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スティーブン・スペイダー (アメリカ)
【1991 ~     】



スティーブン・スペイダー (元ボーイスカウト) は、高校を中退すると、『The Disciples Destruction (破壊的な弟子) 』という名のギャングを、クリストファー・グリブル (20歳♂) 、ウィリアム・マークス (18歳♂) 、クイン・グローバー (17歳♂) の4人で結成した。

マークスとグローバーは熱狂的なスペイダーの信奉者であった。

そして、スペイダーはギャングメンバーに血まみれの開始式でその覚悟を証明するよう求める。


2009年10月4日、スペイダーとメンバーは、アメリカ・ニューハンプシャー州モン・バーノンにあるデイヴィッドとキンバリー (42歳♀) のケイツ夫妻の家に侵入する。

夫妻には娘のジェイミー (11歳) がおり、この日、夫のデイヴィッドは仕事で家にはいなかった。

キンバリーとジェイミーはすでに寝ており、ジェイミーはキンバリーと一緒のベッドで寝ていた。

スペイダーとグリブルは、キンバリーとジェイミーが寝ている寝室に侵入すると、スペイダーはマチェーテで2人に襲い掛かる。

スペイダーはキンバリーの上に覆い被さり、マチェーテで頭部と胴体を36回切りつけた。

その後、ジェイミーに切りかかった後、その場を離れた。

ジェイミーは重傷を負ったが、一命は取り留めた。


翌日、スペイダーたち4人は逮捕された。

スペイダーたちは起訴されるが、もし、殺人罪で有罪判決が下された場合、スペイダーには終身刑が言い渡される可能性があった。

だが、スペイダーは犯行時、17歳という事もあり、終身刑は違法であった (ただし、終身刑自体は違法ではなく、違法になるのは仮釈放の可能性がない終身刑) 。


2010年11月9日、仮釈放の可能性がない懲役76年が言い渡された。

スペイダーの弁護士はすぐに控訴する。


2013年5月、ニューハンプシャー州最高裁判所はスペイダーを刑務所から釈放すると再び犯罪を犯す可能性が高いとし、判決を支持した。

弁護士はこの最高裁判所の支持に対し、控訴を取り下げる事を認めた為、判決が確定した。

後に弁護士はこの判決を素直に受け入れた事について、
「個人的、道徳的な理由から」
とインタビューで答えている。


2014年2月、スペイダーはニュージャージー州の刑務所に移され、そこで、争いを犯し怪我を負った。

後に事件の被害者で生存者のジェイミーは、成長してからスペイダーと会った際、
「あなたは私がこれまで会った人の中で最も病気でひねくれた人間です」
と語った。

スペイダー以外の3人も有罪判決となり、刑務所に収監されている。

この事件は殺人の原因や動機、反省や後悔の欠如、年齢に似合わぬ残虐行為等、アメリカ国内だけではなく国際的にも衝撃と注目を集めた。



《殺人数》
1人 (他1人負傷)

《犯行期間》
2009年10月4日



∽ 総評 ∽

ギャングを結成し、自らその幕開けに家に侵入して女性を殺害したスペイダー。

スペイダーのように安直な理由で殺害に至る若者は多いが、このスペイダーはその中でもかなり異常な方であろう。

スペイダーは17歳の未成年という事もあり、仮釈放がない終身刑は法律的に禁じられていた。

そんな法律がある事自体納得いかないが、そもそも10歳そこらの子供ならまだしも、17歳となれば立派な大人である。

どうしても17歳を未成年と表現する事にどうも違和感を覚えてしまう。

今回は珍しく弁護士が最高裁判所の判決を受け入れ控訴しなかった。

弁護士は「道徳的な理由」と答えているが、おそらくこんな異常者をこれ以上弁護したくないと思ったのだろう。

仕事であればどんな屑な犯罪者も弁護する弁護士にもこういう人間がいるのだと少し感動を覚える。