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サイード・バイヤッド (アメリカ)
【 1964 ~      】



2006年10月6日、アメリカ・ケンタッキー州ルイビルで、サイード・アリ・バイヤッドは元妻ファツマ・アミールの家でアミールの帰りを待った。

そして、アミールが仕事から帰って来ると、バイヤッドは殴り強姦した。

バイヤッドには4人の子供 (2歳、4歳、7歳、8歳) がおり、この時、アミールと一緒に住んでいた。

バイヤッドはその我が子たちの喉を次々と切って殺害した。

アミールは子供達がバイヤッドに襲われている間、必死に911に連絡していた。

その際、連絡を受けた交換手は電話の先で悲鳴や絶叫を聞いている。

バイヤッドは駆けつけた警察官に抵抗する事もなく素直に逮捕された。


裁判が始まると、バイヤッドはソマリア出身の移民であった為、英語を一切話す事が出来なかった。

その為、証言は通訳を介さなければならなかった。

バイヤッドは家にいると3人の男が侵入し、何百万ドルを要求してきたと話した。

バイヤッドが侵入者と口論となっている時、別の侵入者がアミールを強姦し子供達を殺したと供述した。

「彼女は叫び始めた。私に向かって叫び私を責めた。それから侵入者たちは子供が眠っている部屋に行った」

そして、バイヤッドは裁判官に

「子供達を殺した1人が私が警察署に入る前に ″私達について何も喋るな″ と言った」

と話し、当初、子供達を殺したのはその男3人で、自分は被害者だと話していた。

しかし、アミールの証言によりすぐにそれらはバイヤッドの嘘である事がわかった。

アミールの証言に対してバイヤッドは表情を変える事はなく、涙も流さなかった。

弁護士はバイヤッドのIQの低さを訴え、
「彼は精神疾患を患っている。しかもそれは深刻で主な症状は妄想である」
と主張した。

検察はバイヤッドの動機について、バイヤッドは子供について離婚したアミールと口論となっていた。

バイヤッドはアミールに騙されていると感じ、嫉妬深い怒りによって起こされたと述べた。


2011年4月22日、バイヤッドは有罪判決が下され、同年6月7日、仮釈放の可能性がない終身刑が言い渡された。

当初バイヤッドには死刑判決が言い渡される予定であったが、精神状態を考慮され終身刑となったのだった。

判決を言い渡した裁判官は、
「私は18年以上、裁判官をやっていますが、これより最悪の事件を見た事がない」
と述べた。



《殺人数》
4人

《犯行期間》
2006年10月6日



∽ 総評 ∽

自らの子供4人を殺害したバイヤッドだが、動機は子供についてとされている。

これまで子供を殺す親は何人も紹介してきたが、動機は様々である。

詳細はないが、バイヤッドは離婚し、元妻と暮らす子供達と親権について争っており、思い通りいかなった怒りの矛先が子供達に向いたのだとされた。

そういう動機で子供を殺す親は確かにいるが、大抵が元妻も殺害したり自らも自殺したり全てを終わらそうとするものだ。

正直、素直に捕まっている時点で上述した動機は嘘だといえる。

おそらく動機は妻に対するものであり、その妻に対する嫉妬が子供たちへ向けられたのだと思われる。

バイヤッドのこれまでの人生については詳細がなくよくわからないが、IQが低かった事から精神遅滞だったのかもしれない。

ただ、精神状態を理由に死刑予定が終身刑となり、自身は生きながらえ子供達全員が殺されるという現状に、私が母親ならとても耐えられない。