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ミッチェル・ループ (アメリカ)
【 1955 ~ 2006 】



1981年9月17日朝、ミッチェル・エドワード・ループは、アメリカ・ワシントン州オリンピアにあるタムウォーター州立銀行に強盗に押し入る。

そして、出納係のキャンディス・ヘミング (♀) とトワイラ・カプロン (♀) を射殺する。

カプロンの夫が強盗直後に銀行に到着し、911に連絡した。

警察官が現場に到着し、ループはその場で逮捕された。

犯行現場にはループの血まみれの小切手帳、犯行に使用された弾薬や車が見つかった。

ループは警察の尋問に対し3つの声明を出した。

裁判が始まると、ループは全ての犯罪を否認し、証言した友人を非難した。

心理学者はループを統合失調症型人格障害と演技性パーソナリティ障害であると診断した。

だが、これら精神疾患はループが嘘の自白や異常者を装おっていた為に診断された結果であった。

ループは殺人で有罪判決となり、死刑が言い渡された。


1994年、ループの死刑が執行される予定であったが、アメリカ連邦裁判官トーマス・ジリーは、ループの体重が425ポンド (約193kg) 以上あり、ループの体重で絞首刑を行うと、首に強い負担が掛かりあまりに異常で残酷な刑罰になると主張し、死刑を停止した。

この時、ワシントン州は死刑が絞首刑しかなかった。


2000年、再びループの死刑執行に関する裁判が行われる。

今回は薬殺による執行の為、処刑に関しては問題がなかったが、陪審員が死刑を支持しなかった為、結局、ループの死刑判決は覆った。


2006年2月7日、ワラワラにあるワシントン州立刑務所で、肝疾患により死亡した。

享年51歳。



《殺人数》
2人

《犯行期間》
1981年9月17日



∽ 総評 ∽

そのあまりの肥満体型の為、死刑を回避したループ。

裁判官が「残酷だ」として死刑を停止した。

当時のワシントン州は処刑に絞首刑しかなく、体重が重い場合、一気に首に負担が掛かるとして処刑が回避された。

ただ、その後にワシントン州が絞首刑から薬殺刑に変更したにも関わらず、陪審員は死刑に反対し、結局ループは死刑にならずに済んだ。

まず「残酷だ」と考える連邦裁判官が信じられず、残酷なのは強盗目的で銀行に押し入り、無実の女性2人を殺害したループだ。

むしろ残酷な方が被害者や遺族の為になる。

そんな理由で死刑を停止する神経がわからない。

また、絞首刑から薬殺刑に変わったにも関わらず、今度は何故か陪審員たちが死刑に反対した。

陪審員は所詮他人であり、被害者や遺族の気持ちなどわかりようもない。

それは仕方のない事だが、少しでも自分に置き換えて考えられないものだろうか。

当人はその肥満体のせいか結局、死刑判決が覆った翌年に死亡した。

肝臓の疾患だったようであり、おそらく苦しんで死んだだろう。

自業自得であり天罰が下った結果だが、遺族は死刑が中止となった絶望的な状況の直後に死んでくれた事が少しの慰めになったであろう。