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リンダ・ブロック (アメリカ)
【 1948 ~ 2002 】



リンダ・シェリル・リヨン・ブロックは、1948年2月8日、アメリカ・フロリダ州オートランドで生まれた。

父親をフランシス・スティーブン・リヨン、母親をベリレン・エリザベス・オーウェンといい、ブロックには妹デニスがいた。

ブロック10歳の時、父親が死亡し、以降、母親は精神に異常をきたす。

そして、日常的にブロックやデニスを肉体的、精神的に虐待した (と後にブロックは語っている) 。

ブロックは結婚するが離婚し、その後、ジョージ・シブレーと再婚する。

ブロックはフロリダ州キーウェストで、人道協会の秘書を務め、また、動物虐待の調査員も務めた。


1993年10月4日、ブロックはシブレーと9歳の息子 (前夫との子供) とアラバマ州オペライカにあるウォルマートに来ていた。

ブロックは公衆電話へ向かい、シブレーと息子は駐車場に停めた車の中にいた。

すると、たまたま通り掛かった警察官ロジャー・ラマー・モトリー (39歳♂) が、車を見た所、少年が助けを求めているように見えた。

実はこの時、ブロックとシブレーはブロックの元夫に対する暴行罪で起訴されており、判決の際に出頭せずに逃走していた所だった。

モトリーは車を運転し、シブレーの車の後ろに駐車した。

そして、車に近付きシブレーに免許証を求めた。

すると、シブレーは銃を抜きモトリーに向かって発砲した (後のシブレーの供述によると、モトリーが免許証の提示を求めると同時にリボルバーに手を掛けていた為、危険を感じて撃ったと述べている) 。

銃弾はモトリーに命中するが、致命傷に至らず負傷してパトカーの後ろに隠れた。

銃声を聞いたブロックは車に戻ると、そこにはシブレーとモトリーがおり、ブロックは銃を取り出しモトリーに向かって発砲した。

驚いたモトリーがブロックの方へ振り向くと、ブロックは再び発砲し、銃弾はモトリーの胸部に命中した。

普段、モトリーは防弾チョッキを着用していたが、この時はたまたま新人に渡していた為着ておらず、銃弾により死亡してしまった。

ブロックとモトリーはすぐに逮捕されるが、2人は反政府運動の一環として市民権を放棄し、出生証明書や運転免許証、社会保障カード等を放棄していた。

その為、2人は裁判所が任命した弁護士との協力を拒否した。

裁判で2人はモトリー殺害について自衛を主張した。


1994年12月21日、ブロックには死刑が言い渡された。

また、シブレーにも死刑が言い渡された。

刑務所に収監されたブロックに作家のタヒル・シャーがインタビューを行った。

インタビューの内容についてシャーは著書『私の旅』の中で、「死刑囚の女性」という題名の章で紹介している。


2002年5月10日、電気椅子による死刑が執行された。

享年54歳。

処刑前、3人の友人がブロックを訪ね、数時間会話を交わした。

また、ブロックはスペシャル・ミールを断り、執行直前の最後の声明も拒否した。

執行はモトリーの家族2人が見守った。

ブロックの死刑執行は、2002年、アメリカ全体で執行された26人目であり、アラバマ州では1人目であった。

また、1976年にアメリカで死刑が復活して以降、アメリカ全体で776人目であり、アラバマ州では24人目であった。

ブロックは電気椅子で処刑されたが、これはアラバマ州で最後の電気椅子による執行であった (現在アラバマ州は薬殺) 。

ブロックは死刑が復活して以降、アメリカ全体で死刑が執行された9人目の女性であり (ちなみに10人目がかのアイリーン・ウォーノス) 、アラバマ州では1957年以降、最初に執行された女性であり、現時点で最初にして最後である。


シブレーはアラバマ州最高裁判所に請願書を提出して酌量を求めたが拒絶され、2005年8月4日、致死量の注射による死刑が執行された (享年62歳) 。



《殺人数》
1人

《犯行期間》
1993年10月4日



∽ 総評 ∽

警察官を自ら撃って射殺したブロック。

ブロックは父親の死後、母親に虐待されたと述べたが、それがブロックの精神に異常をもたらした可能性が高い。

ただ、あくまでブロックの主張であって事実かどうかはわからず、虚言の可能性も否定出来ない (ただしアメリカ政府の統計では親による虐待は実は父親より母親の方が多い) 。

個人的にブロックという女性は自らの非を認めず、言い訳や他人のせいにしないと生きていけない人間だと思う。

ブロックもシブレーも裁判では自衛を主張したが、警察官に対する自衛なんてあり得るわけがなく、当然、死刑が言い渡された。

シブレーはモトリーが免許証提示を求めた際に銃に手を掛けたから怖くて撃ったと供述した。

モトリーは警察官であり、危険で怪しい相手に対して銃を手に掛けるのは当然だ。

自衛の言い訳としてあまりに苦しい説明であるし、死人に口なしを言い事にシブレーが好き勝手言っているに過ぎないように思う。

ブロックは犯行時、元夫に対する暴行で起訴されており、その判決が言い渡される所だった。

だが、夫と共に出廷せず、逃走していている時の犯行であった。

詳細がなくよくわからないが、息子が不安そうな表情を浮かべていたという事から、おそらく元夫と一緒に住んでいた息子を暴力を振るって無理やり連れて来たのだろう。

実の息子だがブロックに愛情はなく、国からもらえる手当て目的で連れて来たのだと思われる。

ブロックは銃を取り出し自ら撃って射殺したが、大勢の人が集まる店の駐車場で女性が銃を発砲するというのは珍しいし恐ろしい。

ブロックはアメリカで死刑が復活して以降、9番目に執行された女性であった。

ブロックの次に執行されたのが前述したアイリーン・ウォーノスであり、同じ年に執行されている。

凶悪性はウォーノスと比べようもないが、ブロックの執行も当然である。