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マリー・ロバーズ (アメリカ)
【 1976 ~      】



アメリカ・テキサス州フォートワースで育ったスティーブン・ロバーズは、高校でベス・ローマーと出会い、1974年に結婚する。

1976年にドロシー・マリーが生まれたが、夫妻は1980年、マリーが4歳の時に離婚した。

スティーブンと離婚したベスは1年後、元海軍将校のフランク・バロウズと再婚する。

マリーはベスとフランクと一緒にテキサス州グランベリーで生活を始めるが、マリーはフランクとは上手くいかなかった (ただしフランクとの関係は良好だったともいわれている) 。

フランクとの関係は決して良好とはいえなかったが、マリーは学校で音楽や芸術、ダンスなどに打ち込み、生活は落ち着いていた。


しかし、1992年、マリーはたまたまフランクが見知らぬ女性と一緒にいる所を目撃する。

マリーは早速その事をベスに話すが、逆にベスに責め立てられる。

マリーは不倫していたフランクとベスが別れると思っていたが、ベスはフランクと一緒にいる事を選んだ。

マリーはフランクの事を更に嫌悪するようになり、ベスにフランクとは一緒に生活出来ないと告げた。

マリーは家に戻らない事を誓い家出するが、1週間も経たない内にマリーはベスに連絡し、家に戻りたいと話すが、フランクはそれを許さず、マリーを拒絶した。

どうしようもなくなったベスは、元夫スティーブンに連絡し、マリーと一緒に生活出来るか聞いた。

数日後、マリーはフォートワースに行き、実の父親と10年以上振りに一緒に生活する事となった。

マリーは地元のイースタンヒルズ高校に通うようになる。

だが、スティーブンとの生活はマリーにとって理想的なものではなかった。

マリーはベスに手紙を書いており、それにはワンベッドルームのアパートの部屋は非常に不潔で狭く、とても快適ではないと書かれていた。

また、手紙には「死にたい」と書かれていた。

手紙を読んだベスは最初は驚いたが、典型的な10代少女の不安定な精神状態であると考え、特に心配しなかった。

しかし、次第にマリーは精神的に安定し、父親との生活も落ち着き、学校での成績も向上した。


1993年2月18日、マリーの部屋の隣人サンドラ・ハドギンスが、玄関先でマリーを見かけ、マリーはハドギンスに「父親が病気だ」と説明した。

ハドギンスは部屋に入ると、スティーブンが白い泡を吹いて床に横たわっている姿を確認する。

スティーブンはかろうじて息をしており、ハドギンスはすぐに911に連絡する。

救助隊が到着し、必死の治療を行うが、スティーブンは死亡してしまう。

検視官が遺体を調べ、死因は心臓発作とされた。

父親が死亡し、1人となったマリーはグランベリーのベスとフランクのもとに戻り、一緒に生活を始める。

その後、ベスはフランクと別れ、マリーを連れてフロリダ州パナマ・シティへ引っ越した。

しかし、フランクがベスとマリーのもとへ現れ、やり直したいとベスを説得した。

結局、ベスはフランクとやり直す事となり、すでにフランクの事はどうでもいいと思っていたマリーだったが、テキサス州に戻る事にする。

マリーはマンスフィールドに住む祖父母との生活を選んだ。

地元のマンスフィールド高校に通う事となったマリーは、学校でステイシーという同級生と出会う。

ステイシーも家庭環境は破綻しており、そんな2人は意気投合し、すぐに仲良くなった。

マリーは成績優秀でスポーツ万能、将来有望な学生へと成長した。


1994年1月、英語の宿題でシェークスピアの「ハムレット」を読んでいた。

すると、登場人物の1人が殺人を犯すというくだりの所で、ステイシーはマリーの手が小刻みに震え、顔面蒼白となっているのを目撃する。

心配になったステイシーはマリーに声を掛けると、マリーは、

「冷血に殺人を犯す人間をどう思う?」

と尋ね、立ち上がると涙を流した。

ステイシーは
「どこか体調でも悪いの?」
と尋ねるが、当初、ステイシーはマリーが妊娠したのだと思っていた。

しかし、すぐにそうではないと感じたステイシーは、冗談で
「もしかして誰か殺したの?」
と尋ねた。

すると、マリーは泣きながら

「父」

と一言答え、更に

「化学の教室から酢酸バリウムを盗んでリフライドビーンズに混ぜた」

と話した。

マリーはステイシーに誰にも言わないよう頼み、ステイシーも秘密を守ろうとした。

だが、その日からステイシーは、マリーに追い掛けられたりスティーブンが墓から呼び掛けるといった悪夢にうなされるようになる。

次第にステイシーの精神状態は悪化していき、それを見かねた母親がステイシーに問い質した。

ステイシーは母親に秘密を告白し、ステイシーと母親は警察にその事を告げた。

マリーは警察の尋問を受け、スティーブン殺害を認めた。

マリーはスティーブン殺害後、罪悪感に苦しんでいたと述べた。

スティーブンの遺体を精密に調べると、酢酸バリウムが検出され、マリーはスティーブン殺害で逮捕された。

事件が公になると、成績優秀の美少女が父親を殺害したというショッキングな内容に全米が注目する事となった。

当初、警察は動機としてスティーブンのマリーへの虐待を疑ったが、マリーはスティーブンとの関係は良好であったと主張した。

では何故殺害したのか聞かれると、マリーは

「父が死ねば母親とまた暮らせると思ったから」

と話した。

しかし、ベスは元々マリーと2人でフロリダ州へ引っ越す計画を考えており、
「もし、私が1週間前にマリーに話していれば・・」
とインタビューで語っている。


1995年、裁判でマリーは有罪判決が下され、懲役28年が言い渡された。


2003年、刑務所に収監されてから8年後、マリーは仮釈放となった。

その後のマリーの行方は不明である。

マリーの事件は小説やテレビ等、多くのメディアが取り上げている。


最後に友人のステイシーに話したマリーの言葉で終わりたいと思います。

「人間は良心なしに人生を歩む事が出来ると思う?」



《殺人数》
1人

《犯行期間》
1993年2月18日



∽ 総評 ∽

実の父親を母親と一緒に生活したいが為に毒殺したマリー。

マリーは成績優秀の優等生であり、そんな少女が実の父親を殺害したというのは全米の注目を集める事件となった。

動機も再び母親と暮らしたい為という救いようがない短絡的で安直なものだが、個人的には不思議とあまり彼女を責める事が出来ない。

両親の離婚や再婚で生活が安定せず、多感な時期に親によって振り回され、それでも学校では優等生として頑張っていた。

これで赤の他人を殺害したのなら全く同情も出来ないが、殺害したのは一応殺人のきっかけを作る事となった実の父親である (だからといって殺される程の事をしたとはいえないが) 。

マリーは父親に対して以外は犯罪を犯しておらず、しかも、仮釈放後の生活についてはわかっていないが、わかってないという事は再犯を犯してない可能性が高い。

ただそれでも殺人は殺人であり、安易に許されるべきではないが、懲役28年は妥当な所といえよう。