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アンソニー・ガルシア (アメリカ)
【1973 ~     】



2008年3月13日、アメリカ・ネブラスカ州オマハにある医師ウィリアム・ハンターの自宅で、ハンターの息子トム (11歳♂) とハウスキーパーのシャーリー・シャーマン (57歳♀) が殺害される。

シャーマンの首にはナイフで切り裂かれた痕があり、トムも首に複数の刺し傷があった。

その深さは頸動脈と頸静脈を切断する程であった。

犯罪のプロファイラーによる現場検証が行われ、連続殺人犯による無作為な攻撃だとされた。


2013年5月14日、同じくオマハで医師ロジャー・ブルームバック (♂) とその妻メアリーの遺体が発見される。

だが警察は夫妻殺害の犯行現場と5年前に発生し未解決となっていたトムとシャーマン殺害事件と類似点を見つける。

どちらの事件も殺害に使用された凶器 (ナイフ) は犠牲者の家にあった物であり、4人共的確に首を刺されていた。

また、トムの父ハンターは、クレイトン大学医学部病理学科で働いていたのだが、実は殺害されたブルームバックも働いていた。

その為、警察は犯人は両者を知っている人物だと確信し、間もなく逮捕されたのはアンソニー・ガルシアという元医師であった。

ガルシアは元々ハンターとブルームバックの下で働いていた。

だが、ガルシアは職場で常に怒っているような素振りをみせ、同僚に叫んだりする事が多かった。

また、勤務態度も良好とはいえず、その為、1999年に解雇されてしまう。

その後、医師として再就職を試みるが、新しい職場が見つからなかった。

その事でガルシアは精神的に追い詰められていく。

2008年2月、ガルシアは医師免許の更新を行うが、ハンターとブルームバックが反対する。

その為、ガルシアは医師免許を更新する事が出来なかった。

自身を解雇しただけでなく、医師免許の更新にも反対された事でついに怒りが頂点に達し、ハンターの家を押し掛けた。

シャーマンとトム殺害後、ガルシアは2012年9月に医師免許を再度申請した。

だが、再びハンターとブルームバックにより拒絶される。

この再度の拒絶により今度はブルームバックの家を襲撃したのだった。


裁判が始まると、検察官は自身の職場での行いが悪かったにも関わらず、卑劣な犯行に及んだと述べた。

また、医師免許更新を反対された事でハンターとブルームバック恨んだが、両者はガルシアが医師として働く事に危険と感じ、正当な理由をもって反対しただけであり、それに対して復讐するというのはとても許されないと痛烈にガルシアを非難した。

しかし、ガルシアの弁護士はどちらの犯行現場にも物的証拠は一切なく、たまたまガルシアの元職場の上司が狙われただけであり、復讐などではなく単なる偶然による物盗りの犯行だと主張した。

また、もしガルシアが復讐を望むのなら、何故、本人ではなくハウスキーパーと息子を殺したのかと主張した。

だが、検察官はガルシアはハンターを殺害しようと家に侵入したが、たまたまハンターが家にいなかっただけだと述べた。

また、本人を殺害するより息子を殺した方が本人にとってはより残酷な事ではないかとも述べた。

確かに犯行現場にはガルシアの犯行だと結び付ける証拠は一切なかったが、ガルシアがブルームバックの住所をオンラインで調べていた事がわかった。

また、4人は頸動脈や頸静脈という重要な血管を切り裂かれていたが、これは医師のように知識がある人間による犯行だという事を裏付けていた。

しかし、弁護士は犯行現場を調査した調査官に話を聞き、
「首を切り裂くという行為は殺人において一般的な行為であり、特に独特で珍しい事ではない」
と反論した。

更に、2つの犯行現場には確かに類似点はあるものの、何件も類似しているというわけではなく、このわずか2件の犯行現場のみで同一犯による犯行だと決めつけるのは無理があると述べた。

陪審員の1人はその凄惨な犯行現場の写真を見て泣き出したが、ガルシアは1990年代に医師として働いていなかった時期があり、その時、殺人を犯していなかった事に注目した。

また、犯行があったのはネブラスカ州オマハであったが、ガルシアが住んでいたのはインディアナ州であり、距離にして約600マイル (約1000km) も離れていた。

その為、わざわざ復讐の為にやってくるかという事も疑問視された。

陪審員は少なからずガルシアが犯人ではないという考え方の者がおり、最初にプロファイラーが出した連続殺人犯による無作為な犯行だと考える者もいた。


しかし、2017年10月、ガルシアは4人殺害により有罪判決が下された。

ブルームバックの妹キャロルは聴聞会で、
「彼は嫉妬深く怒り狂っていたが、こんなにも多くの人の命を奪う必要はなかった」
と述べた。


2018年2月28日、ガルシアには死刑判決が言い渡された。

しかし、判決を不服としてすぐに控訴する。


同年6月、控訴裁判でガルシアは2003年に入院し、自殺未遂の過去と曖昧な発言ではあったものの一部殺人を認めた。

また、ガルシアはアルコール中毒でもあり、その際に処方された薬により太ってしまい、胃のバイパス手術を受け、100ポンド (約45kg) ほど痩せていた事もわかった。

ただ、ガルシアには精神病や精神的欠陥などは認められないとされた。



《殺人数》
4人

《犯行期間》
2008年3月13日、2013年5月14日



∽ 総評 ∽

元上司の家を襲撃し、4人を殺害したガルシア。

ガルシアは医師として働いていたが、解雇された事や医師免許更新の際に反対された事に対して恨みを抱き犯行に及んだ。

自身の職場での様子や勤務態度により解雇され、しかもそんな人間が医師として人の命を預かるのは恐ろしいと考えた両医師は免許更新を反対し、その事で医師免許を取り上げられた事に対して恨みを抱いた。

身勝手極まりなく、全くもって救いようがない。

解雇された後、再就職を望み就活を行ったが叶わず、解雇された事を憎んだが、再就職出来なかったのは自身のせい以外の何物でもない。

ただ、こういった身勝手な逆恨みによる暴走は、殺人鬼にはよくありがちな事だとはいえる。

ガルシアの幼少時代や家庭環境については詳細がなくよくわからないが、医師になるくらいなのでそれなりの家庭に育ち、頭も良かったと思われる。

ガルシアの弁護士は物的証拠はなく、2人が襲われたのもたまたまだと語り、約1000kmも離れた場所に復讐の為だけにわざわざやって来るかと主張した。

確かに100%ないとは断言できないが、同じ職場の医師でしかも、ガルシアの医師免許更新に2人共に反対した。

しかも、ガルシアを解雇した事を考えれば、ガルシアが2人を殺害する動機としては十分と言え、偶然、シリアルキラーによって同じ職場の医師が殺されたと考える方が不自然であろう。

また、復讐の為だけに1000kmとか2000kmは遠過ぎるという考えも何故、そう断言出来るのか、むしろ復讐だからこそそれくらいの距離も苦にならなかったのではと考えられないだろうか。