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ジェフリー・デスコビッチ (アメリカ)
【 1973 ~      】



ジェフリー・マーク・デスコビッチは、1973年10月27日、アメリカ・ニューヨーク州タリータウンで生まれた。


1989年11月15日、ニューヨーク州ピークスキルにあるピークスキル高校の学生アンジェラ・コレア (15歳♀) は、携帯用のカセットプレーヤーと写真撮影の為のカメラを持って出掛けた。

だが、コレアは行方不明となってしまう。

そして、2日後の17日、コレアの遺体が発見される。

コレアは全身に殴られた痕があり、強姦され首を絞められ殺害された。

デスコビッチはコレアと同じ学校に通っていた。

デスコビッチは学校では人気がなく、仲の良い友人はいなかったが、そんはデスコビッチにコレアは親切に接した数少ない学生の1人であった。

その為、デスコビッチはコレアの葬儀に参列し、涙を流してその死を悲しんだ。

だが、警察はデスコビッチをコレア殺害の有力な容疑者と考えていた。

そして、警察はデスコビッチをコレア殺害で逮捕する。

逮捕されたデスコビッチは当然無実を主張した。

しかし、警察はデスコビッチが犯行時に疑わしい行動をとったとし、尋問の際、犯行現場の情報に基づきデスコビッチが犯人だという物語を作り上げた。


1990年12月7日、ピークスキル警察の刑事ダニエル・スティーブンスが、デスコビッチが犯罪を告白したと裁判で証言し、陪審員はデスコビッチに有罪判決を下した。

デスコビッチは裁判の時も有罪判決が下された後も無実を主張した。

デスコビッチは捜査のやり直しを訴えたが、検事が必要ないとして拒否した。

また、潔白を証明する為のDNA検査も検事は必要ないとした。


しかし、2006年、新たな検事がDNA検査を承認し、検査が行われる事となった。

すると、コレアの体内に残されたDNAはデスコビッチのものではなく、すでに別の殺人で逮捕され終身刑となり刑務所に服役しているスティーブン・カニンガムである事が判明する。

その事をカニンガムに追及すると、カニンガムはコレア殺害を認めた。

デスコビッチはすぐに釈放された。

カニンガムのコレア殺害の裁判が開かれると、デスコビッチも法廷に出廷した。

コレアの母親も法廷に出廷していたのだが、デスコビッチに対して母親は謝罪した。

裁判が終わった後、デスコビッチは法廷の外でインタビューに答え、

「彼女は私に非常に申し訳なかったと言った。彼女は私が非常に強い人間だと述べた。私は彼女に感謝している」

と語った。

ただ、カニンガムに対しては

「私が冤罪で刑務所にいる間、真実を言わず沈黙を守っていた」

と怒りをあらわにした。


デスコビッチは無実を訴えたにもかかわらず16年間刑務所に入れられたとして裁判を起こし、2014年10月、4160万ドル (約45億円) を勝ち取った。

現在、デスコビッチは刑事司法制度の改革を提唱し、全米で公演を行っている。



《冤罪期間》
1990年~2006年



∽ 総評 ∽

殺人の冤罪により無実の罪で16年もの間刑務所に収監されたデスコビッチ。

冤罪事件は日本もそうだがどこの国でも起きており珍しいという事はない。

ただ、無実の人間を刑務所に入れるというのは実際の犯罪者を放置している事にもなり、冤罪にされた被害者や殺された犠牲者を考えるとより罪深い。

よく死刑廃止論者は、死刑があって執行してしまうと冤罪事件だった場合、取り返しがつかないと言って反対する。

そもそも冤罪事件の場合は死刑廃止よりも冤罪にならないように努力するのが普通だ。

冤罪事件は決して起こしてはダメだが、基本的に冤罪は警察や検事が強引な捜査や自分達の体裁を守る為に起こる。

普通に捜査や調査、裁判を行えばまず起こる事はない。

今回もデスコビッチを犯人に仕立て上げ、それを無理やり押し通した事で起こっており、普通に対応していれば冤罪になる事はなかった。

ただ、アメリカの唯一の救いは、このデスコビッチのように冤罪事件の被害者は、訴訟により莫大な賠償金を勝ち取る事が出来る。

正直、デスコビッチは普通に生活していたのなら45億を稼ぐことは出来なかったであろう。

他にもアメリカでは22年間、強姦冤罪で収監された男性には92億円が支払われたという例もある。

だが、それに比べて日本はあまりに酷い。

日本は法律で冤罪であった場合の補償金として定められているのは、1日1000円から高くても1万2500円。

仮に最高の1万2500円としても時給にするとわずか500円程度にしかならず、これをデスコビッチに換算すると、約7300万円にしかならない。

「なんだ7000万ももらえるんじゃん」と思う人もいるかもしれないが、年収500万円の人は16年働けば普通に8000万円もらえるのだ。

しかも、8000万円というのは最も高く見積もっての金額で、1日1000円だった場合、最悪16年で584万円にしかならない。

裁判を起こして勝訴すればもっともらえるのかもしれないが、アメリカのような金額になる事はない。

私が法律を司る人間であったなら、その金額はとてもまともとは思えない。

その間の人生を失ったと考えるとあまりに少なく、アメリカの金額が妥当だといえる。