_20180505_200856
マーク・バートン (アメリカ)
【1955 ~ 1999】



マーク・オーリン・バートンは、1955年4月2日、アメリカ・ジョージア州ストックブリッジで生まれた。

家はアメリカ空軍の家庭であり、その後、バートンはサウスカロライナ州で育った。


バートンはクレムソン大学とサウスカロライナ大学に通ったが、この頃にはバートンは薬物依存症となっていた。

大学で化学の学位を取得したバートンは、卒業後、ジョージア州アトランタに行き、そこでデボラ・スパイヴィと結婚し、マシュー・デイヴィッドとミシェル・エリザベスという2人の子供が生まれた。


だが、その後、バートンの仕事の為に一家がアラバマ州へ引っ越した頃から、バートンはデボラが不倫をしているという妄想を抱くようになる。

また、その影響でバートンは仕事の業績が落ち込み始め、やがて業績不振から会社を解雇されてしまう。

これに対し怒りを覚えたバートンは、報復とばかり会社のデータを妨害して逮捕され、短期間の懲役刑を受け、刑務所に収監された。


釈放後、バートンはアトランタへ戻り、新しい仕事に就くが、デボラの知り合いの女性リー・アン・バンディバーと不倫関係となる。


1993年、バートンはデボラとその母エロイーズを殺害した容疑で逮捕された。

だが、結局、証拠不十分により起訴される事はなかった。


1995年、バートンは不倫相手だったリーと再婚した。

だが、バートンの精神状態は悪化の一途を辿り、重度の鬱病と精神病に蝕まれ、妄想に苦しみ始めた。

バートンはデボラの死により29万4000ドル (約3000万円) の保険金を得ており、そのお金でインターネット関連の株を好んで購入した。


だが、1999年6月、バートンはデイトレードにより10万5000ドル (約1100万円) の損失を出してしまう。

この事がついにバートンの精神を完全に破綻させてしまう。


同年7月27日早朝、バートンは就寝中の妻リー (27歳) を殴って撲殺した。


翌日の28日夜、バートンは就寝した2人の子供マシュー (11歳)とミシェル (8歳) を殴って撲殺した。

殺害後、2人の遺体を毛布で覆い、ノートにメモを残した。


翌日の29日、バートンは元雇い主の「モーメンタム・セキュリティーズ」の事務所に向かう。

そこで、従業員と軽く会話を交わすと銃を取り出し、エドワード・クィン (58歳♂) 、ケビン・ディアル (38歳♂) 、ラッセル・ブラウン (42歳♂) 、スコット・ウェブ (30歳♂) を射殺する。

そして、銃を乱射した後、バートンは近くの株取引会社「オールテック・インベストメントグループ」へ歩いて向かうと、そこで銃を乱射し、アレン・チャールズ・テネバウム (48歳♂) 、ディーン・デラワラ (52歳♂) 、ジョセフ・デザート (60歳♂) 、ジャムシッド・ハバシュ (45歳♂) 、ヴァデワティ・ムラリダラ (44歳♂) を射殺する。

警察が通報を受けて現場に到着するが、バートンはその前にその場を離れていた。

警察はバートンの家を家宅捜索すると、妻と子供2人の遺体を発見する。

そして、メモが残されており、そこには最初の妻と義母殺害を否定する内容が書かれていた。

銃乱射から4時間後、バートンはジョージア州ケネソーで、若い少女を脅した。

バートンは少女を人質に逃走を図ろうと考えたのだが、少女が逃げ出し警察に通報する。

バートンは車で逃走するがすぐに警察に発見され追跡を受ける。

そして、ジョージア州アクワースのガソリンスタンドで追い付かれてしまう。

警官が逮捕しようとバートンに駆け寄ると、バートンは観念し、自らを撃って自殺を遂げた。


最後に家族殺害後、家に残したノートに書いたバートンのメモで終わりたいと思います。

「私が妻を殺したのは、彼女が私の死の主な理由の1つだったからです。私は次の人生でエホバが全ての世話をしてくれる事を知っています。誰も私を理解出来ないと確信しています。私は妻に2人の子供達の事が大好きです」



《殺人数》
14人 (他負傷者13人)

《犯行期間》
1993年~1999年7月29日



∽ 総評 ∽

家族を殺害後、2つの会社を襲撃し、最低14人を殺害したバートン。

バートンは最初の妻と義母を殺害した容疑で逮捕されたが、証拠不十分で不起訴となった。

諸々の事情を考えると、バートンの犯行でまず間違いないだろう。

バートンは薬物中毒から精神が破綻をきたし、凶行に及んだ。

バートンは会社を銃撃し殺害に及んだが、これはアメリカで恒例の銃乱射事件とは異なる。

バートンはまず妻を殺し、そして、実の子を殺害したが、通常、こういった犯行に及ぶ場合、まとめてその場で殺害するものだ。

だが、バートンは妻を殺した翌日の夜に子供達を殺害し、しかも、更に翌日に会社を襲った。

突発的な犯行にしては時間が空いており、そういった点では珍しい。

バートンは早い段階で精神が破綻しており、妄想や幻想に蝕まれ犯行に及んだ。

こんな異常者が長い間普通に野放しになっている事自体恐ろしさしかなく、この結果はなるべくしてなったといえる。