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「オオカミの群れ」事件 (スペイン)
【2016】



2016年7月、スペインの伝統行事「サン・フェルミン祭 (牛追い祭り) 」が行われお祭り騒ぎの中、事件が起こる。

5人 (20代後半) の男性が町をうろつき獲物を物色し、女性 (18歳) の手を掴み建物の地下室へ連れ込んだ。

そして、女性を部屋の隅に追いやり、女性の服を脱がせ、5人で女性を代わる代わる強姦し、輪姦した。

しかも、その強姦の様子を携帯電話で撮影した。

映像は全部で7本、時間にすると96秒に及んだ。

5人は「WhatsApp (LINEのようなアプリ) 」上に「ラ・マナダ (オオカミの群れ) 」というグループを形成していた。

そして、男性の内の1人が自分達の行為を祝うメッセージを送り、更に映像を共有する約束もしていた。

5人は強姦後に逃走したが、被害者女性が取り乱している所を通りかかったカップルによって発見され、警察に通報した。

一連の様子は設置されていた防犯カメラに映っており、5人はすぐに逮捕された。

回収した携帯電話には別の女性を強姦している映像も見つかった。

加害者5人は全員がセビリア出身で、女性はマドリッド出身であった。


2018年4月26日、裁判で5人には強姦罪については無罪となり、性的暴行の罪のみで禁錮9年が言い渡された。

更に被害者女性に対して5万ユーロ (約650万円) の損害賠償を支払うよう命じた。

5ヶ月続いた公判だったが、判決が言い渡される際は5人は出廷していなかった。

スペインの法律では暴力や脅迫の事実がない限り強姦罪には問われないようなっていた。

その為、裁判所は強姦罪に関しては無罪となったのだった。

この判決に「罪が軽過ぎる」と抗議が殺到し、スペイン全土で大規模な抗議デモが起こった。

マドリッドやバルセロナ、バレンシア各地で大勢が抗議に参加し、「恥だ!恥だ!」「NOはNOだ!」「男性優位の裁判!」等のスローガンを掲げ叫んだ。

人々はマドリッド下院議事堂に向かって行進し、警察が制止する騒ぎになった。

そもそも、検察は禁錮20年以上を求刑していたが、裁判官の1人が被害者の携帯電話を盗んだ事以外は無罪にすべきだと述べていた。

女性法曹関係者の組織「テミス」のアルタミラ・ゴンザーロ副会長は、
「裁判所にはもっと勇敢な判決が必要だった。裁判所がこれ程社会とかけ離れているのはとても許されない」
とEFE通信に対し話した。

スペイン社会労働党のペドロ・サンチェス党首は自身のツイッターで、
「この『オオカミの群れ』がした事が無防備な女性への集団暴力でないとするならば、強姦をどう解釈すべきなのか?」
と書き込み、怒りを露にした。

被害者女性と加害者男性5人は、それぞれ控訴する方針だという。

また、被害者の女性は現在も事件のトラウマに苦しみ心理治療を受けている。



《強姦数》
2人

《犯行期間》
?、2016年6月



∽ 総評 ∽

集団強姦の事実はないとしてわずか9年の禁錮刑が言い渡された事件。

しかも、加害者の鬼畜5人はそれですらも不満として控訴する有り様であった。

スペインの法律では暴力や脅迫の事実がない限り強姦罪に問われないそうだが、そのあまりの愚法に呆れて声も出ない。

政治家のツイッターをみるまでもなく、これを集団強姦と言わずして何と言うのだろうか。

正直判決を言い渡した裁判官は正気かと思える。

勉学に励まなかった無知な人間なんかではなく、司法試験をくぐり抜けた立派な裁判官が下す判決とはとても思えない。

いつも思うのだが、私は強姦の裁判の際は女性の検察や裁判官でいいと思う。

仮に同性に対し同情して厳罰になったとしてはそれはそれでいいと思うし、その方が被害者心理を汲んだ正当な判決を下せると思う (この裁判がどうだったかはわからないが) 。

ただ、犯罪者に激甘なヨーロッパ司法であればこの判決はある意味仕方ないと言えるかもしれない。