イオン・プロダン (ロシア)
【 1968 ~ 】
イオン・アンドレーヴィッチ・プロダンは、1968年6月28日、ロシア (ソ連) ・モルドバ (現在は「モルドバ共和国」だがこの時はソ連の支配下) で生まれた。
家は大家族で、プロダンは11人兄弟の末っ子であった。
父親はアルコール依存症で、アルコールを飲んでは妻やプロダンら子供達を殴った。
また、末っ子だったプロダンは兄にいじめられた。
そんな劣悪な家庭環境に耐えられなくなったプロダンは家から逃げ出した。
プロダンは何故か鉄道に惹き付けられ、近くに放置されていた車に何週間も住んだ。
学校でのプロダンはいじめを受け、いじめは兵役中にも受けた。
同僚にいじめられた理由は ″プロダン″ という姓がロシア語で「売り渡す」という意味であった為だった。
同僚は
「イオン、お前はどれくらい ″プロダン″ したんだ?」
と冗談を言ってからかった。
短気だったプロダンはそれを許さなかった。
兵役を終えた後、モルドバに戻らず首都のモスクワに行き働く事に決めた。
だが、プロダンは専門的な技術や資格、パスポートもなかった為、季節労働者として働くしかなかった。
そして、プロダンは惹かれる鉄道に出没するようになる。
1994年9月2日、モスクワ・キエフスカヤ駅の技術検査施設の近くで、プロダンはアルコールを飲みながら飲酒仲間の大工ウラジーミル・スラドコフ (♂) を殺害し、所持品を盗んだ。
プロダンは犯行に金属のコーナービードを使用したが、以降、この凶器を武器に使用する。
スラドコフ殺害後、プロダンはサンクトペテルブルクに逃げた。
1995年、プロダンはリャボフという男の協力を得て強盗を行った。
この強盗で逮捕されたプロダンは、拘置所で9ヶ月過ごした後、4年間の保護観察処分となった。
モスクワに戻ったプロダンは、コストロマ地方の田舎の少女と結婚し、家族はモスクワ州ヴィドノエのアパートに住み、娘が生まれた。
しかし、プロダンは娘に対して腹を立たせ、妻をしばしば殴り、侮辱した。
また、妻をアパートの6階から放り投げた事もあった。
プロダンは家族をモルドバへ送り、自身はアパートに残ったが、家賃が支払えなかった為、森で生活するようになる。
そして、夜になると女性を狩り始め、頭を殴り強姦し、金品や食べ物を盗んだ。
だが、寒くなるとプロダンはヴィドノエでアパートを借りて住んだ。
妻と娘と再び生活を始めるが、再度虐待を加えた為、耐えられなくなった妻と娘は家を出ると、2度と戻る事はなかった。
1998年9月4日、モスクワのボロトニコフスカヤ通りでプロダンは通行人をランダムに襲い掛かり、頭部を致命的に殴った。
殴った時はまだ生きていたが、後にプロダンはメディアを介して死亡した事を知った。
その後、プロダンは別の殺人を行うが、警察の発表もメディアにも全く扱われない事に憤慨し、公衆電話から警察とテレビ局に電話を掛けた。
プロダンは電話に出た人間に「怠け者」と罵倒し、死体の場所を告げた。
当初、警察はただのいたずら電話だと思い半信半疑であったが、言われた場所で死体が見つかった。
翌日、プロダンはニュースレポートを見て大いに喜んだ。
プロダンは女性との関係でとある問題を経験し、その事で女性を恨み、そして男性を憎むようになり復讐を行う事を考える。
プロダンはモスクワ州のドモデドフスキーとレニンスキーで強盗と強姦を始める。
ヴィドノエで男性を殴り、服を脱がすと裸で走らせた。
だが、プロダンは自身の力では全ての人間に対処出来ないと感じ、その為催眠術を習得する事に決める。
「催眠術:方法論と実践」という本を読み、催眠術を習得したと信じたプロダンは、手始めに通行人の男性に使用した。
だが、男性が服を脱ぎお金を盗んだまでは良かったが、男性に激しく殴られた。
プロダンは全ての犯罪に「セッション」と呼んだ催眠術を行い、最後はコーナービードで頭を殴った。
また、犯行現場にたまたまあったボトルや石等を使用した事もあった。
プロダンは警察官の心理や行動を慎重に研究し、頻繁に連絡した。
時には警察官に飲み物さえ提供し、探りを入れた。
ある時、プロダンが強盗殺人を犯して通りを歩いていると、パトロール中の警察官に拘束された。
プロダンはジャケットに犠牲者の血が付着している事に気付くと、自身の手を噛んで血をジャケットに塗りつけた。
警察官は応急処置をしてプロダンを釈放した。
ある日、プロダンは偶然道路で出会ったシェベルコバという女性を殺害し、バッグを盗むと中に札束が入っている事に驚き大いに満足した。
そして、プロダンは車を捕まえてその場を去ろうとするが、バッグを開けて支払う際に中に札束が入っているのをたまたま停まったパトカーに見られてしまう。
警察はプロダンをカメラで撮影した。
プロダンは現場に戻りヘンリク・アラケリヤンという男性に話し掛け住所を掴むと、翌日にアラケリヤンとその娘を殺害した。
1999年3月、プロダンは警察を侮辱したとして逮捕される。
その後、15日間、投獄されるが独房で神経質に振る舞い、腹部の皮膚を引き裂くと鋭いスプーンで刺した。
プロダンは病院に搬送されるが、そこから逃げ出した。
逃走したプロダンはヴィドノエに住む妹のもとへ向かうが、そこで警察官によって拘束された。
警察はプロダンが連続殺人犯で連続強姦犯、連続強盗犯だと考え捜査を進めた。
プロダンは9日間沈黙して何も語らなかったが、10日目に捜査官にアンドレイ・チカチーロについて話し始め、
「そうです、彼は私と比べてただの子犬です。これはあなたのチカチーロです!」
と話すと、紙とペンを要求し、犯罪の一部について記した。
プロダンは非常にきまぐれで、犯罪について喋る為にバナナと指定した製品を要求した。
結局、1998年から1999年の9ヶ月間に58件の男女に対する犯罪が確認された。
プロダンは女性のみならず男性も襲ったが、これはプロダンが両性の傾向があったからとされた。
プロダンのアパートからはいくつもの女性のアイテムが見つかったが、正式な犠牲者数についてはわからなかった。
法医学的検査によりプロダンが裁判に耐えうる精神状態であるとわかると、裁判が行われるが、プロダンは証言について反論した。
裁判所は5人の殺人と17人への強姦と強盗しか証明出来ず、植民地の厳しい刑務所で禁錮25年が言い渡され、ロシア最高裁判所もこの判決を支持した。
最後に病院から逃走した際に残したメモの内容で終わりたいと思います。
「待ってて下さい。私は戻って来ます」
《殺人数》
6人以上 (他犯罪多数)
《犯行期間》
1994年9月2日~1999年
∽ 総評 ∽
『The Domodedovo Ghoul (ドモジェドヴォの悪鬼) 』と呼ばれ、最低でも6人を殺害したプロダン。
プロダンはアルコール依存症の父親のみならず、11人兄弟の末っ子という事もあり兄からも虐待を受けた。
また、同級生のいじめを受け、同僚からも名前をからかわれた。
この劣悪な家庭環境といじめなどがプロダンの精神状態を破綻させ異常者と導いた可能性は高い。
通常、凶悪な犯行が証明出来ないから罪が軽くなるのはわかるが、5件の殺人と17件の強盗及び強姦というこれでもかという罪が露呈しているのにたった25年の刑であった。
ロシアが死刑を廃止して間もない頃ではあったのでこの程度の刑になったと思われるが、もうすぐ釈放されると思うと恐ろしさしかない。
コメント
コメント一覧 (17)
とかホザく凶悪犯罪者に禁固25年はごほうびでしょう。
何の利益も生み出さないどころか害ばかり生み出す充分すぎるほどの凶悪犯罪者へのごほうびは愚策もいいとこ。
日本も同じことをしていると思うとおぞましい。
特に強姦などの性犯罪を犯した凶悪犯罪者に対しては無罪になることはザラだし、虐待して殺しても数十年で釈放されることもザラ。
もはやご褒美ですね。
確かに日本は強姦には寛大ですね。
チカチーロと比べたら子犬ってそんなぶっ飛んだ殺人鬼と比較してもねぇロシアでは小者でも日本でなら伝説級の殺人鬼だと思いますが。
間違いなく再犯するでしょう。
日本なら仰る通り伝説級ですね。
ロクに捜査もせず、怠惰で適当で暴力的で無能と来ています。
司法も絶望的・・・・・・ターミネーターのような、決め台詞を吐かれる始末は、激甘判決だからに他なりません。
凶悪犯罪者を擁護できる神経は、私には理解の範疇外です。
大金を掛けて、凶悪クソムシを飼育するのが社会に悪影響しかもたらさないと信じています。
ソビエト圏内では、父親がアルコール依存症で暴力的なのは既にデフォ。
子供を殴り殺すのも、余り珍しくは無いのです。
彼のヨシフ・スターリン(ヨシフ・セルゲヴィッチ・ジュガシヴィリ)は末っ子、兄は全員が父親に殴り殺されています。
そんな風土ですから、怪物が生まれ育つのかも知れませんね。
ロシア圏では、アメリカ程では無いものの、結構な殺人事件が発生しています。
しかし、殆んどがロクに捜査もされていないのが現状なのです。
ロシア警察が捜査で凶悪犯罪者を逮捕できるのは、非常に稀です。
殆んどの怪物的な、凶悪犯罪者を逮捕に至るのが偶然と市民の通報によってです。
無能だから適当だし暴力も振るうのでしょう。
確かにこんな捨て台詞吐かれるのって司法が舐められてる証拠ですね。
ウォッカを常飲するような国ですからね、嫌でもアルコール依存になりますよ。
そんな暴力的な家庭が普通なら異常者が生まれるのも当然ですよ。
容疑は中学生の少女に対するわいせつだとか。
テレビではかなりオブラートに表現されていますが、ぜったいそれだけで済むとは思えません。
しかも被害者は1人ではなく複数だそうです。
私からしたら正直死刑でも足りないくらいです
ぺドフィリアの性犯罪者なんて更生云々の前に人間として生きてる価値は0!
僭越ながら、私も同感です。
何か報道のされ方が微罪と思われかねないと感じましたね。
ついでに本が絶版になるから価値が出るって買い漁る者やら凄まじい高額で出品する者まで出て頭痛くなりました。
逮捕されましたね。
日本は強姦されたとは言わないですからね。
しかも複数ですか。
妄想は原作だけで我慢しておけばよかったものの、こらえきれなくなったのでしょう。
私も同じ思いです。あんな存在から多くの読者が一方的に夢を見させられていたかと考えるだけでも嫌悪感が治まらない。
「世紀末リーダー伝たけし!」「トリコ」で知られる島袋光年や「るろうに剣心」の作者の和月伸宏、「ヒカルの碁」「DEATH NOTE」「バクマン。」作者の小畑健も犯罪者ならび法違反者である分、幻滅どころではありません。
正直なことを言うと、そんな漫画原作者や漫画家を所属させている集英社の存在自体が異常でしかない(集英社は社員や作家から超絶ブラックと見られるほど最低な色合いの企業だそうですが、元々がブラック気質満点な企業である小学館の子会社から始まった会社である為、親会社であった小学館からそれを色濃く受け継ぎ現在に至るという見方さえあります)。
私は集英社と小学館の漫画誌を今でも観続ける人の神経が「信じられない」。
面白い作品があるのに食わず嫌いなんてバカじゃないの?と言われたら、逆に「ロクでもない屑が描いたり原作手懸けたりしてるのを風化させてる糞出版社が扱う漫画を何故観なきゃならんのじゃ!」と斬り捨てることも辞さない。
秋田書店も同様で、「無敵看板娘」作者の佐渡川準氏を自殺へ追い込んだ屑振りが今も記憶に残っているので、そこが出してる漫画誌「チャンピオン」は未だ反吐が止まりません。
同地域で犯行に及んだスクリニクとドッコイドッコイの腐れ振り、いや それ以上の低劣さだとしか言えません。あまりに悍ましい。
(ソ連圏において家族の父に当たる存在がアルコール依存症で暴力的というのがデフォルトとはいえ、元々が意図的に仕組まれたハリボテ連邦でしかない上にそういう悪環境や犯罪者もワザと作り出されていたとの見解があるので、凄惨さのLv.は我々日本人の想像を遥か斜め上へ伸びた侭なのが常としか形容し難いです…)
こんな最悪な人物が生まれ出てしまってることを、現在のモルドバ国民はどう捉えているのか少し気になります。
犯罪と国は切っても切り離せません。
戦争や不景気により生活が不安定になると犯罪は増えますし、風土や国民性によっても犯罪の質は変わってきます。
仰る通り日本人には理解出来ませんがこんな鬼畜が平然と生まれる事を考えればどんな国かわかりますね。
男性が服を脱ぎお金を盗んだまでは良かったが、男性に激しく殴られた。
これ、催眠術聞いてたんですかね。
やりとりを想像すると、コントみたい。
多分少し効いてたんだと思います。
仰る通りコントみたいですよね。
釈放したらチカチーロを超えるためにもっと殺す可能性は大あり。
この事件では完ぺきに司法は大敗してますね!
その通りですね。
司法の愚かさが如実に現れた事例ですね。