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レイモンド・ボーウェン (イギリス)
【1993 ~     】



2017年11月17日早朝、イギリス・ミルトンキーンズで、レイモンド・ボーウェンが恋人のローレン・ラッセルと喧嘩をしていた。

すると、その騒ぎを聞いていた隣人のキルステン・アシュビー (27歳♀) が訪ねてくる。

アシュビーはカップルの仲裁に入り、ラッセルにこの場を離れるよう促した。

そして、警察を呼ぼうと携帯電話を取りに戻ろうとした所をボーウェンに捕まり、アシュビーにガソリンをかけ、火を放った。

アシュビーは激しく燃え上がり、悶え苦しんだ。

そんな苦しむアシュビーの様子をボーウェンはタバコを吸いながら笑って眺めていた。

アシュビーは携帯電話で姉のドナに電話をかけ、助けに来て欲しいと懇願した。

ドナが現場に到着すると、すでに警察や消防車、救急車が来ていた。

アシュビーは救急車で運ばれる際、ドナはアシュビーが泣き叫ぶ姿を目撃した。

病院に搬送されたアシュビーだったが、全身32%の火傷を負っていた (通常、70%で死亡すると言われているが20%でも死に至る可能性がある) 。

必死の治療の末、一命は取り留めたが、熱で耳を失い、指の先端を全て切断しなければならず、顔の皮膚は溶け、長い髪も燃える程の重傷であった。

アシュビーは80回以上の手術を行い、今後も地獄のような苦痛の中、手術を続けなければいけなかった。

ボーウェンは逮捕されたが、日頃からパートナーとの争いが絶えず、以前に何度もアシュビーが争いを止めに入っていた事がわかった。

また、ボーウェンは5人の子供の父親であり、犯行時、ジャック・ダニエルを飲み酔っており、しかも、コカインを吸引して気分が高揚していた事がわかった。

逮捕されたボーウェンは殺人未遂で起訴された。

裁判でニック・マージ判事は
「彼女の残りの人生を修復不能な程台無しにされた」
と述べた。

ボーウェンは精神疾患に罹患しておらず、ボーウェンは裁判中にラッセルに投げキッスするなど、反省の態度を一切示さなかった。

ボーウェンの弁護士は事件当時、ボーウェンがアルコール摂取により酔っており、また、薬物の影響により行為に及んだとして酌量を求めた。


2018年4月、ボーウェンには懲役19年が言い渡された。

しかし、この判決はあまりに軽過ぎると批判が集まった。

ロバート・バックランド司法長は、
「彼の判決はあまりに寛容である」
と主張し、更に
「残酷で不気味な犯行」
と述べた。

国民からも「死刑にしろ!」「終身刑でも甘過ぎる」等の声が多く寄せられた。

アシュビーは日中、ボディスーツなしでは生活する事が出来なくなり、また、家族はアシュビーが退院の際、生きていくのに必要な装置を自分達で支払い購入した。

アシュビーの妹ケイティは
「回復は長い道のりだが、彼女は強さと決意がある」
と語り、アシュビーは現在、ストーク・マンデビル病院でリハビリを行っている。



《殺人数》
0人 (負傷者1人)

《犯行期間》
2017年11月17日



∽ 総評 ∽

喧嘩を止められた事に腹を立て、ガソリンをかけて燃やしたボーウェン。

懲役19年というのはあまりに軽過ぎるが、司法としては本人は生きているのであくまで殺人未遂という事になりこのような刑罰になったのだろう。

アシュビーの事件後の様子はネットで確認出来るが、あまりの痛々しさに目を覆いたくなる程だ。

彼女の今後の人生を考えればある意味死ぬより辛いのは明白だ。

それなのに殺人未遂という文面だけで刑罰が決まるのが納得いかない (ただイギリスは死刑がないので最高でも終身刑だが) 。

アシュビーは良かれと思って仲裁に入ったが、自身が凄惨な目に遭ってしまった。

こういう事件を知ると、他人に関わると録な目に遭わないと思ってしまい、ますます隣近所の付き合い等なくなってしまう。

こんな鬼畜を死刑に出来ないイギリス司法は愚かという他なく、早くEUを脱退して死刑を復活させて欲しい。

もちろん被害者のアシュビーが一番辛いが、姉妹や家族の人生をも変えてしまった。

犯罪というのはもちろん当事者が1番辛いが、その家族も人生を狂わされるのだ。

アシュビーが生きていくのに必要な装置を買ったのは家族であり国ではない。

こんな理不尽な事が罷り通っていいのだろうか?

どこの国の司法も犠牲者やその家族に対して冷淡なのが腹立たしさを覚えてならない。