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テレサ・ウィルツ (アメリカ)
【 1967 ~      】



2016年11月18日正午頃、アメリカ・ワシントン州ケネウィックで、自宅にサンドラ・ハリス (69歳♀) が1人でいた所、テレサ・L・ウィルツが訪ねてくる。

すると、ウィルツは銃で脅してサンドラ拉致し、レンタカーに乗せてその場を離れた。

その後、サンドラを撃って負傷させると、変声機を使ってサンドラの夫ランディに電話した。

そして、ランディに25万ドル (約2800万円) の身代金を要求する。

ランディは合意するが、サンドラが撃たれた傷がもとで死亡してしまう。

焦ったウィルツは、サンドラの遺体をケネウィック南方の田舎道に捨てた。

ウィルツは身代金を回収しようとエルトピアに向かう。

だが、すでに警察がいた為、車を捨てて逃走しようとするが、フランクリン郡で逮捕された。

逮捕された際、ウィルツは手錠を掛けられると

「きつすぎる」

と述べ、また、喉が渇いたと告げた。

ウィルツのレンタカーを調べると、現金に銃、弾薬に血痕が見つかった。

逮捕されたウィルツは、以前、ワラワラにある刑務所で矯正官として2年間働いていた事がわかった。

ウィルツはサンドラ誘拐と殺害に関して共犯者の存在を仄めかした。

だが、調査を行っても共犯者がいたという証拠は何もなく、ウィルツの虚偽であると断定された。

また、ウィルツはランディが経営する質屋「Ace Jewelry & Loan」で商品を購入し、犯行の2日前に電話していた事がわかった。

事件が公になるとケネウィックや近隣の市民に衝撃を与えた。

裁判が始まり検察官はウィルツに生年月日を尋ねた。

すると、ウィルツは

「話したくない」

と言って黙った。

ランディは証言台に立ち、その心情を語った。

サンドラは40年会計士として働き退職しており、事件の2日前に結婚30年のお祝いをしたばかりであった。

また、殺害された日、夫妻はシアトルに旅行に出掛ける予定であった。

ウィルツの弁護士は、ウィルツが鎮痛剤メタドンの中毒で、犯行時、まともな精神状態になかったと主張した。


2018年1月8日、ウィルツは第一級殺人と誘拐で有罪判決が下された。

ランディは
「検察官や皆さんが気に掛けてくれた事に非常に感謝しています」
と述べた。


同年2月23日、ウィルツには仮釈放の可能性がない終身刑が言い渡された。

ウィルツは第一級殺人と誘拐で有罪判決が下された為、本来は死刑が言い渡されるはずであった。

だが、ワシントン州は2014年に死刑を一時停止していた為、終身刑となったのだった (2018年に廃止になっている) 。



《殺人数》
1人

《犯行期間》
2016年11月18日



∽ 総評 ∽

身代金目的で高齢者を拉致し、殺害して遺棄したウィルツ。

身代金目的の誘拐や殺人はよくある事だが、犯行に及んだのが中年の女性という事に市民に衝撃を与えた。

ただ、女性による犯行のほとんどが金銭と怨恨であり、動機としてはよくある事ではある。

だが、女性がお金の為に犯行に及ぶ場合、大抵が保険金によるものであり、強盗や誘拐といった直接的な犯行はそうない。

ウィルツの人生については犯行までどのような様子だったのか詳細がなくわからない。

唯一、確認できるのが2年間だけ刑務所で働いていたという事だけだった。

まともな人生を歩んではいかなかったであろうが、間違いなく他にも余罪はあるだろう。