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クレイグ・プライス (アメリカ)
【 1973 ~      】



クレイグ・チャンドラー・プライスは、1973年10月11日、アメリカ・ロードアイランド州ワーウィックで生まれた。


プライスは子供の頃、非行少年の集団に加わり、家宅侵入や強盗、ストーキングや麻薬、暴行等を繰り返していた。

そんなプライスであったが、近隣住民からはユーモアで快活な少年として認識されていた。


1987年7月27日夜、プライスはワーウィックにある自宅から2戸隣のレベッカ・スペンサー (27歳♀) 家に侵入し、台所からナイフを取り出すとスペンサーを58回刺して殺害する。

この残酷な事件は近隣に衝撃を与えた。

警察は犯人逮捕の為、必死に捜査をするが犯人逮捕には至らなかった。


プライスが15歳になる頃にはマリファナやLSDに手を出すようになる。


1989年9月1日、プライスは近所のヒートン家に侵入する。

そして、ジョーン (39歳♀) と遭遇すると殴って首を絞めた。

2人の娘ジェニファー (10歳) とメリッサ (8歳) がジョーンの悲鳴で目が覚めると、プライスは台所からナイフを取り出し、3人を刺した。

その後、プライスはジョーンとメリッサの顔に噛み付き、メリッサの頭蓋骨をキッチンスツールで叩き砕いた。

ジョーンは57回、ジェニファーは62回、メリッサは30回刺されていた事がわかった。

また、その激しさはナイフが折れて犠牲者の体内に残る程であった。

プライスはナイフで殺害する過程で自身の手を切っていた。

FBIがヒートン家の事件とスペンサー事件の類似性に気付き、連続殺人事件として捜査を進めた。

犯行現場が非常に近い事から犯人は近所の住民だと判断する。

そして、容疑者としてプライスが浮上する。


同年9月5日、2人の捜査官がプライスに尋問を行い、手の傷に気づいた。

その傷についてプライスに問いただすと、酔って怪我をしたと述べた。

その後、プライスに嘘発見器をかけると嘘が露呈した為、捜索令状を要請し、家宅捜索を開始した。

すると、家の中から血まみれのナイフと衣服を発見し、プライスを逮捕した。

プライスはこれまでの犯行を告白し、少女たちの瀕死の様子の時の音を真似て見せ、反省や後悔の様子は微塵も見せなかった。

また、犯行動機についてプライスは幼い頃、白人により人種差別を受けた事があり、それが動機とされた。

この時、プライスはまだ15歳であった (1ヶ月後に16歳になる) 。

逮捕されたプライスだったが、年齢の為、ロードアイランド州の法律では裁判にかける事が出来なかった。

その為、プライスは青少年矯正センターに送られ、5年間収容される事となった。

プライスは矯正センターをわずか5年で出られる事を知っていた。

また、21歳で外に出た後は犯罪記録がなくなる事が決まっていた。

それは法律で決まっていた事だが、この事に犠牲者の遺族やロードアイランド市民は激怒した。

しかも、プライスは事件について話す事を拒否し、また、治療も拒否した。

また、プライスは矯正センターで良い行いを示し、高校卒業と同等の資格を得た。

行いの良かったプライスは矯正センターで特別待遇を受け、釈放される可能性が高まった。

すると、市民は怒りを表し、ジョーンの姉妹や警察長、検察官等が釈放させないよう訴えかけた。


1994年10月3日、プライスは矯正センターの従業員を脅した後、暴行を加えて逮捕された。

プライスは懲役15年が言い渡された。


1996年2月、プライスは受刑者同士による刑務所内の闘争に関与し、暴行を加えた。

プライスは更に刑が1年追加された。


1998年10月、プライスは刑務所の警備員を襲い、その後、1999年2月、2001年10月、2009年7月と3回同じ犯罪を犯す。

その内、2009年7月29日は他の受刑者と共に刑務所内での闘争に参加した。

その際にプライスは自身で作った武器で警備員を刺した。

この事がきっかけでプライスは別の施設に移送された。


2017年4月4日、プライスは5インチ (約12cm) のナイフで囚人のジョシュア・デイビスを刺した。


2019年1月18日、プライスは懲役25年が追加された。

また、禁制品を所持していたとして10年の保護観察処分も受けた。

実は、プライスは2020年5月に仮釈放される可能性があったのだが、今回の事件でその可能性がなくなった。


最後にプライスが自身の犯行について述べた言葉で終わりたいと思います。

「歴史を作る」



《殺人数》
4人

《犯行期間》
1987年7月27日、1989年9月1日



∽ 総評 ∽

『The Warwick Slasher (ワーウィックの切り裂き魔) 』と呼ばれ、近所の住人ばかり4人を殺害したプライス (プライスは犯行の残酷さや年齢からかなり有名な殺人鬼であった) 。

プライスは初めて殺人を犯したのが13歳9ヶ月であり、次の犯行も15歳11ヶ月であった。

単体の殺人であればもっと若い年齢で沢山存在するが、連続殺人としてはそうある事ではない。

ただ、プライスの殺人は4人ではあるが、犯行は実質2回であり、何年何回にも渡って殺人を繰り返すシリアルキラーとは少し違うかもしれない。

プライスは逮捕後も一切の後悔や反省を示さず、むしろ自慢する程であった。

子供の頃から犯罪を繰り返しており、生まれながらの異常者といえる。

プライスは本当の近所の人間ばかりを狙ったが、これは後にFBIに知られた通り、犯人は近所で住んでいると教えているようなものだ。

プライスにとっては捕まる捕まらないはどうでもよく、ただただ殺人を行いたかったのだろう。

プライスは犠牲者を何十回と刺す典型的な切り裂き魔だが、本人にとって刺す事が最も興奮を覚える方法だと思われる。

プライスは16歳になっていなかった為、裁判で有罪判決になる事なく、矯正センターに5年間収監されるだけであった。

その事で司法は非難を受けたが、それは当然であり、しかも、解放と共に犯罪歴が無くなる始末であった。

プライスは2020年に仮釈放される可能性があったが、そのチャンスを自らふいにした。

そもそもこんな異常者を釈放しようとする事自体考えられないが、とにかく出て来れなくなって良かったと思う。