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ヘザー・バロン (アメリカ)
【 1989 ~      



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カリーム・レイバ (アメリカ)
【 1986 ~      】



2018年6月20日、アメリカ・ペンシルベニア州ランカスターで、911に連絡が入る。

電話の主はヘザー・バロン (1989年9月29日生) という女性で、息子のアンソニー・アバロス (10歳♂) が転落して意識不明だと話した。

警察が駆けつけアンソニーは病院に搬送されるが、すでに死亡していた。

警察官は現場でアンソニーの様子を確認した瞬間、虐待を疑った。

アンソニーの剖検を行うと、検視官はその様子に唖然とする。

顔全体、鼻や額に擦り傷や打撲傷がありそれは全身に及び、膝と背中に複数の擦り傷、四肢全てに多数のかさぶたがあった。

また、骨が露出し円形の火傷痕、目はくぼんでおり、酷い栄養失調であった。

検視官の報告によると、頭部に鈍器で殴られた痕があり、脳にダメージを負った頭部外傷による脳内出血が致命傷とされた。

更にアンソニーには性的虐待を受けた形跡がある事が判明した (後に祖父だと判明した) 。


アンソニーが死亡してから1週間後の27日、バロンの同居人でボーイフレンドのカリーム・レイバが逮捕された。


レイバが逮捕されてから2日後の29日、バロンが逮捕された。

逮捕された2人は、アンソニーへの虐待を認めた。

虐待が激しくなったのは死亡する6日前からで、バロンとレイバはアンソニーの顔と口に熱したソースを浴びせ、ベルトで滅多打ちし、足を掴んで頭を繰り返し床に打ち付けた

また、身体的虐待だけではなく、狭い部屋に何日も閉じ込め食べ物や水を一切与えず飢えさせもした。

更に正座させると重りや本を持たせ、兄弟とは無理やり喧嘩させた。

しかも、2人はアンソニーの目の前でポルノビデオを見て、アンソニーと他の子供の前で性行為を見せつけた。

また、アンソニーには他に3人の兄弟がいたのだが、2人は他の兄弟たちにも2013年4月から2018年まで虐待していた事も判明した。

年長であったアンソニーに対する虐待が最も苛烈で凄惨であった。


同年10月、バロンとレイバは殺人罪で起訴されるが、虐待は認めたものの殺人は否認した。

だが、レイバは刑務所の中で他の囚人に対して暴力行為を行った為、告発された。

レイバは2010年に家庭内暴力で起訴され有罪判決が下されていた事が判明した。

また、レイバはアメリカのみならず中央アメリカにも幅を利かせる『MS-13』というギャングの一員である事もわかった。

実は2013年2月から2016年4月の間、児童家族サービス局のケースワーカーが13回も家を訪問していた事がわかった。

ケースワーカーが13回も訪問したにもかかわらず、保護できなかった事について、裁判所を訪ね虐待について説明したが保護命令が下されなかったと述べた。

実は、これまで2人と一緒に暮らしてきた子供が全部で9人いる事が判明したが、残りの子供たちへの虐待があったかどうか確認する事が出来なかった。

アンソニーの叔母マリア (バロンにとって義理の妹) は、アンソニーや他の兄弟達が定期的に虐待を受け、ゴミを食べさせられていたとインタビューで答えた。

マリアは2015年にアンソニーら兄弟がクローゼットの中に閉じ込められ、トイレに行くのを我慢させられていた事をバロンから聞いた。

しかし、バロンは急に慌てて

「アンソニーがそのクローゼットから自力で出て来てとてもたのもしかった」

と付け加えた。

アンソニーの実父ビクターは、家族のビデオチャット中にバロンによって虐待されていた事を後にテレビ局に話している (ビクターはバロンとの離婚後メキシコに移住していた) 。

また、
「死刑判決となってもアンソニーが生き返るわけではない。だが、彼らの犯罪を考えれば最悪の罰を受けるに値する」
と述べた。

裁判官がバロンとレイバに裁判における権利を理解したかどうか尋ねると、ポケットに手を入れたまま、静かに

「はい」

と答えた。

バロンとレイバの判決はまだ確定しておらず、もし、起訴した内容で有罪判決となった場合、死刑もしくは仮釈放の可能性がない終身刑が言い渡される予定である。



《殺人数》
1人

《虐待期間》
2013年2月~2018年6月20日



∽ 総評 ∽

長年に渡り虐待を繰り返し殺害に至ったバロンとレイバカップル。

この事件はアメリカでは以前掲載したパール・フェルナンデスとボーイフレンドのイサウロ・アギーレがガブリエル (8歳) を虐待死させた事件と酷似している事からよく比べられる。

虐待死事件は日本を含め世界各国どこでも多く起こっている。

日本でも近年多発する虐待事件をみかねて新たな法律が施行される予定であるが、正直叩いたらダメだとか安易で安直な即席法律の感が否めず、根本的な解決には何もならないだろう。

そもそも虐待事件を防ぐ事自体、家庭環境がそれぞれ違う時点で不可能なので、根本的解決は無理である (多少防ぐ事は出来るだろうが) 。

今回の新たな法律施行で厳罰に全く触れなかったのは、おそらく厳罰に処すというのはすでに虐待が起こった後の話しであり、虐待を防ぐ事にはならないと思ったからではないだろうか。

だが、もしそうだとしたらそれは完全にお門違いである。

個人的には叩いたらダメとかそんな安易な法律にするくらいなら、虐待自体の刑罰を重くする方がもっとも有効的だと思う。

たいして重くないから繰り返すのである。

虐待が発覚した瞬間、全ての権利の剥奪、死刑や無期懲役、結婚や出産の生涯の禁止等、厳しくすれば少なくとも思い立つ人間が出てくるはずである。

ただ、どんなに厳しくしても画期的な法律を作ったとしても残念ながら虐待が0になる事は決してない。

今後も日本でも多くの虐待事件が起こるだろう。

新たに産まれてくる子供たちは、そんな愚かで鬼畜な親の下に産まれないよう祈るしかない。