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ロス・セタス (メキシコ)
【1999 ~     】



ロス・セタスは、1999年、ガルフ・カルテル元最高幹部のオシエル・カルデナ・ギリェン (ギリェンは2003年にメキシコ軍との銃撃戦で逮捕され、懲役25年が言い渡されている) と、元メキシコ陸軍特殊部隊隊長で、ガルフ・カルテルに所属していたアルトゥーロ・グスマン・デセナの2人によって設立された。

元々、ギリェンがガルフ・カルテルのリーダーとなった時、他のカルテルとの縄張り争いを繰り広げ、身の危険を感じた際、ボディーガードとして退役した30人を高給で雇い入れた。

その30人を引き連れギリェンとデセナがロス・セタスを結成した。

ロス・セタスは結成当初は元特殊部隊隊員で構成されたが、構成員が逮捕や殺害された場合はグアテマラの元特殊部隊隊員を雇った。

また、戦闘員はロス・セタスが独自に設立した基地で訓練を受ける事が出来た。

新入りは鉈やハンマーで殺人を行う事を課せられる事もあり、その様子を直接見届けるここともあった。

ロス・セタスは防弾チョッキや重機関銃、対空ミサイルやヘリコプター等も所有し、高い戦闘力を保持していた。


結成当初はガルフ・カルテルの一部として活動し、2003年、シナロア・カルテルとの抗争に参加した。

この抗争は1000人以上の死者を出すという壮絶なものであったが、ロス・セタスの活躍によりシナロア・カルテルを交渉に追い込み、ガルフ・カルテルを助けた。
 
ロス・セタスが標的とするのは、敵対する麻薬組織だけではなく、警察官や軍人、麻薬組織を目の敵にする弁護士、また、麻薬栽培を拒否した農民など、反対する相手を悉く葬った。

ロス・セタスは敵対する相手を拉致すると、拷問を加え、殺害し、残酷に解体して路上に捨てた。

また、遺体には「Z」の文字を刻印した。

カルテルの主な収入源は麻薬の密売で、それでおよそ半分の収益を得ていた。

組織の中でも最も残忍だとされるのは、リーダーの1人ミゲル・トレビーニョ・モラレスで、自ら2000人以上を殺害したとされるだけではなく、数千人の殺害を指示したとも言われる。

モラレスはオイルの樽に犠牲者を入れて火を放つという拷問を好み、また、拉致した移民同士決闘を強要する事もあった。


2009年、車内から男性11人の遺体が発見される。

全員が体を切断された状態であった。


2010年、ロス・セタスは当時26歳の男性を拉致すると、殺害してバラバラにした。

そして、男性の顔の皮膚を剥ぎ取り、その皮膚をサッカーボールに縫い付け、市役所に置いた。


また、この年の8月、ロス・セタスは72人の移民を誘拐し、身代金や鉄砲玉になる事を拒んだとして牧場で殺害した。

ただ、この事件は警察官の中から手助けをした人間がいた事が判明している。


この年、ロス・セタスはガルフ・カルテルから独立し、対立関係となる。


更に、同年、ロス・セタスは『プエブラ石油パイプライン爆破事件』に関与し (27人が死亡) 、2011年のモンテレイ・カジノ襲撃事件 (53人死亡) 等、様々な事件を起こした。


2012年、シナロア・カルテルとの抗争の際は、仲間1人が殺害された報復として、数週間に渡り23人を殺害した挙げ句、遺体を橋から吊るし見せしめとした。

しかも、この行為を批判的に報じた地元の新聞社を襲撃し、銃を乱射した挙げ句、手榴弾を投げ込むという暴挙に出ている。


2016年10月、両手を切断された男性5人と女性1人が生きたままで発見される。

しかも、額には「私は泥棒」と刻まれており、ロス・セタスは現場にメッセージを残す事が多かった。


2017年8月には、ロス・セタスはヌエボ・ラレドで17人を身代金目的で誘拐するが、匿名の通報により事なきを得た。


ロス・セタスはメキシコ32州の内、半数の州で活動しており、これはメキシコ最大の麻薬カルテル、シナロア・カルテルを抜いてメキシコで最大のカルテルとなった。

また、政治家との癒着や関与も問題となっている (賄賂を貰って犯罪行為を見逃したり、保護したりした) 。



《殺害数》
数千人

《犯行期間》
1999年~現在



∽ 総評 ∽

メキシコ最大の麻薬カルテルとして悪行の限りを尽くすロス・セタス。

メキシコのカルテルの非情振りは日本でも広く知られており、その犯罪は自国メキシコだけではなく、隣国のアメリカもかなりの被害を被っている。

『ブレイキング・バッド』というアメリカのテレビドラマを観ると、麻薬絡みの犯罪がいかに酷いかが伺え、日本ではとても想像出来ない程である。

メキシコはカルテル同士の抗争が激しく、日本でいう所の暴力団同士の抗争と類似していると言えるが、その被害者数や激しさはカルテルの比ではない。

麻薬カルテルにしてみれば、人間の命はこれほどかと思えるほど軽く、何の躊躇もなく空気を吸うか如く殺人を繰り返す。

殺害数は数千人と上記したものの、正確な数は不明であり、もっと多い可能性も高い。

ただ、戦争とかではなく、国内の麻薬抗争でこれ程の被害者を出すというのは恐ろしいという他ない。