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コネチカット・リバー・バレー・キラー (アメリカ)
【 1978 ~ 1987 】



1978年10月24日、アメリカ・ニューハンプシャー州ニューロンドンで、キャシー・ミリカン (1951年5月25日生) は、チャンドラー・ブルック湿地保護区で鳥の撮影を行っていた。

翌日、少なくとも29回は刺されたミリカンの遺体が発見された。


1981年7月25日、マリー・エリザベス・クリッチリー (37歳♀) が、州間高速道路91号線の近く、バーモント州ウォーターベリーでヒッチハイクした。

そして、バーモント州とマサチューセッツ州の国境付近で失踪した。

同年8月9日、ニューハンプシャー州ユニティの森の中でクリッチリーの遺体が発見された。

クリッチリーの遺体を検視するが、死因を特定する事は出来なかった。


1984年5月30日、看護助手バニース・クルトマンシュ (16歳♀) が、ヒッチハイクでボーイフレンドが住むロードアイランド州ニューポートへ向かった。

クルトマンシュはニューハンプシャー州道12号線に沿って向かったと考えられるが、目的地に着く事はなく行方不明となる。

約2年後の1986年4月に漁師がクルトマンシュの遺体を発見した。

クルトマンシュの検視を行うと、首にナイフで切られた痕があり、頭部には打撃の痕が見つかった。


同年7月20日、バレー病院の看護師エレン・フリード (27歳♀) が深夜、公衆電話で姉と約1時間話した。

フリードは周辺を徘徊する怪しい車がいる事に気付き、その事を話していた。

フリードは姉に自分の車のエンジンを掛けて来ると話し、一時公衆電話を離れ、戻って数分話して電話を終えた。

翌日、フリードは職場に現れず、車が電話した公衆電話から数マイル離れたジャーヴィスの道に捨てられていた。

同年9月、フリードの遺体はニューハンプシャー州ケリービルのシュガー川ほとりにある樹木が生い茂った地域で発見された。

検視の結果、複数の刺し傷と強姦された事が判明した。


1985年7月10日、シングルマザーのエヴァ・モース (27歳♀) が、クレアモントとチャールズタウンの境界付近でヒッチハイクしていた姿を最後に行方不明となる。

モースの遺体は1986年に発見されるが、クリッチリーの遺体が発見された場所から500フィート (約150m) 程しか離れていなかった。

検視を行うと、モースの首にはナイフで刺された傷が見つかった。


同年4月15日、リンダ・ムーア (36歳♀) が自宅の外で庭仕事をしていた。

その日の夜、ムーアの夫が家に戻ると遺体を発見する。

現場は荒れ激しい争いがあった事がわかり、ムーアは何度も刺されていた。

事件の日にムーアの家の近くで青いナップザックを背負った浅黒い黒髪の男性が徘徊していたという多くの目撃情報が寄せられた。

男性は20歳から25歳くらいで、髭を綺麗に剃り、やや丸みを帯びた顔で緑の縁の眼鏡を掛けていた。

目撃情報からスケッチが作成され公開された。


1987年1月10日、看護師のバーバラ・アグニュー (38歳♀) が、バーモント州ストラットンに友人とスキーをして帰路に着いた。

その日の夜、除雪車の運転手がバーモント州ハートフォードの州間高速道路91号線の休憩所でアグニューのBMWを見つける。

車には誰も乗っておらず、窓ガラスが割られハンドルには血が付いていた。

同年3月28日、バーモント州ハートランドでアグニューの遺体が発見された。

捜査官が不思議に感じたのは、アグニューがスキーをしに行った場所から自宅まで10マイル (約16km) しか離れておらず、わざわざ高速の休憩所に行った理由がわからなかった。


1988年8月6日、妊娠7ヶ月のジェーン・ボロスキ (22歳♀) は車でコンビニエンスストアに向かった。

コンビニエンスストアはすでに閉店しており、ボロスキは自動販売機でソーダを購入した。

すると、ボロスキの車の隣にジープが停まっている事に気付いた。

ボロスキは車に戻り、バックミラーを見るとジープの運転手の男性が後ろを歩いている事に気付く。

ボロスキの車の窓は開いており、男性が近付くと公衆電話について尋ねた。

答えようとした直後、男性はボロスキを掴み、車から引きずり降ろした。

ボロスキは激しく抵抗するが、男性は27回刺した。

それでもボロスキは何とか車に戻り、激痛で朦朧とする中、ニューハンプシャー州道32号線を必死に運転して友人の家へ向かった。

男性も自身の車に乗り、ボロスキの車を追い掛けた。

ボロスキは男性の車に気付いたが、何とか友人の家に辿り着き助けを求めた。

その様子を確認した男性はUターンしてその場を離れた。

ボロスキはすぐに病院に搬送され、頸静脈破裂、両方の肺の損傷、腎臓裂傷、膝、親指の腱の切断等、重傷であった。

必死の治療のかいもあり、ボロスキは快方に向かい、お腹の胎児も無事であった。

ボロスキは犯人の似顔絵作りに協力し、また、車のニューハンプシャーのナンバープレートを警察に知らせた。

だが、ボロスキへの攻撃が失敗に終わって以降、殺人はピタリと止まった。

犯人は『Connecticut River Valley Killer』、『Valley Killer (バレー殺人者) 』、『New Hampshire Serial Killer (ニューハンプシャー州の連続殺人犯) 』、『Kelleyville Killer (ケリービル殺人) 』等と呼ばれ、現在まで犯人逮捕には至っていない。

有力な容疑者として名前が挙がっているのがデルバート・トールマンで、1984年5月20日にハイジ・マーティン (16歳♀) を強姦して殺害し逮捕された。

当初、犯行を認めていたトールマンだったが、裁判で一転して無罪を主張し、無罪となって釈放されていた。

マーティンの遺体が発見された場所が、アグニューの遺体が発見された場所とほとんど離れていなかった。

また、トールマンはこの連続殺人の発生した周辺地域に住んでおり、1996年には少女に対する2度の猥褻行為で逮捕された。

2010年10月6日、トールマンは釈放されるが、連続殺人に関与していたという証拠が一般に公開される事はなかった。

他にも容疑者候補が数人いたが、どれも確たる証拠はなかった。

『Connecticut River Valley Killer』による犠牲者は7人とされているが、他にも犯行ではないかとされている事件があった。

1968年6月11日、ニューハンプシャー州チャールズタウンで強姦され絞殺されたジョアンナ・ダナム (14歳♀) 、1982年10月5日、ニューハンプシャー州プレーンフィールドで刺し殺されたシルビア・グレー (76歳♀) 、1986年6月20日、ニューハンプシャー州レバノンで行方不明となり、同年7月15日に発見されたスティーブン・ヒル (38歳♂) 、1988年6月24日、マサチューセッツ州とニューハンプシャー州の境界付近で女性の分解された遺体が発見された (白人女性という事は判明したが誰かは不明のまま) 。

また、1989年7月25日、ニューハンプシャー州ニューボストンで友人の家を訪ね、1991年7月24日に遺体が発見されたキャリー・モス (14歳♀) も犠牲者の1人とされている。



《殺人数》
7人 (もっと多い可能性あり)

《犯行期間》
1978年10月24日~1987年1月10日



∽ 総評 ∽

『Connecticut River Valley Killer』、『Valley Killer』、『New Hampshire Serial Killer』、『Kelleyville Killer』等と呼ばれ、少なくとも7人の女性や少女が殺害された未解決事件。

アメリカではこれまで紹介した通り、いくつも未解決事件が発生しており、世界屈指の未解決事件大国ともいえる。

通常、未解決事件は数ヶ月、長くても1年程で行われる。

間隔が空くと、それが同一犯とは思われない可能性が高まるので当然と言えるが、この事件は9年という長きに渡り行われており、未解決事件としては非常に珍しい。

この事件の犯人はボロスキへの攻撃が失敗して以降、ピタリと犯行を止めており、その人物が一連の殺人事件の犯人で間違いないだろう。

おそらく犯人とされる人物は、1986年の時点で20歳から25歳くらいとされ、そう考えると現在もまだ50歳そこそこくらいでおりおそらく健在であろう。

近年は有名な未解決事件『Golden State Killer』の犯人としてジョセフ・ディアンジェロが逮捕された「GEDmatch」のような特殊な方法で数多くの未解決事件が解決しており、いずれこの事件も解決する日が来るかもしれない。