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パベル・ボイトフ (ロシア)
【1994 ~ 】



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エレーナ・ロバチェワ (ロシア)
【1990 ~ 】



2014年7月からロシアの首都モスクワの地下鉄の駅や公園周辺でホームレスや酔っ払いが次々と襲われる事件が相次ぐ。

襲撃者は複数で、ナイフやハンマーで襲撃した。

タチアナという女性はベラルースキー駅の近くで襲われ、40回刺されて殺害された。

また、ある男性はナイフで滅多刺しにされた挙げ句、頭部を叩き潰されていた。

そのあまりの激しさに男性の脳が16フィート (約5m) に渡って飛び散る程であった。

また、酔っ払った大工の男性は実に171ヶ所もナイフで刺され、最後はハンマーで殴られていた。

だが、犠牲者はホームレスや酔っ払いだけではなく、銀行員も107回刺され殺害された。

結局、殺害されたのは全部で14人であり、その内女性が2人であった。

警察は捜査を進め、すぐに犯人を逮捕した。

逮捕されたのはパベル・ボイトフをリーダーとするギャングで、ボイトフを含む5人であった。

残る4人はエレーナ・ロバチェワ、ウラジスラフ・カラタエフ (21歳♂) 、アルトゥール・ナルトシスソフ (25歳♂) 、マキシム・パブロフ (19歳♂) であった。

ボイトフらは「モスクワを綺麗にする」という理由でホームレスの男性らを襲い殺害した事がわかった。

逮捕された際、ロバチェワは警察に

「死に至る人間の体を無作為に刺す事が、性的喜びをもたらした」

と語った。

また、ボイトフらはCCTVカメラに映らない閑散とした場所を選び、犯行は午前1時から午後4時までに行われていた事がわかった。


ボイトフは裁判に出廷する際、笑顔で入廷した。

ボイトフはロバチェワについて、

「彼女は殺人を愛していた。犠牲者を見て楽しんでいた。また、彼女は常日頃拷問について話し、殺人を行っていた時、笑っていた」

と供述した。

ロバチェワはマスクを着用し、法廷に現れた。

ロバチェワは刺した回数を記録し、自身のパソコンに犠牲者への拷問や処刑の様子を撮った写真やビデオを保存していた事がわかった。

しかも、ロバチェワはわざわざ犠牲者の体を切開し、部分的に切断した。

ロバチェワは1998年に公開された映画『チャッキーの花嫁』に強く影響を受けたと語り、右腕にチャッキーの刺青を入れていた。

また、ボイトフらギャングのメンバーは、『チェスボード・キラー』と呼ばれ、最低でも48人を殺害し、一説には60人以上を殺害したとされるロシアのシリアルキラー、アレクサンドル・ピチュシキンを英雄崇拝している事がわかった。

ボイトフとロバチェワは裁判では終始落ち着いていた。


2017年10月25日、裁判でボイトフには終身刑が、ロバチェワは懲役13年が、カラタエフには懲役16年が、ナルトシスソフとパブロフにはそれぞれ懲役9年が言い渡された。

ボイトフは胸には「唯一の憎しみ」という意味が書かれたシャツを着ており、判決が言い渡された際、笑顔であった。

また、手錠を掛けられていた為、腕を伸ばす事は出来なかったが、掌を横に広げ、ナチスへの敬意を表明した。

ロバチェワの友人であるアナスタシア・ソルタトワは、
『彼 (ピチュシキン) のようになりたかった』
とロバチェワが常に話していたと語った。


最後に殺人について語ったロバチェワの言葉で終わりたいと思います。

「オーガズムに匹敵する」



《殺人数》
14人


《犯行期間》
2014年7月~2015年




∽ 総評 ∽

モスクワを綺麗にするという名目で、次々とホームレスや酔っ払いを殺害したボイトフとロバチェワら5人。

ボイトフはギャングのリーダーとしてモスクワ市内で数々の悪行を重ねた。

ロシア型のシリアルキラーは、これまで紹介してきた通り、特に異常で不気味な人物が多い。

また、殺人の理由が安直で短絡的、被害者の数も飛躍的に多い傾向にある。

ボイトフらはモスクワを綺麗にするという理由でホームレスらを次々と殺害していったが、その理由は言うまでもないが身勝手極まりない。

同じような理由で次々と殺害を行っていったシリアルキラーは実は意外に多く、これまで何人か紹介してきた。

だが、私がわざわざ言うまでもないが、ホームレスがいなくなったからといって街が綺麗になる事はない。

しかも、ボイトフらはホームレスだけではなく酔っ払いや全く関係ない銀行員も狙っており、結局、浄化を名目に殺人を犯したかっただけの異常な集団に過ぎない。

ロバチェワは女性ながらギャングの中でも群を抜いて凶悪であり、それはボイトフも認める所であった。

殺人に快楽を得、しかも、殺人の様子を写真やビデオに撮ってパソコンに保存する生粋の異常者であった。

また、ロバチェワは『チャッキーの花嫁』に強く影響を受けたと話したが、公開された時、ロバチェワは8歳であり、その時にはすでに殺人に興味と羨望を抱いていた。

おそらくロバチェワは殺人が出来れば何でもよく、特にモスクワを綺麗にするとかどうでもよかったのではないだろうか。

だが、そんなロバチェワはわずか懲役13年で外に出て来てしまう。

ロバチェワだけでなく、ボイトフを除いて14人も殺しておいてあまりに刑が軽過ぎないだろうか。

これほどの殺人に快感を得ている人間の更生は100%不可能であり、外に出てきたら必ずまた殺人を犯すだろう。

さっさと処分すべきだが、死刑を廃止しているロシアでは無理な話であり、無能な司法に苛立ちを隠せない。