_20180506_190624
ロバート・スパングラー (アメリカ)
【1933 ~ 2001】



ロバート・スパングラー (1933年1月10日生) は、アメリカ・アイオワ州エイムズで育った。


スパングラーはラジオ局でディスクジョッキーのアルバイトとして働いた。


1978年12月30日朝、コロラド州リトルトンにある家で、警察はナンシー・スパングラー (45歳♀) 、その子供デイビッド (17歳♂) とスーザン (15歳♀) の遺体を発見する。

3人共に38口径の銃で射殺されていた。

デイビッドは胸を撃たれ、スーザンは部分的に服を着ており、背中を撃たれていた。

ナンシーは地下で遺体が見つかったのだが、側にはタイプライターで書かれたメモが発見された。

メモには子供2人を殺害し、その後、自らを撃って自殺した事が書かれていた。

警察は家族の唯一の生存者であるスパングラーに話を聞くと、事件の時に家にいなかった事を述べた。

ただ、スパングラーはナンシーとの結婚生活が上手くいっておらず、近いうちに離婚する予定であったと述べた。

だが、スパングラーは事件当日、家にいなかったと述べていたが、その後の尋問で意見が二転三転する。

スパングラーを疑った警察は、ポリグラフ検査を行い、また、ナンシーらの銃撃に使用された銃がスパングラーのものであると断定された。


だが、完全な証拠とはいえず、1979年1月3日、アラパホー郡の検察官は事件を自殺として処理した。


同年8月、スパングラーは再婚する。


しかし、1988年、スパングラーは再び離婚した。

その後、スパングラーはドナ・サンデリング (58歳) と再婚した。

ドナは活発な女性で、エアロビクスのインストラクターをしていた。

5人の子供と多数の孫がおり、2人共再婚同士であった。


1993年4月、スパングラーとドナはアリゾナ州グランドキャニオンを訪れた。

そして、ある日の朝、スパングラーはドナがグランドキャニオンで落下したとレンジャーに語った。

レンジャー隊はすぐに捜索を始め、ドナの体を160フィート (約49m) 下で発見する。

ドナはすでに死亡しており、検視を行うと、頸部に胸部、下肢に擦り傷や挫傷、裂傷や複数の骨折等の怪我を負っている事がわかった。

スパングラーは悲劇の夫としていくつかのテレビ番組のインタビューに答え、全米の注目を集めた。

インタビューを受けるスパングラーは悲壮感を漂わせ、グランドキャニオンにおけるハイキングの危険性について語った (グランドキャニオンでは毎年2、3人の観光客が落下死している) 。

その後、スパングラーは多くのパートナーと1年に何度もグランドキャニオンを訪れた。


スパングラーはドナが死んだ後、1994年にコロラド州に戻り、2番目の妻と接触する事となる。

だが、その直後、2番目の妻は薬物の過剰摂取により死亡してしまう。

この死は薬物による死亡として捜査される事はなかった (この死はスパングラーによるものとされている) 。


1999年1月、ナンシー親子3人とドナについての再調査が行われる事となった。

FBIは4人の死亡を冷酷な殺人事件と考え、捜査を開始する。

そして、あらゆる状況や証拠を分析し、調査を行った結果、犯人をスパングラーだと断定する。


2000年、再びスパングラーに尋問を開始する。

1回目の尋問は4時間に渡って行われた。

2回目の尋問の際に、スパングラーはナンシーとの結婚生活を送っている際に別の女性と不倫関係となり、邪魔になったナンシーと子供を殺害したと述べた。

スパングラーはデイビッドを撃った際、致命的な傷にならなかった為、枕を顔に押し当てたと述べた。

ただ、2番目の妻とドナ殺害は否認した。

警察はスパングラーにドナ殺害について認めたとしても罪には問わないと話した。

すると、スパングラーはドナの殺人について詳細を語った。

スパングラーは自身の評判を非常に気にしていた。

スパングラーは地元ではディスクジョッキーとして有名であり、地域社会で尊敬される存在であった。

その為、罪を認めた後、FBIに事件について大々的に発表せず最小限に留めるよう嘆願書を送った。


同年、スパングラーには仮釈放の可能性がない終身刑が言い渡された。

だが、この時、スパングラーは末期の癌に冒されている事がわかった。


2001年8月5日、スパングラーは癌により刑務所内で死去した。

享年68歳。


最後に殺人について語ったスパングラーの言葉で終わりたいと思います。

「離婚するよりも簡単だった」



《殺人数》
5人?

《犯行期間》
1978年12月30日~1994年?



∽ 総評 ∽

歴代の妻を殺害したスパングラー。

以前掲載したエリック・ナポレターノも妻や恋人ばかり3人を殺害したが、殺害相手としてはシリアルキラーの中では非常に珍しい

スパングラーは「離婚するくらいなら殺した方が楽だ」と発言しているが、このような異常者には本当にそうなのかもしれない。

ただ、その発想は非常に恐ろしい。

スパングラーは自身の評判を人一倍気にする見栄っ張りで自信過剰な性格であった。

FBIに事件を大々的に発表しないでくれと懇願したが、自らこれ程の事をやっておいて身勝手極まりないといえる。

スパングラーは最後は癌で死んだが、こんな異常者がほとんど刑務所で過ごす事なく、病気で死亡した。

これ程の犯罪者が天寿を全うするという事に納得いかないのは私だけではないだろう。