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クシシュトフ・ガウリキ (ポーランド)
【 1965 ~     】



クシシュトフ・ガウリキは、1965年、ポーランドで生まれた。

父親は鉱夫で、母親は専業主婦であった。

そんな父親はアルコール依存症で、仕事のない日は酒を飲み、母親に暴力を振るった。


学校を卒業すると独立し、ガウリキはヴァウブジフの炭鉱で働き始める。

その後、ガウリキは結婚し、すぐに娘が生まれた。

この頃のガウリキについて妻によると、良い夫でアルコールや薬物等の中毒もなく、穏やかで礼儀正しく、暴力を振るう事もなかったという。


1994年、働いていた鉱山が閉山となり、職を失うと共に退職金として3000スヴォティ (約100万円) を手に入れる。

その後、ガウリキは自分で会社を設立するが、会社はすぐに財政的な困難を抱え始める。

ガウリキは倉庫の所有者から金銭を受けていたが、お金を払わなくなった為、怒ったガウリキは家族の誰かを撃つと脅した。

これによりガウリキは脅迫罪で逮捕され、裁判で有罪判決が下された。


ガウリキは2000年6月から刑務所に収監され、2001年1月15日に釈放された。

会社は倒産し、ガウリキは精神的にも金銭的にも追い詰められていく。

そして、精神が破綻したガウリキは、世の中に対する不満を爆発させ、自己中心的な恨みによる復讐を始める。

ガウリキは妻にはポズナンとヴロツワフに仕事の為に行くと言って出掛け、殺人を始める。


2001年2月6日、ガウリキはポズナンで、売春婦のシルヴィア・L (18歳♀) を買った。

この時、ガウリキは口髭や眼鏡をかけて変装していた。

ガウリキはシルヴィアにテレビをつけさせ、入浴を口実に浴室に入ると銃を取り出しサイレンサーを取り付けた。

そして、座っているシルヴィアの頭と胸を撃った。

シルヴィアはまだ生きており、ガウリキはシルヴィアを見下ろした後、お金を奪って逃走した。


同年2月9日午後6時頃、ブロツナフでガウリキは売春婦レーシャ・H (♀) をアパートに連れ込むと、銃で撃ってナイフで刺した。

刺し傷は首と腹部に4ヶ所あり、最後は首を殺害した。

そして、金品を奪い逃走した。


その後、ガウリキはトーマス・S (♂) を殺害する。

トーマスはレーシャと関係ある人物であった。

当初、警察はシルヴィアとレーシャの犯行を同一犯によるものと考えていなかった。


同年3月10日、ヴロツワフでガウリキは車を売ると広告に掲載し、その広告を見たとある夫妻が連絡してくる。

ガウリキは初めから車など売る気はなく、車を買う為に持ってきたお金目当てであった。

その為、夫妻に会うなりガウリキは夫に4発、妻に6発撃って射殺した。

ガウリキは夫妻の携帯電話や財布、クレジットカードを盗んだ。


同年3月21日、ガウリキはアパートの家賃についてオーナーと話しをする予定であった。

実はガウリキはオーナーを殺すつもりであった。

だが、たまたまオーナーが遅れてしまい、別の日に話しをする事となり、アルコールを飲んで運転していると事故を起こしてしまう。

ガウリキは事故現場から逃走するが、警察に捕まる。

警察がガウリキの車内を調べると、「Scorpion (スコーピオン) 」が見つかる。

実はこれまでの犯行現場で、この「Scorpion (機関銃の名前) 」が使われており、この一連の事件の犯人は『Scorpion』と呼ばれていた。

その為、ガウリキは一連の事件の容疑者として逮捕される。

逮捕されたガウリキは、これまでの殺人を認めた。

ガウリキを診た精神科医は、ガウリキの殺人は金銭的利益よりも殺人に対して強い動機があると述べた。

ガウリキは知能指数は普通で、感情が浅く、自己中心的で自身の行動を正当化し、サディスティックで人格性障害だと診断した。

ガウリキは裁判で最低50年 (最初は40年だった) は仮釈放の可能性がない終身刑が言い渡された。

ガウリキは裁判で終始反省の様子を示さなかった。


2004年、ガウリキは脱獄を計画するが事前に阻止された。


最後に殺人について話したガウリキの発言で終わりたいと思います。

「私は人間の苦しみを見てみたい。人間が死ぬ方法、私はそれが正常でない事を認識している。それは私にインスパイアされた死の光景、特に人間の死の瞬間でした」



《殺人数》
5人

《犯行期間》
2001年2月6日~同年3月10日



∽ 総評 ∽

『Scorpion』と呼ばれ、5人を殺害したガウリキ。

ガウリキがこのような異常者になったのは、子供の頃の父親による母親への暴力を目の当たりにしたからだと思われる。

ガウリキは会社の倒産等により精神的に追い詰められ犯行に至ったが、会社を作ったのはガウリキ本人だ。

それを理由に世の中を恨み凶行に至るというのは身勝手極まりなくとても許されない。

ただ、妻によるとガウリキは文句のない夫であった。

アメリカでは良き夫を演じて影で殺人を行っているという殺人鬼は多いが、ガウリキもそうであった。

ガウリキは人間の苦しむ姿をみたいとか殺す方法を求めたりと、救いようのない異常者であり、生かしておく理由は何一つない。