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エリザベス・ウェットローファー (カナダ)
【1967 ~ 】



エリザベス・ウェットローファー (旧名エリザベス・メイ・パーカー) は、1967年6月10日に生まれ、カナダ・オンタリオ州ウッドストックで育った。


1980年半ば、ウェットローファーはヒューロンパーク中学校を卒業し、その後、コネストガ・ガレッジに通い、そこで看護学を学んだ。


学校を卒業した後、ウェットローファーはウッドストックにあるカレサントケア養護老人ホームで看護師として働き始める。


2007年6月25日、クロティルド・アドリアーノ (87歳♀) とアルビナ・デメディロス (88歳♀) 姉妹が昏睡状態となる。

姉妹は一命を取り留めるが原因はわからず、高齢という事もあり追及される事はなかった (アドリアーノは2008年、デメディロスは2010年にそれぞれ亡くなっている) 。


同年8月11日、ジェームズ・シルコックス (84歳♂) が死亡する。

シルコックスは第二次世界大戦を戦い抜いた男性で、6人の子供の父でもあった。


そして、2014年3月28日までにモーリス・グラナート (84歳♂) 、グラディス・ミラード (87歳♀) 、ヘレン・マシソン (95歳♀) 、メアリー・ズラウィンスキー (96歳♀) 、ヘレン・ヤング (90歳♀) 、モーリーン・ピカリング (79歳♂) が相次いで死亡した。

だが、これらの死亡は7年間の間の出来事で、死亡したのも高齢者という事もあり、普通の病死として扱われた。


2014年、ウェットローファーはオンタリオ州ロンドンにあるメドウ・パーク療養所で働き始める。

だが、同年8月31日にアールパード・ホルバート (75歳♂) が死亡したのを含め、1年間で実に8人が死亡した (犠牲者不明) 。


ウェットローファーはメドウ・パーク療養所を辞め、2016年9月16日、トロントの精神病院である精神保健センター (CAMH) で働き、入院患者の薬物リハビリプログラムに参加した。

しかし、ウェットローファーは患者を殺す事をCAMHのスタッフに話し、スタッフは驚き警察に通報した。


同年10月25日、警察はウェットローファーを拘束し、2時間の事情聴取の末、ウェットローファーを正式に逮捕し、起訴した。

ウェットローファーは夜勤の時に犯行に及んでいた事がわかった。

逮捕されたウェットローファーはこれまでの殺人を告白した。

ウェットローファーは患者に過量のインスリンを投与し、殺害した。

ウェットローファーはこれまで14人の殺害を認め、また、他にカレサントケアでマイケル・プリドル (63歳♂) とウェイン・ヘッジス (57歳♂) の2人も殺害目的でインスリンを投与したが、未遂に終わったと告白した。

しかも、ウェットローファーはカレサントケアを辞めた後、他に施設や患者の家に直接行くアルバイト等をして、3人にインスリンを過量に投与したと述べた。

更にメドウ・パークでアーパド・ホーヴァート (75歳♂) とサンドラ・タウラー (77歳♀) の2人も退職者用邸宅で殺害目的でインスリンを投与し、べバリー・バートラム (68歳♀) も個人宅で殺害目的でインスリンを投与したと述べた。

また、他にも多くの患者にインスリンを投与したが、致死量に十分でなかった為、未遂に終わったと供述した。


2017年1月13日、警察は調査を重ねるが結局、8件の殺人のみしか立証する事が出来なかった。

また、他に4件の殺人未遂と2件の暴行でも起訴された。


同年6月26日、裁判でウェットローファーは最低25年は仮釈放の可能性がない終身刑が言い渡された。

ウェットローファーの動機だが、仕事と人生に対する怒りだと本人が述べた。

ブルース・トーマス判事は、そんな身勝手な動機を述べたウェットローファーに対し、
「彼女は慈愛の天使なんかではなく、犠牲者を横切る死の影だ」
と痛烈に非難した。



《殺人数》
最低14人
(他被害者多数)

《犯行期間》
2007年6月25日~2016年




∽ 総評 ∽

高齢者の患者を薬の過量投与により少なくとも14人は殺害したとされるウェットローファー。

ウェットローファーは看護師であったが、これまで同様の「死の天使」を何人も紹介してきた。

殺害の理由は様々だが、このウェットローファーのように仕事への不満と怒りというのはかなり身勝手な方だろう。

このウェットローファーのような「死の天使」というのは、相手が病人だったり高齢者だったりするので、死んでも気付かれる事が少なく、その為、犯行期間は数年間に及びしかも被害者数が飛躍的に多くなる傾向にある。

しかも、インスリンの過剰投与という方法は、毒殺魔と同じといってよく、通常の殺人に比べて力や体力を使う事がない為、次々と業務のようにこなしていく恐ろしさがある。

また、個人的には確認されている犠牲者は実際に確認された数よりもっと多いと思う。

死の天使は看護師な為、基本的に女性が多いが、こういった事件を聞くと女性の淡々と次々と犯行をこなしていく姿に恐ろしさを感じてならない。