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カイル・ハフ (アメリカ)
【1977 ~ 2006】



カイル・アーロン・ハフは、1977年9月22日、アメリカ・モンタナ州ホワイトフィッシュで生まれた。

ハフは双子の兄弟の1人であった。


ハフはワシントン州シアトルにあるザ・アート・インスティチュート・オブ・シアトルやノース・シアトル大学に通ったとされるが、どちらの大学にも出席記録はなかった。

しかし、ハフはホワイトフィッシュで芸術を破壊した罪を犯し逮捕された。


2001年頃、双子の兄弟と共にシアトルに移住した。


ハフはシアトルでは特に問題を起こす事はなかったが、2004年に喧嘩に巻き込まれている。

ハフはモンタナ州カリスペルのスポーツ用品店で合法的にショットガンと銃を購入する。

しかし、ハフが以前、動物虐待を行っていた事がばれた為、銃を警察に押収される。

だが、罰金を支払い銃を取り戻す事が出来た (この時、以前ホワイトフィッシュで起こした罪が判明していれば銃は返却される事はなかった) 。


2006年3月24日夕方、シアトルの中心地キャピトル・ヒルにある「Better Off Undead」でイベントが行われていた。

このイベントには350人以上が参加していた。

その後、日付が変わった25日午前4時頃からハフはアフターパーティーに招待され参加した。

ハフはパーティーの最後の参加者であったが、後日、話を聞いた所、ハフの事を誰も知らなかった。

当初、ハフは静かに過ごしていたが、パーティーが進むにつれ周囲の人達と楽しく話をしていた。

その後、ハフはパーティーを去ったが、いなくなった事を思い出せる人は誰もいなかった。

ハフは一旦自宅に戻り、トラックに乗ってパーティーが行われている家の近くに駐車した。

そして、トラックから以前購入したショットガンと銃、弾薬300ラウンド以上を持って家に向かった。

到着するとすかさず家の外にいた5人を撃った。

そして、正面玄関から家の中に侵入すると、1階にいた2人を撃った。

家の2階には夫妻が浴槽で隠れていたが、トイレの戸口を突き破って逃げた。

ハフはその2人に向かって発砲するがどちらにも当たらなかった。

銃撃は5分続き、近くでパトロールしていた警官が銃撃を聞いて駆けつけると、負傷した被害者と遭遇する。

すると、丁度ハフが階段から降りて来た為、警官は被害者の前に立った。

そして、ハフに銃を置くよう指示すると、ハフは銃口を口に入れ、自らを撃って自殺した。

結局、この銃撃による犠牲者は6人で、他2人が負傷した。

死亡した6人の内、1人は銃撃直後は生きていたが、病院に搬送された後に死亡した。

警察はハフが乗り付けたトラックの中から他にもライフルや拳銃、弾薬や野球バット、マチェーテ等を発見する。

また、家を家宅捜索すると、多くの銃や弾薬を見つけた。

警察が家を捜索していると、一緒に住んでいた双子の兄弟が家に帰って来たのだが、何が起こったか理解出来なかった。

兄弟は警察に拘束され、尋問を受けた後、解放された。

結局、本人が自殺してしまった為、動機は不明であった。


だが、事件から約1ヶ月後、ハフが書いたと思われるメモが見つかり、同年6月6日、まだ、ハフのものと断定されていないにも関わらず、警察はそのメモを公表した。


1週間後、警察はそのメモが本人のものである可能性が極めて高いと結論付けた。

メモは事件の2日前に書かれ、若者の性に対する奔放さについて怒りをあらわにしていた。

このハフによる銃撃事件は、シアトルでは以前掲載した1983年に起こった「ワー・ミー」大虐殺事件に次ぐ被害者数であった。


最後にハフが銃撃中、スプレーで書いた文字で終わりたいと思います。

「NOW!(今) 」



《殺人数》
6人 (他負傷者2人)

《犯行期間》
2006年3月25日



∽ 総評 ∽

自ら参加していたホームパーティーで銃を乱射し、6人を殺害したハフ。

銃乱射事件自体はアメリカの恒例行事であり、これまでいくつも紹介してきた通り珍しいという事はない。

双子の兄弟は何が起こったか理解出来なかったらしいので、少なくとも兄弟には普段からそのような兆候は見受けられなかったのだろう。

ただ、このハフの犯行の少し異質な所は、普通なら最初のイベントの所で銃を乱射してもいいはずである。

警備や持ち物検査が厳しくて無理だとしても、その後のホームパーティーに参加し、わざわざ1度戻って犯行に及んだのもよくわからない。

もしかしたらそのホームパーティーで嫌な事をされたのかもしれない。

ここからは推測だが、もし、メモが本人が書いたものならおそらく本人は女性にモテた事がなく、あまり縁のない人生を送ってきたのだろう。

若者の自由な恋愛に嫉妬し、犯行に及んだと思われる。

ただ、犯行理由としてはよくある典型的なものといえる。