ジェフリー・ダーマー (アメリカ)
【1960 ~ 1994】
ダーマーは元FBIのロバート・K・レスラーと対談し、被害者の頭にドリルで穴を開け、生きたまま塩酸を流し込んだ件について、自分の言う事を聞くゾンビを作ろうとしたと話した。
裁判が始まると、ダーマーは起訴された17人の殺人について一旦認める。
そして、全ての殺人について犯行時、精神錯乱状態であったと主張した。
しかし、検事はダーマーは精神異常ではなく、責任能力があると述べた。
ダーマーの弁護士は
「彼は自己制御出来ない殺人機関車であり、科学的治療が必要だ」
と主張した。
6人の専門家が17時間に及ぶダーマーとの面接の結果、死体愛好であり異常性欲の持ち主だと結論付けた。
3週間に渡る審理が終わり、陪審は10対2でダーマーは犯行時正常だったと認めた。
傍聴席からは歓声が上がり、裁判長は被害者遺族たちの発言を認めた (これは非常に異例な事であった) 。
許可を得た遺族たちの罵倒や罵声、怒りや泣き叫ぶ声が入り交じり、法廷内は異様な雰囲気に包まれた。
ダーマーは証人の顔を見たくないという理由で眼鏡を外していたが、そんな罵声や罵倒に対して何も発せず無表情であった。
1992年2月17日、ダーマーは起訴された17件の内、15件で終身刑が言い渡された (懲役936年に相当) 。
判決後、ダーマーには発言を許可された。
「裁判長閣下、これで全てが終わりました。この裁判で私は無罪になろうとは1度も考えた事はありません。また、自由も望んでおりません。正直、私は死刑を望んでいました。これは私が憎悪を理由に犯行を犯したわけではない事を知ってもらう為の裁判でした。私は誰も憎んでいません。私は以前から自分は病気か悪魔のどちらかだと思っていました」
と述べた。
1994年11月28日、ダーマーは刑務所のシャワールームで、黒人の囚人クリストファー・スカーバーともう1人ジェシー・アンダーソンの3人で清掃する職務に従事していたのだが、スカーバーがトレーニングルームから持ち出したベンチプレスでダーマーとアンダーソンに殴りかかった。
スカーバーは看守に取り押さえられ、ダーマーは病院に搬送されたが、死亡が確認された (アンダーソンも死亡した) 。
享年34歳。
ダーマーは逮捕前に映画館でよく観たのは『羊たちの沈黙』で、『羊たちの沈黙』は『エクソシスト』を超える素晴らしい作品だったと、監房でビデオテープの差し入れを弁護士によく頼んでいたという。
スカーヴァーは2人を殺すよう命令されたと述べ、後に有罪判決が下されている。
≡ ダーマーの発言の数々 ≡
「バラバラになった彼らこそが本当の仲間のように感じられた」
「体を捌いて内臓を取り出したり手足を分解するのも最初に比べてずっと早くなった。やっぱり練習あるのみだ」
「俺は前にもこんな事 (殺しと解体) は何度もやっているんだ。言う通りにしなければ殺す。こんな具合にな」
「フライにして野菜と一緒に香料をつけて食べると旨いんだ。レイシーの心臓なんかはポテトチップとバドワイザーで食べた。マスタードを付けたら絶品だった」
「お前はもうここから出られないぜ。それにお前が死ぬのももうそんな先の事じゃない。自分が一体何をされるのか聞いたらお前は驚くだろうなぁ。俺はお前が想像もしない事をする為にお前を連れてきたんだ」
「大人しくすればもっと良い写真を見せてやるぞ。それにお利口にしていればお前の裸を撮ってやろう。生きているうちに綺麗に撮ってやる」
「こんな感じに内臓を開けたらカッコいいじゃないか。睾丸を歯で砕いてやるからそこにドリルで穴を開けよう。絶対に最高の1枚になるに違いないぞ」
「あんたも1回食べてごらんよ。医者なんだからどこからでも手に入るだろう。1度試したら豚や牛なんか2度と食べられなくなるぜ」
「僕はアル中なんです。刑務所よりも病院に入れて下さい。当時も飲んでいたんです。飲むと感覚がおかしくなって妙な事にも夢中になってしまうのです」
「脳をロボトミー化する事で、俺自身のロボット、つまりゾンビが出来るんじゃないかと試してみたんだ。そしてらずっと一緒にいられるじゃないか」
《殺人数》
17人
《犯行期間》
1978年7月18日~1991年7月19日
∽ 総評 ∽
『The Milwaukee Cannibal (ミルウォーキーの食人鬼) 』または『The Milwaukee Monster (ミルウォーキーの怪物) 』等と呼ばれ、17人の男性を殺害し、屍姦後に解体。
人肉食を主食として生活し、アパートの一室の異常な様子等、その犯行のあまりのずば抜けた残虐さに1990年代の全米はおろか世界をも震撼させたダーマー。
ダーマーは私が中学生の時にリアルタイムで実際にニュースで見た殺人鬼であり、個人的に最も衝撃を受けた殺人鬼であった。
90年代に限っていうと、世界で最も衝撃的なシリアルキラーと断言しても文句はないだろう。
ダーマーの犯行に非常に酷似している殺人鬼としてイギリスのデニス・ニルセンがいる。
ニルセンも去っていく寂しさから殺して屍姦し、解体した。
また、犯行もダーマーと同じく1978年から始まり、殺害数も15人と近しい数であった。
ただ、ニルセンは人肉食はしておらず、残忍性や残虐性においてはダーマーには及ばない。
また、逮捕時の室内の凄惨な様子は、かのエド・ゲインを彷彿とさせ、まるで、漫画や映画の世界である (漫画や映画がダーマーらを真似たのだが) 。
ダーマーが異質なのは、人肉食を主食とし、他にほとんど食べ物を摂らなかった事だ。
人肉食を好む殺人鬼は多くいるが、ダーマーのようにそれ以外をほとんど食べないというのはまずいない。
通常、同種を食う「共食い」は、チンパンジーを含め多くの動物にみられる行為で珍しいという事はない。
だが、動物の共食いの場合は様々な要因が関係しており、人間のように快楽で行われる事はまずない。
ダーマーの犯行は途中、発覚するチャンスがあったが、警察の怠慢で見逃されてしまい、その事が後に問題となった。
ただ、これはアメリカではこれまでいくつも紹介してきている通り、よくある事で珍しいという事はない。
だが、そのせいで犠牲者が増えてしまった。
連続殺人犯は大概、その犯行の途中で1度は捕まえるチャンスや別件で捕まえてしっかりと裁く機会が必ずといってある。
「1度もバレる事なく気付いた時には何十人も殺していた」という事はほとんどない。
だが、今回のダーマーのように警察の怠慢や司法の堕落のせいで犠牲者が増加しており、ある意味それらが犯行をアシストしていると言っても過言ではない。
ダーマーは生きていても意味がないので死刑にしてくれと望んだが、結果、終身刑となった。
死刑を望むダーマーにとってむしろ終身刑が良かったのかもしれないが、個人的には殺されて良かったと思う (こんな異常者を生かしておくのは百害あって一利なしである) 。
ただ、もしかしたら生きていても仕方ないと思ったダーマーが殺してくれるようスカーヴァーに頼んだのかもしれない。
* 追伸 *
5日間渡ってダーマーを掲載しました。
今年は8月でブログを始めてから丸5年が経つ事になりますが、よく5年も続けてきたなと思います。
今年もよろしくお願い致します。
コメント
コメント一覧 (32)
性奴隷を造りたかった(オスのみ)
オスの人間しか食べれない
性奴隷の遺骸がないと眠れなかった
など異常性や衝撃性は図抜けてますね。
それでも死刑にできなかったのはとても残念でなりません。
警察の捜査が甘くなったのもひどい事件であることが分かっていて面倒を避けて捜査をしていなかったのでしょう。
なんとも度し難い!
虫や小動物の共食いは臆病で食いしん坊なので理解できます。
ライオンや熊の共食いもそういうもんなので理解できます。
ただ、異常な人間が快楽で人間を傷つける心理はまったくもって度し難い!!
こういう異常な害虫こそ法廷で即座に射殺するのが望ましい!
ダーマーは最後には囚人に殺されましたが、さっさと死んでくれただけよしとしましょう。
お疲れさまでした。
明日からの記事も楽しみに待っています。
異常振りはずば抜けてますね。
警察の怠慢が被害を増やしたのは残念ながら間違いないですね。
さっさと死んでくれて本当に良かったと思います。
こちらこそよろしくお願い致します。
5日間の更新 お疲れ様でした
アンドレイ・チカチーロは傍聴席の遺族を罵倒に罵倒したり性器を露出したりたやりたい放題でしたが、ダーマーは何の感情も表さずに黙ってましたね。
何かそちらの方が不気味で恐ろしさを覚えます。
全ての犯行時には精神錯乱状態だったとホザいており、あわよくば無罪を勝ち取ろうとの思惑が見えます!
全く反省などしてないし、殺人し足りないように感じました!
15件で終身刑って意味が無いでしょう!
1件の終身刑以上は死刑しかあり得ない!
実現不可能な終身刑は刑罰では無く、形式上で取り繕った架空刑に過ぎないと私は思います。
裁判官は「重い罪にしてやったぜ!」と自己満足でしょうが犠牲者遺族は無能な司法に絶望した事でしょう。
現在アメリカは日本の約30倍もの死刑囚が居り、終身刑囚人は20万人に及びます。
ナニが悲しくて世に放てば凶悪事件しか起こさないクソムシ共に税金を還元しなけりゃならないんですかね。
(凶悪犯罪者専用)人権擁護団体や死刑廃止論者が全て負担するべきでしょう!
無罪を勝ち取って更に人肉食をしたかったのでしょう。
これ程の蛮行を行った鬼畜を処刑出来ない司法の愚かさは群を抜きますね。
終身刑20万人てどれだけ無駄なお金がかかっているのか想像するだけでも恐ろしいです。
ジェフリーはカニバリズム、ネクロフィリア、同性愛等が組み合わさり、本当に常軌を逸してますね。
ただ即刻、死刑にしないといけない人間は多いですが、彼はエドモンド・ケンパーのような存在になれた可能性があり、刑務所で殺害されたのは早過ぎたと思います。
彼はサイコパスではなく、知能指数も高いので教育法や猟奇殺人のプロファイルの進歩に貢献してもおかしくなかったです。
まぁ殺害されても何らおかしくない所業をしたのですから残念とかは思いませんが。
あとこの事件の警察はスラム街、ゲイ、有色人種とアメリカのダメな差別認識が出たことで被害者が増えた悲しい事件でもありましたね。
事件当時はジェフリーの理解不能な猟奇性のみ自身でクローズアップしていましたが、アメリカ文化を学んだ今だとミルウォーキー警察へ怒りが沸きます。
ありがとうございます。
あらゆる異常行為を繰り返したダーマーは本当に恐ろしいですね。
確かに頭は良かったので利用できた可能性はありますね。
仰る通りアメリカの人種差別が浮き彫りになった事件ともいえますね。
この凶悪犯も最期はあっけなく殺されましたね。なんというか本当なら拷問にかけられて欲しかったですけど寿命で死ぬ前に殺されたのは良かったですかね
ありがとうございます。
呆気なく殺されてしまいましたね。
仰る通り拷問の末にでも殺されて欲しかったです。
一つ、リクエストというか提案になってしまうかもしれませんが、こういう記事を見付けました。
>今月1日朝、サンティアゴ氏が人口4万人ほどのトラヒアコの新町長に就任。就任式を終え役所に向かう最中で男2人組の襲撃にあった。
犯人が発砲した弾丸は、就任後90分も経っていない町長の胸に命中。
町長は病院へ緊急搬送されたものの、死亡が確認された。
就任90分での暗殺なんですが、18年7月1日から数えて6人目の町長さんの様でした。特定の犯罪者(組織?)ではないと思いますが、同じ町の【町長】がこれだけ亡くなるのは異常で、気になったもので( ̄▽ ̄;)
ありがとうございます。
そうですね、有名な殺人鬼を好む人もいるので、その殺人鬼が持っていた物や描いたり作ったりするものに興味が湧くのも不思議ではないですね。
そんな衝撃的な事件があったんですね。
昨年の7月1日からで6人目ですか!
1ヶ月に1回のペースで殺されるって異常なんてもんじゃないですね。
今度調べてみます。
ナナシンさん、初めまして。昨日の初投稿の補足ですが、それはオハイオ州クリーヴランド郊外のバスというところにある家の事でしょうか? ダーマーはこの家に7歳~18歳まで両親&弟と共に住んでいたそうです。自然豊かで治安も良いバスはシカゴとかニューヨークといったメガロポリスの裕福な市民に避暑地として人気が高く、住宅は物件によっては億単位で取引されるものも多いようです。問題の物件は通常なら5000万円前後の価値があるのに、クリス・バトラーさんという人物が2004年に購入した際は何と通常の半額である2500万円に下がっていたそうです。ダーマーが初めて殺人を犯した物件である事を承知の上で我が国で言うところの「事故物件」の最悪の部類に属する曰く付きの家を購入したバトラー氏はなかなか物好きな人物のようでしたが、2014年の「仰天ニュース」(鶴瓶師匠&中居君がダブルMCを務めています)のインタビューを受けた際は「この家を売りに出して引っ越ししたい」と言っていたそうです。「自分と同じような物好きな人物は必ずいるはずだから、興味を示して購入を申し込む人物がいるはず」とも言っていたそうですが、果たして売買契約は成立したんでしょうか?
それです。よく覚えてましたね、かなりうろ覚え状態だったので、値段とか忘れてましたがw
現代は死刑のある日本やアメリカも死刑にしない傾向にありますからね。
何故、凶悪犯をそのまま刑務所で税金はたいて養うのか全く理解出来ませんね。
だからこそ、さっさと死んでもらうことが唯一の償いなのです。
ダーマーを死刑にすることはできませんでしたが、ダーマーを地獄に落としてくれた1匹の囚人はほめたいですね。
5日間お疲れさまでした。
明日からの記事も楽しみにしています。
許されませんね。
近年の何でも許すのが素晴らしいという風潮が気に入りませんね。
凶悪犯の罪を許す、寛大な処遇にするのは寛大でも素晴らしくもありません。
それは罪から逃げているだけに過ぎません。
記事を①から読み返しましたが、怪物と言うに相応しいと思います。犯行の残虐性よりも、何を考えて行動していたのかがまるで読めないところが恐ろしく『人間』という感じがしませんでした。
シリアルキラーの中でも、彼とアルバート・フィッシュは飛び抜けて思考が普通とはかけ離れており、また外見では異常者と思えないところも似ていると思います。
わざわざまた①から読んで頂いて恐れ入ります。
仰る通り真の怪物、人間と考えてはいけません。
私も数多いるシリアルキラーの中でもダーマーとフィッシュはずば抜けていると思いますね。
こういう、一人を掘り下げて行く形式も良いものですね。
明けましておめでとうございます。
また、機会があればやりたいと思います。
流石に知名度の高い人物なので言動が凄まじいですね。
それにしても殺人を自己制御出来んのなら尚更死刑にすべきだと思うんですが、あれで弁護してるつもりなんでしょうか。
それでは今年も毎日楽しみにしてます。ありがとうございました。
ありがとうございます。
仰る通り死刑にすべきですしそれ以外の選択肢はないですね。
今年もよろしくお願い致します。
無期懲役や終身刑は死刑にできないための言い訳ではありません!!
強姦などの性犯罪は初犯でも死刑のみ!
強盗、殺人は遺族の感情次第。
1度しか死刑にできないのなら早ければ早いほどいいと確信します。
終身刑や無期懲役の上は死刑しかないのですから誰がどう考えても最高刑しかあり得ない判決は簡単な裁判の後で処刑すべきだと思います。
また、責任能力がないから無罪だとおっしゃる人間も数多くいますが、責任が取れないからこそ処刑すべきです。
完全に責任を果たせなかったにしても加害者がいなくなることで少しは慰めることができるはずでしょう。
これからもよろしくお願いします。
仰る通りですね。
強盗や強姦は死刑以外あり得ません。
殺人に関しては理由によりますね。
裁判に時間が掛かるのも問題ですよね。
冤罪防止とか言うのかもしれませんが、明きからかな罪の場合は裁判などせずにさっさと処刑すべきでしょう。
こちらこそよろしくお願い致します。
本当にありがとうございます
これからも毎日楽しみにしています
ずっと読んで頂いているという事で誠にありがとうございます。
こちらこそよろしくお願い致します。
明けましておめでとうございます。
ダーマーはその知名度のおかけで詳細が伝わっていますね。
こちらこそよろしくお願い致します。
こんな残虐極まりない犯行内容が日本のニュースでも流れたのですか?
はい。
私は実際にニュースでみました。
ただ、もちろんここまで詳細にではなく、大まかな概要でしたね。