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アドナン・チョラク (トルコ)
【1952 ~     】



1992年10月16日、アルトヴィンに住むフセイン・コルクマズは、妻アシエの悲鳴を聞く。

すぐにアシエのいる部屋にフセインと娘の少女 (15歳) が駆け付けると、そこには見知らぬ斧を持った男が立っていた。

男は2人に気付くと襲い掛かり、フセインを斧で殴り殺した。

その後、少女を拉致し、納屋まで連れて行くとそこで2度強姦した。

男は更に少女を洞窟に連れて行き、そこで強姦した。

しかし、男は少女を殺さずに逃走した。


ある朝、ハイリエ・ビディリチ (♀) が殺害されているのを発見される。

ビディリチは強姦されており、頭を撃たれていた。

この頃、アルトヴィンの住民は未だ逮捕されていない凶悪犯に対して恐怖を抱くようになっていた。

アルトヴィンは小さな町であり、隣近所を知っている状態で一体誰が犯行を繰り返しているのかと考えるようになった。


1993年1月、クプルカヤに住むアフメット (60歳♂) とアブハヤット・ギュムシュ (♂) が殺害される。

2人共に斧で殴り殺されていた。

また、家の物も盗まれた形跡がみられた。


サムキンリに住むサンカットログル (62歳♀) は納屋に向かった。

暗闇の中に見知らぬ男が立っており、男は頭を殴り、強姦した。

その後、男はサンカットログルがすでに死んでいると思いその場を離れたが、実はまだ生きており助かった。

アルトヴィンの住人達は、事件を解決出来ない治安部隊に対して不満が募り抗議が殺到した。


同年5月、オスマンとケーサーシュのアクソイ夫妻が殺害される。

その後、家に火を放ったが、夫妻は識別が出来ない程、焼け焦げていた。


同年9月、アフメットとアイセのバイラン夫妻とカルス (70歳♀) が殺害される。

3人の殺害について目撃者や指紋等の痕跡はなかったが、初めて犯人の手掛かりとなるものが見つかった。

それは犠牲者の爪と膣内から組織の残留物が見つかり、DNA検査が行われた。

だが、それらは全てカルス本人のものである事がわかった。

警察は犯人は痕跡を残さないよう細心の注意を払う人物だと推測する。


1995年、58歳の女性が家で眠っていると、孫のメストが悲鳴を聞いた。

メストは隣人に助けを求めた。

女性は強姦され首を絞められ殺害されていた。

犯人による犠牲者はこれまで11人であったが、他に6人の被害者がいた。

6人は強姦されたが生存しており、警察は犯人について詳しく聞いた。

すると、1人の被害者が犯人をよく覚えており、犯人は口髭を生やし、袖付きの半袖シャツ、ジーンズを履いていたと述べた。


数ヶ月後、逮捕されたのはアドナン・チョラク (1952年9月5日生) という男性であった。

逮捕されたチョラクはこれまでの犯行を認めた。

一連の事件の犯人がチョラクだと判明すると、アルトヴィンの住人は一様に同様を隠しきれなかった。

それは隣人であったり知人であったりと多くの人が知っている人物であったからだった。

尋問や法廷でのチョラクは常に冷静で淡々としていた。

何故、このような犯行を起こしたのか原因を問われると、チョラクは7、8歳の時に両親の性行為を目撃した事があり、それが心理的に影響を及ぼしたと述べた。


チョラクの裁判は5年以上続き、2000年6月23日、6回の死刑と懲役112年が言い渡された。


2004年、トルコが死刑を廃止した為、チョラクは終身刑に変更された。


最後に老人を殺害した理由について聞かれた際のチョラクの発言で終わりたいと思います。

「彼らはすでに時間を終えています。彼らは私たちの余分な場所に住んでいる。彼らは私たちの財産を貪っている。だから私は彼らを殺して社会を救った。そして、私自身が満足するのです」



《殺人数》
11人 (他強姦6人)

《犯行期間》
1992年10月16日~1995年



∽ 総評 ∽

『Artvin Moster (アルトヴィンの怪物) 』と呼ばれ、高齢者を中心に11人を殺害したチョラク。

チョラクは高齢者は社会に必要なく殺した方がいいと言っているが、こういった理由で犯行に及ぶ殺人鬼は多い。

だが、チョラクは殺すのなら強姦する必要などなく、また、高齢者だけではなく少女も襲っており、結局、本人の欲求を満たす為だけに行動していただけの鬼畜に過ぎない。

また、犯行は家に堂々と押し入り、同居人が居ようが居なかろうが行い、強盗や強姦に及ぶ大胆さであった。

チョラクは子供の頃に親の性行為を目撃した事がショックでそれが心理的影響を及ぼしたと語ったが、確かに子供としては見たくはないだろう。

だが、だからといって犯罪を行っていいという道理にはならない。

小さな田舎町に住む住人たちは事件に一喜一憂し、恐怖でパニックになったが、犯人が知る人物だとわかりショックを隠せなかった。

日本も田舎町となると、近所付き合いはもちろん住民と顔見知りの事が多く、家の鍵すら掛けない所もあるだろう。

そう考えると非常に恐ろしい犯行だといえる。