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アリッド・ウカ (ドイツ)
【 1990 ~      】



アリッド・ウカは、1990年2月8日、コソボ・ミトロヴィツァ (当時はユーゴスラビアのセビリアに属していた) で生まれた。

アルバニア人であるウカは、1歳からドイツに住んだ。

祖父はコソボのアルバニア人のイマーム (ムスリムの大小の宗教共同体を指導する統率者。また、シーア派における特別な存在である「最高指導者」のこと) で、その影響により家族は世俗的な生活を送った。

ウカは1日5回、イスラム教徒として祈りを捧げていた。

6、7歳の時にウカは性的虐待を受ける。


2005年、社会における暴力の防止に取り組むプロジェクトで賞を取り、当時の首相ゲアハルト・シュレーダーと一緒に写真を撮った。


2007年ウカはフリードリヒ=デッサウォー高校に通うが、よくさぼった為出席日数が足らず、11年生を繰り返した (ドイツは1年生から高校卒業の12年生が一区切りとなる) 。

学長との協議により12年生を過ごす事が出来たが、成績や生活態度の改善は見られず、高校を中途で去った。

しかし、両親には卒業したと話し、また、大学に通う予定であったが入学前に辞め、親には言わなかった。

ウカはフランクフルト空港内にあるドイツ郵便局で働いた。

元上司によると、ウカは内向的だが礼儀正しく、攻撃的な性格ではなかったという。

しかし、ウカは突如、友人との関係を断ち切り、インターネットの世界に没頭するようになる。

そして、ウカはジハード主義関連のウェブサイトを頻繁に訪れるようになる。

また、サラフィスト (イスラム原理派の中でも過激派といわれる「サラフィー主義者」の事) の服装を着るようになる。

そして、イラクやアフガニスタンの戦いに参加しようとするが、どのようにして参加出来るのかわからず断念した。

その後、インターネット上で2つのサラフィー主義の団体と連絡を取り、モスクで自らの考えを述べた。


2011年3月2日、フランクフルト空港で15人のアメリカ兵がラムシュタイン空軍基地へ向かう為、ターミナルビルのアメリカ軍バスに乗って待機していた。

ウカは待機しているアメリカ軍のもとへ行き、飛行士にタバコをくれるよう頼み、行き先がアフガニスタンなのか尋ねた。

飛行士が「そうだ」と答えると、ウカは銃を取り出し飛行士の後頭部を撃って射殺した。

そして、

「アラフアクバル!」

と叫びながらバスの運転手を射殺し、銃を乱射して2人の飛行士に銃弾3発を浴びせて負傷させた。

その後、別の飛行士の頭に向けて引き金を引くが弾が詰まってしまう。

ウカは逃走を試みるが、空港従業員に追い掛けられ、ドイツの2人の警察官に圧倒され拘束された。

犠牲者はニコラス・オールデン (25歳♂) とザカリー・カドバック (21歳♂) で、負傷した2人の内、1人は右目を失い、顔の右側を半分をチタンで整形しなければならなかった。

また、頭痛と発作の後遺症に生涯悩まされる事となった。

もう1人は顎と腕を撃たれ、神経を損傷した。

裁判ではウカの弁護士がYouTubeでアメリカ兵がイラクのイスラム教徒を強姦している映像をみて、それに対する怒りが動機だと述べた。

その映像をウカは本物だと確信していたが、実際は「マハムディアの虐殺」を基にアメリカで製作された映画のシーンが取り上げられたものだった。

ウカはインターネット上でいくつかのイスラム教徒のフォーラムに投稿し、いずれイスラム教徒とアメリカ政府による世界戦争が起こると信じていた。


2012年2月10日、ウカには2件の殺人と3件の殺人未遂により終身刑が言い渡された (しかしドイツの終身刑は15年で仮釈放の資格を得る) 。

また、ウカは3年以上の禁錮刑が言い渡された為、ドイツの市民権を保持しておらず、釈放後コソボに強制送還される事になっている。

尚、このウカの犯行は、ドイツ国内において犯人がイスラム主義を動機として行われた初めてのテロとされている。



《殺人数》
2人 (他2人負傷)

《犯行期間》
2011年3月2日



∽ 総評 ∽

イスラム主義者としてアメリカのイラクやアフガニスタン侵攻への怒りから犯行に及んだウカ。

ドイツはナチス・ドイツの影響からか、こういった歪んだ思想・思考に陥る人間が非常に多い。

以前、紹介した国家社会主義地下組織一味もそうだったが、何故そうなり易いのだろうか。

ISもそうだが、イスラム過激派によるテロ行為というのは世界各地で起きている。

ただ、ウカの場合、組織に所属していたわけではなく、個人的思考による単独で行われたものであった。

ウカの行為は当然許されるものではないが、個人的にはISのような何の罪もない人間を無差別に殺戮する事に比べ、アメリカ軍を嫌いアメリカ兵のみをターゲットとして犯行に及んでおり、自身の信念を歪んでいたとしても貫いている分、まだましと思える。