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アーロン・サウセド (アメリカ)
【1993 ~     】



2015年8月12日、アメリカ・アリゾナ州フェニックスのコルターで、銃撃事件が発生する。

この銃撃事件で負傷者は出なかった。


同年8月16日、ラウル・ロメーロ (61歳♂) が自宅の前の車道で何度も撃たれ射殺される。


2016年1月1日、ジェシー・オリヴァス (22歳♂) が歩いている所を撃たれ射殺された。


同年1月17日午後11時30分頃、フェニックスのモアランド近くを歩いていた少年 (16歳♂) が銃撃される。

少年は撃たれ負傷したが、一命を取り留めた。


同年3月18日午後11時30分頃、21歳の男性が車の傍で立っていた所、撃たれて射殺される。


同年4月1日、妊娠中の婚約者とその家族の下を訪問したディエゴ・ベルジュゴ・サンチェス (21歳♂) が撃たれる。

サンチェスは病院に運ばれるが、その日の午後9時頃、病院で死亡した。


同年4月19日早朝、クリスタル・アネット・ホワイト (55歳♀) が射殺される。


同年6月1日午後9時50分頃、ホラシオ・ペーナ (♂) が職場から家に帰った後、フラワー・ストリートで撃たれ死亡した。


同年6月10日午後9時30分頃、マヌエル・カストロ・ガルシア (19歳♂) が自宅の外で射殺される。

この時、犯行現場近くにいた警官が銃声を聞いて現場に駆けつけるが、すでに犯人は逃走した後だった。


同年6月12日午前2時35分頃、犯人は鍵の開いた車に火を放った後、ステファニー・エリス (33歳♀) とその娘マレア (12歳♀) を射殺する。

この時、一緒にいた友人のアンジェラ・リナー (31歳♀) も撃たれる。

リナーは撃たれた直後は生きていたが、3週間後に撃たれた傷がもとで死亡した。


同年7月11日、21歳の男性と4歳の少年が乗る車が発砲されるが、2人共負傷しなかった。

警察はサンチェス、ペーナ、ガルシア他3件の殺人事件は、全てフェニックスのメアリーベールで発生している事と、また、事件の類似性に着目し、捜査を進める。

そして、近隣で起こった別の銃撃事件やホワイトや最初の射殺事件もメアリーベールで起こっていた。

目撃者によると、犯人は20代前半の黒髪の短髪の男性であった。

また、犯人は5フィート10インチ (178cm) くらいとされた。

ただ、警察は容疑者は複数人いる可能性があると考えていた。

犯人は黒いBMWや白いキャデラック、またはリンカーン等、複数の車を使用している事がわかった。


同年8月3日、警察は犯人の顔の似顔絵が作成され公開された。

FBIのプロファイラー、ブラッド・ギャレットは、犯人は「スリルに快感を覚える殺人犯」であり、近距離から撃たれている事から犠牲者に対して「親密さ」を求めていると分析した。


2017年3月、フェニックス警察は容疑者をフランク・テイラーという男性だと発表した。

しかし、テイラーは最後の既知の犠牲者に銃を奪われ自衛で射殺されていた。

だが、結局テイラーは犯人ではないとされ、他に6人が容疑者が上がった。


そして、その内の1人が後に拘束されたが、結局、同年5月8日、一連の事件で逮捕されたのはアーロン・サウセドという男性であった。

サウセドが持っていた9mmのピストルの弾道がロメーロ殺害時に使用された銃であると断定された。

また、サウセドはBMWを所持しており、しかも、警察が公開した似顔絵と酷似していた。


当初、サウセドはロメーロ殺害のみで起訴されたが、同年6月30日、他8件の殺人等で訴追された。


同年7月6日、サウセドは無実を主張する。


同年11月29日、予定であった裁判は延期となり、現在も続いている。

余談だがサウセドはアリゾナ州史上最も多く殺害した殺人鬼とされている (あくまでアリゾナ州内のみの犠牲者) 。



《殺人数》
9人 (他3人負傷)

《犯行期間》
2015年8月16日~2016年7月11日



∽ 総評 ∽

『The Maryvale serial shooter (メアリーベールの連続射撃手) 』または『The Serial Street Shooter (連続通り射撃手) 』と呼ばれ、9人を射殺したサウセド。

サウセドは射殺のみで犯行を繰り返したが、アメリカで銃での犯行といえば、通常銃乱射事件を想像するだろう。

ただ、このサウセドのように殺害方法に銃を選ぶシリアルキラーは『サムの息子』ことデイヴィッド・バーコウィッツ等、それほど多くはないがいる事はいる。

特にこのサウセドによる犯行は『D.C. スナイパー』と呼ばれ2002年10月のわずか3週間で17人を射殺したジョン・ムハンマドの事件と非常に酷似している。

ムハンマドは車を改造し、車内から白昼堂々銃撃を行った。

その犯行は近隣住民を震撼させ、昼間に出掛ける住民が激減し、町から人がいなくなったといわれる程だった。

このサウセドの犯行も同様で、住民はいつ銃撃されるかわからない恐怖に震えた。

しかも、サウセドはムハンマドの3週間とは違い1年の長きに渡っており、その恐怖心は計り知れないだろう。

サウセドが何故、これ程の犯行に及んだのかよくわからず、また、どのような人生を送ってきたのかもわからない。

サウセドの裁判は始まったばかりであるが、今後、裁判の様子を見守っていきたいと思う。