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レイモンド・クラーク (アメリカ)
【 1985 ~      】



アニー・マリー・レーは、1985年7月3日、アメリカ・カリフォルニア州サンノゼでベトナム系アメリカ人の家庭に生まれた。

レーは子供の頃は叔父や叔母と過ごし、ユニオン高校を卒業した。

学校ではトップクラスの優秀な成績を修め、「次のアインシュタイン」と呼ばれた2人の内の1人に選ばれている。

レーはロチェスター大学に通い、卒業後、奨学金16万ドル (約1700万円) を手にし、エール大学の大学院プログラムに入った。

専攻は細胞生物学と医療人類学であり、薬理学の博士号を取得した。

そんなレーは2009年9月13日、ニューヨーク州シュセットで結婚する予定であった。


同年9月8日朝、レーはアパートを出るとスターリングホールへ向かい、その後、研究室のあるエール大学へ向かった。

レーはすぐにスターリングホールへ戻るつもりであり、財布や携帯電話、クレジットカードや現金を置いたままだった。

午前10時過ぎ、レーが建物に入る姿が防犯カメラで確認されているが、その後、行方不明となってしまう。

レーが家に戻らない事を不審に思ったハウスメートが午後9時頃、警察に通報した。

警察はレーが建物から外に出る様子が防犯カメラに映ってない事から建物内にいるとみて建物全体を閉鎖して捜査を行った。

また、警察は大学内のゴミ捨て場等で手掛かりを探した。

レーの捜索には地元の警察だけではなく、コネチカット州警察、FBIも参加した。

事件は全米の注目を集め、婚約者の男性が怪しいのではとか、レー自身がマリッジブルーとなり逃げ出したのではないのか等と様々な憶測が飛び交った。


その後、レーが行方不明のまま結婚式当日の13日を迎える。

そして、当局は研究室の地下室の壁の中の空洞で、隠された半裸のレーの遺体を発見する。

実は少し前に血まみれの服が建物内で見つかっており、建物内を集中的に捜査したのだった。

また、建物や同エリアには約70台もの監視カメラが設置されており、建物の出入口をアクセスするにはIDカードが必要であった。

レーの遺体が発見された研究室の地下は実験や研究に使用される動物 (主にマウス) が保管されており、特に厳重であった。

その為、警察はすぐに大学関係者、特にレーの同僚を疑う。

レーの検視を行うと、死因が首を圧迫した事によるものだと判明し、強姦されている事がわかった。


同年9月16日、警察はレーが姿を消した時、同じ研究室で働いていた検査技師レイモンド・ジョン・クラーク三世 (1985年1月28日生) を容疑者と考える。

そこで、警察はクラークのDNAサンプルを採取する為の令状を取得し、クラークを拘束した。

クラークはDNAサンプルを提出した後、釈放された。


翌日の17日、研究室用のズボンに付着した精液からクラークのDNAが、血痕の付いた靴下や研究者コートからレーのDNAが検出され、クラークは逮捕された。

クラークの衣類には膨大なラットのDNAが付着しており、検査にかなりの時間を要した。

研究室はクラークの暴行により血まみれとなり、レーを縛り付ける際にクラークは引っ掻き傷を負っていた。

クラークはコネチカット州で最大のセキュリティとされる刑務所に収監され、保釈金は300万ドル (約3億円) に設定された。

クラークは

「命を奪った事は本当に本当に申し訳なく思います」

と語った。

クラークはラット管理の専門職で、真面目な性格であった。

ただ、その真面目さが裏目となり、職務に忠実なあまり同僚から「厳し過ぎる」とか「感情的だ」と普段から言われていた。


同年10月6日、裁判が始まると、検察はレーがまだ生きている時に顎の骨を折られ、背中に傷を負っており、暴力的な強姦があったと主張した。

ただ、肝心の動機についてはクラークは何も語らなかった。

ただ、クラークはレーに対して

「君の担当しているゲージが不潔なので迷惑だ」

とクレームを言っていた事がわかった。


2011年3月17日、クラークは有罪判決が下され、同年6月3日、44年の禁錮刑が言い渡された。

クラークには終身刑の可能性があったが、嘆願書により懲役刑となったのだった

クラークが釈放されるのは2053年9月16日の予定である。

レーの事件はアメリカだけではなく、世界中に知れ渡り、多くの同情の声が届いた。

葬儀はライブ中継され、世界中がその死を悼んだ。


最後に警察の尋問に対してのクラークの供述で終わりたいと思います。

「誰も傷つけたくなかった。彼女は私よりも遥かに素晴らしい人間であった」



《殺人数》
1人

《犯行期間》
2009年9月8日



∽ 総評 ∽

同僚の女性を強姦し殺害したクラーク。

強姦殺人というアメリカでは日常的な犯罪であり珍しい事もないが、犠牲者を研究室の壁に隠したというのが衝撃的であった。

外に運ばなかったのは建物内の監視カメラの多さをよく把握しており、運び出した場合、すぐにばれると思ったからであろう。

ただ、クラークの動機だが、本人が尋問でも裁判でも語らずわからなかった。

クラークは潔癖症であり、職場を汚される事が気に入らず、その為レーに対して日頃から怒りが蓄積して殺害に至ったと言われている (レーはずぼらな性格で研究室をよく汚していた) 。

確かにその可能性もありえるが、だったらわざわざ強姦する必要はない。

個人的には内心クラークはレーに好意を寄せており、結婚してしまう事に対する嫉妬と愛憎が歪んだ形で爆発してしまったのではないかと思う。

コネチカット州は2012年に死刑を廃止しているが、クラークは2011年に判決が下されているので死刑の可能性もあった。

ただ、どのみち死刑判決となっても翌年には廃止となるので結局は終身刑となってしまう。

だが、クラークは懲役刑となり2053年に出て来れるので、遺族や婚約者からすれば納得いかないでろう。