セルゲイ・ドヴジェンコ (ウクライナ)
【1972 ~ 】
セルゲイ・ドヴジェンコは、1972年6月30日、ウクライナ (当時はソ連) ・マリウポルで生まれた。
ドヴジェンコは商品研究者になる事を目指し、マリウポル商業大学に入学した。
卒業後、ドヴジェンコは軍隊に入隊し、そこで「マチェック」という名前をもらった。
また、軍隊でドヴジェンコはボクシングにのめり込んだ。
その実力は2度準優勝になる程であった。
退役後、ドヴジェンコは「Citadel」という会社で働いたが、すぐに退社した。
退社後、ドヴジェンコは警察官になる為に、警察学校に通い10ヶ月間の研修を行う事となった。
1997年6月18日夜、「Citadel」が襲撃され、警備員のセルゲイ・ミチェンコ (♂) が殺害される。
そして、5000フリヴニャ (約2万円) が盗まれた。
犯行現場から銃のカートリッジが見つかり、元従業員のドヴジェンコに容疑が掛かった。
同年6月27日、ドヴジェンコは職場で逮捕された。
ミチェンコはドヴジェンコの銃で殺害された事が証明されたが、ドヴジェンコは自分は犯人ではないと述べた。
ドヴジェンコは8ヶ月間拘留され、1998年3月30日、解放されたが文書偽造により警官も首になってしまう。
ドヴジェンコは警察官のような法の執行に携わる仕事に就きたいと願うが、当局によりことごとく拒否される。
ドヴジェンコは無実の罪で逮捕され、警察官の職を失い、そして、再就職もままならない状況により精神が追い詰められる。
そして、ドヴジェンコは復讐を始める。
ドヴジェンコはミチェンコ殺害の際、「Citadel」のオーナーで、ドヴジェンコの前の最初の容疑者であったウラジミール・チェクマック (48歳♀) を最初の標的に選ぶ。
そして、ドヴジェンコは1ヶ月間、チェクマックの行動を調べ、1998年11月19日、ドヴジェンコはチェクマックの家に行き、家の玄関近くでチェクマックが戻って来るのを待った。
この時、ドヴジェンコは警察官の制服を着ていた。
チェクマックが車で戻り、玄関を開けた時、ドヴジェンコが12口径の銃でチェクマックを撃った。
しかし、チェクマックがまだ生きていた為、ドヴジェンコはナイフで喉を切って殺害した。
そして、ドヴジェンコはチェクマックの友人のイゴール・カリモフ (49歳♂) の所へ向かい、カリモフに「Citadel」の人事部は間違っていると主張し、殺害した。
更に、運転手のアンドレイ・リッビチョフ (♂) と「Citadel」のコマーシャル・ディレクター、セルゲイ・シャトゥロフ (♂) を攻撃する。
2人は負傷したものの、一命は取り留めた。
その夜、警察官がドヴジェンコの家を訪ね調べるが何も見つける事は出来なかった。
また、ドヴジェンコの妻も夫にはアリバイがあると述べた。
ドヴジェンコは元同僚に復讐する事で恨みを晴らし、また、連続殺人を行い犯人が逮捕されない事で責任をとって警察署長が解任される事をあえて狙った。
1999年4月17日、ドヴジェンコは警察官の制服に身を包み、バレンティナ・グラディリーナ (55歳♀) の家の玄関前でグラディリーナに話し掛けた。
ドヴジェンコは偽のIDを提示してグラディリーナを安心させると、グラディリーナは丁度、家の中に泥棒に入られたと述べ、家の中に招き入れた。
ドヴジェンコはグラディリーナを殺害し、1000ドル (約12万円) を強奪して逃走した。
グラディリーナ殺害の際、ドヴジェンコは友人のヴィタリー・シェムヤコフから銃を購入しており、その銃で射殺した。
グラディリーナは路上で香水を販売しており、その時、ドヴジェンコに目をつけられたのだった。
同年6月27日、ドヴジェンコは水兵のアレクサンダー・コキン (48歳♂) とその妻エカテリーナ (49歳♀) をグラディリーナに使用した銃で射殺する。
この時、エカテリーナの母ガリーナ・クロッカレワも撃たれたが、ガリーナは助かった。
この殺人以降、ドヴジェンコは犠牲者を選ぶ為の方法を簡素化した。
ドヴジェンコは新聞を買い、広告欄を見て高価な物を売ろうとしている人間を探した。
そして、ドヴジェンコは買う振りをして連絡をとり、標的がどこに住んでいるか元従業員に聞いたり自ら探したりして突き止め犯行に及んだ。
同年9月10日、ドヴジェンコはリュミドラ・シェフチェンコ (58歳♀) とその息子セルゲイ (27歳) を殺害する。
リュミドラはビデオカメラの販売について新聞に広告を出していた。
同年12月13日、ドヴジェンコはイワン・ヴァクレンコ (61歳♂) とその息子ヴィタリー (33歳) を殺害する。
イワンはパソコンを売ろうとしていた。
2000年7月7日、ドヴジェンコは銃を購入した友人のシェムヤコフ (28歳♂) を殺害する。
シェムヤコフ殺害動機だが、シェムヤコフはドヴジェンコに銃を売った後、殺人に使用した事を知っており、暴露されたくなければ大金を用意しろとドヴジェンコを脅していた。
その為、ドヴジェンコは殺害したのだが、ドヴジェンコはシェムヤコフの喉を切って殺害した。
同年8月、ドヴジェンコはビジネスマンのユーリ・グランユーク (36歳♂) を殺害する。
同年12月15日、パトロール中の警官アレクサンダー・ロゴベツ (36歳♂) 、ウラジミール・フェデレンコ (29歳♂) 、アンドレイ・カルペンコ (22歳♂) の3人は、ドヴジェンコがシャツの中に銃を隠し持っている事に気づき、ドヴジェンコを拘束しようとする。
だが、3人がドヴジェンコに接近すると、ドヴジェンコは銃を取り出し3人を立て続けに撃って射殺した。
シェムヤコフ殺害では、イゴロフという男性が逮捕され有罪判決を受けた。
だが、シェムヤコフの母親クラウディア・ボンダレンコは貧弱なイゴロフには息子の殺害は不可能だと訴えた。
警察も犯人は警官や軍人関係者ではないかと考えていた為、ボンダレンコの訴えを信じた。
そして、ボンダレンコはシェムヤコフの友人であったドヴジェンコを疑った (後にシェムヤコフ殺害がドヴジェンコだと判明するとイゴロフは無罪となったが、刑務所で結核にかかり死亡してしまった為、死後無罪となった) 。
その事を知ったドヴジェンコは、2001年6月27日、ボンダレンコ (57歳) の家に侵入し、殺害した。
だが、ドヴジェンコはボンダレンコだけを殺害すると、自身に疑惑の目が向くと考え、物盗りの犯行に見せかける為、ボンダレンコの隣人の家に侵入する。
そして、ガリーナ・イワノバ (63歳♀) と孫娘タニヤ (12歳) を殺害する。
その後、ドヴジェンコは3000ドル (約36万円) を奪った。
2002年5月17日、ドヴジェンコはアルツール・フロルコフ (36歳♂) とアツォ・シモヴィッチ (38歳♂) を殺害する。
フロルコフとシモヴィッチはラップトップを販売していた。
しかし、ドヴジェンコはフロルコフとシモヴィッチを殺害した日に逮捕された。
2003年1月19日、裁判が始まり、ドヴジェンコはこれまで19人の殺害を告白した。
同年9月8日、ドヴジェンコは17件の殺人で有罪判決が下され、終身刑が言い渡された。
ドヴジェンコは判決を不服として控訴するが、2006年5月、最高裁判所はドヴジェンコの控訴を棄却した。
最後で裁判で殺害動機について話したドヴジェンコの発言で終わりたいと思います。
「ほとんど全ての殺人は私を嘲笑する人を罰するという1つの目標のもと行われた。ミチェンコ殺害容疑で逮捕された時、取り調べの時に警察官に殴られた為、警察官に復讐した。ただ、殺していくうちに奇妙な喜びを感じるようになった」
《殺人数》
19人 (他負傷者多数)
《犯行期間》
1998年11月19日~2002年5月17日
∽ 総評 ∽
19人を殺害したドヴジェンコ。
ウクライナの殺人鬼というのは先日紹介した『Nighttime Killers』を含めこれまで何人か紹介してきたが、かなり衝撃的な人物が多い。
ドヴジェンコの犯行は、復讐や逆恨みが多く、しかもその原因はそもそも自身が作ったものでありとても擁護出来ない。
ただ、これだけの期間、これだけの人間を手にかけ、しかも、怨恨という理由にも関わらず捕まらなかった事が不思議でならない。
ドヴジェンコはミチェンコ殺害の容疑とその際の警察の横暴により復讐を誓ったが、確かにミチェンコ殺害は冤罪であった。
この事で何もかも失ってしまい、復讐に走ったが、殺人を重ねるにつれそれが快感に変わってしまった。
その為、殺す事に何の躊躇いもなく、弊害となる相手を容赦なく葬っていった。
特に脅されて殺した友人のシェムヤコフと、自分を犯人と疑ったシェムヤコフの母ボンダレンコを殺害したのは逆恨みも甚だしく身勝手極まりない。
しかも、容疑が自分にかかる事を恐れ、物盗りの犯行に見せ掛ける為にわざわざ隣人も殺害するという鬼畜振りであった。
こんな異常者を終身刑にしか出来ないヨーロッパ司法に絶望しか感じない。
コメント
コメント一覧 (11)
遺族感情からすれば、死刑にすべきですが、死刑や終身刑を覚悟で、
「死ぬ前に有名になりたかった」という動機で、人を殺す通り魔もいます。
そういう奴は、食事も与える価値もありませんが、
拷問を禁じる日本の法律上、そうはいきません。
だから、死刑は抑止力にならないという結論は早計ですが、
結果的に、犯人に死刑制度を利用されただけであり、嫌な気分になります。
加藤智大も、社会に与えた恐怖から、早急に処刑すべきですが、
加藤を崇拝する者も少なからずおり、死刑によって神格化される事から、
なかなか執行出来ないのかも知れません。
最初の従業員殺害間違いなく糞鬼畜の仕業でしょう!
激甘な判決にも拘わらず、平然と控訴する糞な精神構造の鬼畜には反省も更正も促せませんし、社会に出せば100%狡猾に凶悪化して再犯するでしょう!
存在自体が社会的脅威でしか無い糞鬼畜なのに生かしておく意味が全く理解出来ません!
あと、嘘のアリバイ供述した妻も逮捕するべきでしょう!嘘の証言が無ければ、これ程悲惨な事件が連続する事は避けられた筈です!
今回の糞鬼畜のように時間経過と共に逮捕される公算が増大する犯罪は簡素化していくモノです。
先日のジャック・ザ・リッパーが事件毎に手間を掛けて演出し尚且つ、逮捕に至らなかった事が如何に異質であるかが分かりますね。
他サイトと違い、事実関係のみを淡々と記事にしておられるからこそ事件概要が理解し易いです。
この姿勢を維持して欲しいです。
そうかもしれませんね。
1人殺すも2人殺すも同じという心理かもしれません。
確かに死刑をあえて利用する愚か者もいますね。
よく死刑廃止論者が「抑止にならない」と言いますが、私は別に死刑に犯罪抑止を求めません。
凶悪犯に被害にあった当事者や遺族が復讐出来ないかわりに死刑にしてもらう為に存在するのであって、遺族に復讐権があるなら死刑を廃止していいと思います。
先日執行された麻原もそうですね、神格化がどうこう言われてましたが、そんなの気にしなければいいのになと思います。
>食パンさん
確かにそうかもしれませんね。
>考える愚者さん
死刑以外あり得ませんね。
処刑された宅間守が裁判で8人の子供を殺しても自分1人しか死刑に出来ない理不尽さをどうのこうの言ってましたが、まさにその通り。
だから最低でも死刑にしなければいけないし、もっと過酷な目に遭わせなければいけないんです。
生かしておく意味も理由も皆無ですね。
愚かなEU社会ではどうしようもないですね。
自分の気持ちを途中途中で書いてしまうと、読んでいる方々に余計な気持ちを与えてしまうと思い、そうしないようにしています。
いつも読んで頂いているという事で誠にありがとうございます。
確かに猟奇的な殺人事件が多いですが、あくまで事件についての話であり、国自体は素晴らしい美しい国だと思います。
刑務所は反省の場所なのではありますが、鬼畜のやる反省は凶悪化して狡猾になるためだけの反省なので死刑しかありえません。
絶対こいつも反省も謝罪も更生もしないでしょう!!
終身刑にするならシベリア送りにして強制労働にしなければ意味をなしません!!
もしくはカンボジアなどで地雷撤去と除草作業をさせたいくらいです!!
話は変わってスウェーデンで20歳のダウン症の青年が警察に撃ち殺されました。
撃った理由はおもちゃの銃を所持していたという理由です
詳細が固まり次第掲載していただけらうれしいです。
刑務所で更生や反省を行えるのは軽微な罪だけであり、凶悪な場合は即処刑しかないです。
そんな事件があったんですね。
今度調べてみます。
あまりにも酷すぎますね
えん罪被害者を出し、多数の強盗殺人。
復讐と言っても度し難い理由。
これで終身刑とは...もうどうしようもない。
当然ですね。
生かしておいても何の良い事もありません。
まあ死刑がないのでどうしようもないですね。