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アラダール・ドナシ (ハンガリー)
【1954 ~ 2001】



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ラスロ・ベネ (ハンガリー)
【1952 ~     】



アラダール・ドナシは、1954年8月、ハンガリー・ペーチで生まれた。

父は検察官で母は教師であり知識人であった。

家庭は安定しており、ドナシはそんな家庭で何の問題もなく育った。


ドナシは高校を卒業後、父の影響で法律学校に入学し、成績は良かったが勉強を続ける事はせず、19歳で結婚する。

その後、ドナシは軍の大学に入り、後にハンガリー人民軍 (1990年まで存在した) に入隊した。


ドナシはライフルを盗んで人民軍を抜け出し、1980年3月17日、銀行強盗を行う。

ドナシは37万2000フォリント (約15万円) を強奪するが、後に逮捕された。


同年9月、ドナシには懲役12年が言い渡された。

ドナシは刑務所でラスロ・ベネという囚人と知り合うが、後に共犯として犯罪に加担する事となる。

ドナシは刑務所では模範囚であった。


1989年3月、ドナシは刑期を9年務めた後、釈放された。

釈放されたドナシは早速ベネと合流した。

2人は主に詐欺や窃盗で生計を立て、ブダペストで1989年から1990年の間に1650万フォリント (約660万円) 相当のタバコを盗んだ。

そして、ドナシとベネはオーストリアの首都ウィーンで武器を購入し、ドナシは「マートン・カールマン・ジュラ」という名前で偽の身分証明書を作成した。


1991年6月12日、ドナシとベネはジェールで労働者を誘拐し、現金を積んだ車を待ち伏せする。

会社の門に現金を積んだ車が到着すると、ドナシは護衛の警察官に向かって発砲し、負傷させる。

その後、ドナシは門を操作するが上手くいかず、逃走する。

撃たれた警察官は病院に搬送されるが死亡する。

誘拐された労働者は助かった。


1992年5月11日、ドナシとベネは通りでタクシーを襲撃する。

タクシーには運動手の他に客の学生が乗っていた。

ドナシがタクシーに乗り込むと、声を出さないよう脅した。

そして、ベネが運転手と学生に発砲し、現金の入った袋を奪って逃走した。

運転手は死亡したが、学生は重傷を負ったものの一命を取り留めた。


同年11月8日、ドナシとベネはサースゼントミハリー郊外の山の中で銃の練習をしていた。

すると、近くにいたハンターがドナシとベネを野性動物に襲われている密猟者だと勘違いし、助けようとしてしまう。

ドナシはハンターを撃って射殺した。


1993年1月22日、ドナシは現金輸送車を襲撃し、発砲した。

運転手は頬に銃弾を浴びたが、後に手術で取り除く事が出来た。

ドナシはベネの車に乗って逃走した。

この失敗によりドナシはしばらく海外に逃亡した。


同年11月13日、ブダペストでドナシは郵便局を襲撃する。

ベネは運転手として参加しただけであったが、この銃撃でドナシは1500万フォリント (約600万円) を手にした。

犯人は何ヶ月も逮捕されなかった為、一時期、警察は郵便局員を犯人だと疑っていた。

だが、とある女性が知り合いのドナシが強盗や殺人の犯人である事を知っていた。

その為、ドナシはその女性を危険だと考え口封じの為に殺そうと準備をしていた。


しかし、1994年5月4日、ドナシとベネは逮捕された。

ドナシは逮捕された際、自身を「戦争の捕虜」だと述べた。

ドナシは長い刑罰を望み、自身のこれまでの脅威的な犯罪が刑務所の中でも轟き、他の囚人たちに一目置かれ、囚人の中でも1番になれるだろうと考えていた。


1995年1月26日、ドナシには終身刑が言い渡された (ベネにも終身刑が言い渡された) 。

しかし、ドナシはソプロンコヒダ刑務所に収監される事となり、しかも、独房により個別に管理される事となった為、自身が吹聴していた刑務所の中のトップにはなれなかった。


2001年8月10日夕方、ドナシは剃刀で自殺した。



《殺人数》
3人 (他強盗多数)

《犯行期間》
1991年6月12日~1992年11月8日



∽ 総評 ∽

お金目的で数々の場所を襲撃したドナシとベネ。

ドナシは父親が検察官、母親が教師であり、家庭もどちらかといって裕福であった。

また、虐待や家庭崩壊もなく、大抵のシリアルキラーが経験する幼少期の悲惨さは皆無であった。

その為、ドナシがなぜこれ程の異常性を備えたのか全くわからない。

考えられるとしたら裕福な家庭にありがちな、退屈から刺激を求める末の凶行と思われる。

2人はお決まりの刑務所で意気投合し、出て来た後に犯行が凶悪化するという最も酷い結果となった。

これは全て司法が最初に甘い判決を下したからに他ならない。

最初の時点で死刑か終身刑にしていれば後の悲劇は間違いなく防げた。

毎回同じ事を言っていて申し訳ないが、こんな事がまかり通っている世の中に絶望すら感じてしまう。

また、ドナシは自身の犯行のおぞましさが刑務所に鳴り響き、刑務所の中で「王」になれると思っていた。

その思考自体終わっているが、実際刑務所入ってそれすらなれなかった憐れな鬼畜であり、その為、自殺したのだろう。