
バンディをもって記念や年始に掲載してきた大物シリアルキラーの連日投稿は終了したいと思います。

今年もよろしくお願い致します。