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エルス・クロットマンス (ベルギー)
【 1980 ~      】



2006年11月18日、スカイダイバーの仲間12人は、4人1組でチームを組みダイビングをする予定であった。

エルス・ヴァン・ドーレン (38歳♀) は、マルセル・サマーズ (♂) と小学校教師エルス・バブス・クロットマンス、そして、もう1人男性の4人でフォーメーションを組みセスナに乗った。

しかし、いざ飛び降りようとした時、クロットマンスが遅れてしまい、結局、ドーレン、サマーズ、男性の3人で飛び降りる事となった。 

3人が空に飛び立ち、手を離してそれぞれ着地体勢に入りパラシュートを開くが、ドーレンのパラシュートだけ開かなかった。

ドーレンはそのままオフラブベークの住宅の庭に3km以上の高さから墜落し、全身を強く打って死亡した。

当初は事故だと思われたが、ドーレンは経験豊富なスカイダイバーであり、そんなドーレンが初歩的なミスをするとは思えなかった。

また、通常、メインのパラシュートが開かない場合、予備のパラシュートがあるのだが、どちらも故障や不備があるとは考え難かった。

そこで調査を行うと、ドーレンのパラシュートの紐が2本切られ、どちらのパラシュートも開かないように細工されていた事が判明した。

警察は故意による犯行だとして捜査を進め、事件の時に一緒にいたクロットマンスに話を聞く事にした。


同年12月、警察が2度目の尋問を行う直前、クロットマンスは自殺を試みる。

警察はクロットマンスを犯人だと考え、動機について調査を行うと新たな事実が判明する。

実は死亡したドーレンは宝石商の夫と3人の子供がいるにも拘わらず、ダイビング仲間のサマーズと不倫関係であった。

ただ、サマーズはドーレンだけではなく、クロットマンスとも関係を持っており、ドーレンとクロットマンス、サマーズは三角関係であった。

クロットマンスはサマーズがドーレンと関係を持っている事を知っており、嫉妬により犯行に及んだのだった。

ただ、ドーレンがサマーズとクロットマンスとの関係を知っていたのかは不明であった。

クロットマンスはドーレン殺害で起訴され、検察官はクロットマンスがダイビングを行う前の週にドーレンのパラシュートを細工する機会があったと主張した。

事件の1週間前の週末、クロットマンスがサマーズと一夜を過ごそうとした所、ドーレンも家を訪ねに来る。

すると、サマーズはドーレンと夜を過ごす事に決め、クロットマンスを部屋から追い出した。

クロットマンスはリビングで寝る事になったのだが、ドーレンはパラシュートをリビングに置いたままだった。

怒りが頂点に達したクロットマンスは、ドーレンのパラシュートのケーブルの紐を切った。

クロットマンスが事前に一緒に飛ぶのを止めたのも、ドーレンら3人が飛ぶのを上から確認する為であった。


2007年1月、クロットマンスはサマーズ殺害で起訴されるが、2008年に保釈された。

事件はベルギー国民の大きな関心を集め、裁判は大いに注目された。

法廷に入れないジャーナリストは裁判所の隣の部屋から遠隔操作でビデオを操作しなければならない程であった。

裁判ではクロットマンスは無実を主張する。

クロットマンスは嫉妬により殺意をもったという考えに捜査官がとらわれ過ぎていると反論し、証拠も目撃者も自白もしていないと主張した。

クロットマンスは自殺しないよう刑務所で24時間の監視下に置かれた。


2010年10月20日、クロットマンスは有罪判決となり、翌日21日に禁錮30年が言い渡された。


クロットマンスは判決を不服として上訴するが、2011年5月に棄却された。


最後にメディアに語ったクロットマンスの発言で終わりたいと思います。

「私は自分が彼にとって2位であり、1位が彼女である事を常に知っていました。私は自分自身のイメージが非常に低くナンバー2である事が当然であるので何の問題もありません」



《殺人数》
1人

《犯行期間》
2006年11月18日



∽ 総評 ∽

『Parachute Murder (パラシュート殺人) 』と呼ばれ、三角関係の嫉妬により殺人に至ったクロットマンス。

ドーレンは何も考えずに大空に飛び出し、いざパラシュートを開こうとしても開かなかった時、その焦りと絶望は想像に難くない。

クロットマンスは証拠も目撃者もおらず、しかも自白していないにも拘わらず、有罪となるのはおかしいと主張した。

確かに言っている事はその通りだが、数々の事実がクロットマンスを犯人だと示している。

クロットマンスは発言にある通り自分に自信がなく、2番手で当然だと述べた。

だが、この発言は謙遜とも捉える事が出来るが、間違いなく「嘘」である。

実際に「自分なんて」と考える人は沢山いると思うが、大抵の人が心の奥底では「そうでない」と思っている。

ドーレンは結婚している本来は幸せな人間なのに、不倫しておりしかもその相手が自分が好きな相手である。

クロットマンスは確かに容姿はパットせず、決して美人とはいえず、体型も太っている (体型に関しては病気でもない限り自己責任ではあるが) 。

そんなドーレンの後塵を拝し「許せない」と憎しみを募らせるのは女性としては普通の事である。

三角関係でよく「男性は浮気した女性自身を憎み、女性は浮気相手を憎む」と言われるが、それが顕著に現れた例といえる。